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ケンタッキーの成長のヒミツ


こんにちは!アヤナです^^

ついに第8弾まで来ました。1週間に1つ公開しているので、2ヶ月継続したことになります。ここまで頑張った自分、、!笑

引き続き更新していくので、楽しみにしててください〜

今回は「ケンタッキーの成長のヒミツ」ということで、日本KFCホールディングス株式会社からケンタッキー=KFC事業について書いていきます。

というのも前にマックとモスを取り上げましたが
コロナで需要が消える中マックとモスも客数や客単価はなかなかの好調でしたが、それを超える奮闘ぶりを見せたのが「ケンタッキー」でした。

コロナ禍でも調子の良いケンタッキーなんですが、実は2018年3月期(2017年4/1~2018年3/31)あたりからグングン業績を伸ばしています。それまではザ・停滞!!ビミョー!って感じだったんですが、、笑

今回はケンタッキーはこれまでどんな状況で、何が問題だったんか?
それに対しどう解決策を打ち成長しつつあるのか?!
を書いていきますよ〜〜!

目次はこちら


1. ケンタッキーの基本情報!

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1970年に、三菱商事(株)とKFCコーポレーションとの折半出資により日本ケンタッキー・フライド・チキン(株)を設立したことが始まり。
創業は1970年なので、ケンタッキーは今年50周年になるんですね〜
2014年に日本KFCホールディングス株式会社に商号変更し持株会社体制へ移行したので、日本ケンタッキー・フライド・チキン(株)はグループ会社になっています。
全国に店舗数は1134店舗直営店305店フランチャイズ829店で構成されています。
連結損益にはグループ会社のも含まれているので、今回はチェーン売り上げ高に注目しています!

KFC事業のビジネスモデルはマックやモスとほぼ一緒!
直営店とフランチャイズ店の売り上げ構成比は7:3でした!

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2. ケンタッキーの現在の経営状況は?


2000年からの年度別チェーン売上高 長期推移です。

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(日本KFCホールディングス株式会社 IR資料より)

2000年から2018年くらいまで、上がったり下がったりしてて、成長が続かず停滞しているのがわかります。すごく業績が落ち込んだりすることはなさそうです。

しかし、、2018年からは様子が少し違います。2019年度は過去最高の売り上げを出しているんです!今年度もコロナでも去年度を超える業績をケンタッキーは強気で予想しています、、!

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(日本KFCホールディングス株式会社 月次情報より)

これは2020年4月〜2021年3月の月次情報ですが、4月と5月は驚異的な数字を叩き出してます。

ファストフードの雄、日本マクドナルドホールディングスのマクドナルドは、3月こそ既存店売上が前年割れ(99.9%)でしたが、4月は前年同期比106.5%、5月も115.2%と好調を持続しています。モスフードサービスのモスバーガーも、3月100.9%、4月103.7%、5月112.2%と堅調です。

 このハンバーガーチェーン2社の上を行くのが、ケンタッキーで、3月108.2%、4月は133.1%、5月は137.6%に達しました。

そして、それ以上に目をひくのが、客数。マックにしても、モスにしても、客数は前年を割り込んでいて、客単価の大幅アップでカバーしての実績だったのですが、KFCについては客数も、3月103.2%、4月107.3%、5月106.5%と、前年同期を上回っているんです。すごい!!

そんなこんなで、2020年度第1四半期のチェーン売上で320億円という過去28年間で最高の売上高を叩き出したんですね。既存店売上高の前年同期比は21.2%上昇、客数の前年同期比も1.4%と上昇、店舗の平均月商は1,032万円で過去19年間で最高の売上

第2四半期のチェーン売上では累計で696億円。これも第二四半期までの累計で、過去28年間で最高の売上高。既存店売上高の前年同期比は17.9%上昇、客数の前年同期比も3.8%と上昇、店舗の平均月商は1,088万円で過去19年間で最高の売上。

過去最高を更新しまくってます。

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(日本KFCホールディングス株式会社 IR資料より)

このグラフは、第二四半期の売上高だけを比べている推移です。
2018年度から、1店舗あたり平均月商が第二四半期だけを取り出しても、通期でも上がっていますよね。けど稼働店舗平均は若干下がっているため、1店舗あたりで売り上げはかなりアップしていると思われます。
ちなみに、通期の1店舗あたりの平均月商の方が高い理由は、第二四半期より、第三四半期の方が、クリスマスシーズンの12月が入っていて平均月商が高くなるからだと考えられます。

こんな状況です。
まとめると、2018年度(2019年3月期)から調子が良く、今年は過去最高の数字を更新し続けています😲

これはこれから説明する新たな施策の成果でもあると思いますが
元々売り上げの7割強がテイクアウトだったことや、店舗の1/3がドライブスルー対応だったりするのも関係があると思います!


3. これまでのケンタッキーと課題

逆に、2018年より前は、業績が落ちまくってヤバイ!!という状況でもないし、マックやモスのように顧客の信頼を大きくなくす不祥事もなく、、。
でも、ザ・ビミョーっで感じでした。

ここで既存店の平均月次売り上げ前年比の数字を見て欲しいのですが、

図1

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(数字は、ケンタッキー IRレポート「シェアドリサーチより」)

2012年〜2017年は前年度より平均月字売上高が下がるか、上がっても多少。上がり続けることはなかったんですね。

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⬆︎平成30年3月期(2017年度)の第二四半期は営業赤字
2017年度の通期営業利益も上場初の赤字です。

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⬆︎平成29年3月期(2016年度)〜平成30年3月期(2017年度)は2期連続チェーン別売上減少しています。

起きていることは、売り上げが全然伸びないし、停滞していること。
売上=単価×顧客数(平均顧客単価×顧客数)の式になりますが

最大の問題点は、、顧客数が伸びない・停滞していることでした

⬇︎FY03/2018の月次業績
客数のYOYは毎回前年割れしていて、減り続けている。

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(表は、ケンタッキー IRレポート「シェアドリサーチより」)

ケンタッキーって認知度はかなりあると思うんですよ。
知らない人いたら驚きますよね?!
それなのに、なぜ客数は伸びていかないんでしょうか。
(読んでいる方も考えてみてください!)


ズバリ!課題は簡単・明瞭です。

ケンタッキーで食事をする特別感とハードルの高さにより、新規顧客の流入と、既存顧客のリピートを全然作れていないから!!

ケンタッキーは特別な日(=ハレの日)に食べるもんだと多くの人は潜在意識を持っているようです。
当時ケンタッキーが行った顧客調査によると、

・年に1回利用すると答えた人が約4割(だいたいクリスマス)

・年に2回が約2割で合わせて6割

  

店は365日空いているにもかかわらず、特定の時期にしか利用してもらえなかったんです。2018年3月期に関しては、需要期であるお盆とクリスマスを含む第2、第3四半期のみが営業黒字で、残りの2四半期は営業赤字。世界中のKFCを見渡しても、日本ほどクリスマスに売り上げが集中する国はないそうです。

顧客のイメージ=ケンタッキーの敷居が高い
「ケンタッキー=高い」「ケンタッキーはおいしいけど高い」、「特別なときに食べるもの」「ケンタッキー=クリスマス」「一人で食べるものじゃない」「一人で店舗で食べづらい」という声が多くありました。
(でもわかる、、、!完全に私も上のイメージを持つ1人でした。)

高いイメージがすごくわかります。
前までは、ドリンクにチキン1ピース、ビスケットにポテトを食べよ〜〜と思うと1000円近くかかるイメージがありますし、
チキンを大勢で食べようとすると2000円くらいはかかるイメージ。

500円でガッツリ食べられるマックは安いよな〜と思ってしまいます。

「ケンタッキー=クリスマス」

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これは強〜〜い潜在認識です。刷り込まれているような気がしてますw

収益の大部分をクリスマスに稼ぎます。
店舗売り上げが通常時の6~7倍に拡大するクリスマスキャンペーンは最大の商戦期で、2018年は12月21~25日の店頭売上高が、過去最高の69億円でした。

世界ではクリスマスシーズンにおいて、七面鳥を食べることが主流となっていますが、日本では鶏肉を食べることが主流となってます。これは、同社のマーケティング努力によって、クリスマスにはフライドチキンを食べるということを文化として根付かせることに成功した結果なんでしょうね。

ケンタッキーの一昔前のCMを検索すると、「ケンタッキー=クリスマス」や「ケンタッキー =ファミリー・団体・特別な日に食べる」を訴えるCMばっかりでしたw

12月と他の月の売り上げの差がやはりすごいんですよ。

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毎回クリスマスの12月を含む、第三四半期=3Qの時期が一番売り上げ高くなります。そして1Qの4月〜6月とクリスマス後の4Qの1月〜3月も売り上げ低くなる時期です。

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(表は、ケンタッキー IRレポート「シェアドリサーチより」)

FY2018で、月次平均売り上げ全店舗の欄に注目してください。
・一番低いのは2月
・一番高いのは断然12月で、12月は2月の約2.1倍になる
この状況はFY2015〜FY2019の期間を調べましたが、同じ状況でした。

4. 課題に対してどんな施策を打ってきたの?

もちろんケンタッキーは課題意識を持っていて、施策を打ち出していきます。

やることは明快です。

「クリスマスのもの」から「日常的に食べるもの」への転換

人々の特別な日に、クリスマスに、羽を伸ばして食べるケンタッキーではなくて、ふとした時に食べたくなって、何でもない日常で、今日ケンタッキー食べよ!!って思われる存在にならなければいけません。

ケンタッキーが行った施策は大きく二つです。

①2018年7月に、税込価格500円のランチを、期間限定で初めて投入
オリジナルチキン1ピースに、カーネリングポテト(S)、ビスケット、ドリンク(S)。それぞれ単品で注文すると合計920円(税込み、以下同)のところを、昨年7月23日~9月5日のランチタイム(10~16時)限定で、500円のセットで販売することに踏み切りました。

BY ケンタッキー
「食事の市場のうち、平日ランチはものすごく大きい。だが当社は競合と比べて昼間の時間帯や1人客に弱いというデータ出ていた。日本の顧客データを分析し、そこへ海外での成功事例である「5ダラーランチ(5ドルのセット)」を応用した。」そうです。

それまで9カ月連続で前年実績を下回っていた既存店売上高、同客数がプラスに転じました。そして2020年1月には10時〜16時のランチメニューでレギュラー化したんですね!ちなみに、500円だけでなく、600円、700円のセットも。ワンコインランチで追加メニューを頼む人も多いらしく、客単価も2%向上!

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②ケンタッキーのPRブランディングの方針転換!

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女優、高畑充希さんの「今日ケンタッキーにしない?」はめっちゃ、いいパワワード!2018年ごろから抜擢されてこのフレーズのCMが始まったようです。高畑さんのチョイスもイメージと方針にあって良さそうだし、
CMの内容もファミリーより、一人でお家や店舗で食べている描写も多くて
脱特別な日に食べるケンタッキーをできそう!20代の女性に刺さりそう!と思いました。

いろんな種類のCMがあって女性社員や男性営業マン、建設作業員がケンタッキーのランチをテイクアウトし、外で食べるシーンがあります。ケンタッキーのCMというと、店内や家で食べるシーンが中心。ワンコインランチを機に、気軽に持ち歩いて食べられるという消費者意識を植え付けているんですね。⬇︎このCM見てみて!

日常に気軽に食べるケンタッキーのイメージを作ろうとしていますね!
脱クリスマスだけのケンタッキー!!

ランチメニューもコスパよく食べれますし、ファミリー・団体向けのオリジナルチキンパックも期間限定キャンペーンで安くしていたりもするようです!!

また、季節商品や期間限定商品でも手を緩めませんでした。「ヘビーユーザーはワクワクする新商品を求めている」と!
夏場の定番となったレッドホットチキンに加え、「スパイシーメキシカン」や「辛口ハニーチキン」といった期間限定商品を割安なメニューと併売することで、一度つかんだ客を飽きさせないようにしていました。

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レッドホットチキン。美味しそうですね!!


5. ケンタッキーの明るい未来!!

施策の結果:
特別な日の象徴12月と最低売上の月の幅が縮まりつつあるんです!

18年3月期の売上ボトムは2月で、12月との差は「2.1倍」、19年3は5月で「2.06倍」でした。

しかし、20年のボトムは5月で、12月との差は「1.83倍」に!

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ボトムとトップの差が縮小してきています。しかも、この間の平均月商は、18年3月期の840万円から、19年3月期888.5万円、そして20年3月期は過去20年間で最高の974.9万円へと増加していて、全体の底上げをしながら、KFCの日常化が進んできているのがわかります。

こんな世界の状況でも日本のケンタッキーの未来は明るそうです。
今後はこんな戦略を打ち出すのでは?と少し考えてみました。
ケンタッキーの顧客層は年齢は高め、30代以降の女性・主婦などが多かったようですが、新しいブランディングで20代の心も掴みそうです。
その上で2点。

①新店舗の開拓
KFCはこれまで〜現在、新店舗を開くことよりも既存の店舗の改装に力を入れている。よりテイクアウトやデリバリーが増える中でお客様の導線がスムーズになるようにしているが、売上がより伸びて利益体質な状況になったら、郊外で若い世代からファミリー層まで多く住んでいる住宅街付近の駅前に店舗を構えそう。

②多様なニーズに応えたメニューの展開
一人でがっつり食べたい男性層に刺さるようなコスパの良いセットメニューや夜のちょい飲みセットなども広げていきそう。
時間帯、ユーザーにのニーズに合わせた多様なメニューが展開されそう。


いかがでしょうか。
ケンタッキーのイメージが変わった方もいるのでは。そんな方はランチ食べに行ってみてください!
(やはり冷めても美味しいポテトを提供してくれるのは、ケンタッキー(そこ))


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