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木のあれこれ。no.7 楽器の木 part-1.木琴

楽器には昔から古今東西、様々な木材が用いられてきた。
各木材にはそれぞれ特徴があり、奏でる音も異なる。
ここではどの楽器にどんな木材が使われているのか、なぜその木材が使われるようになったのか、そしてその木材の特徴をまとめる。

楽器と木材の一覧

①打楽器 - マリンバ・木琴

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マリンバ(上) :パドック、ローズウッド
シロフォン(下):ローズウッド、カリンなどの硬い木

-マリンバの歴史-

マリンバの歴史は、大昔のアフリカで、地面に穴を掘って木の板を渡し、たたいて音を出したことから始まったと伝えられている。つまり、木の板が発する音を穴で共鳴させる仕組みの、一種の木琴として誕生した。その後、木の板の裏にひょうたんを付けるようになる。ひょうたんで音を響かせるようにしたのだ。このかたちの楽器は、今でも民族楽器として親しまれている。これをバラフォンという、

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図:バラフォン詳細はこちら

マリンバの原型となった楽器は、アフリカの人々とともに海を渡り、中南米にたどり着いた。そこで、ひょうたんが木の共鳴パイプに変わる。そしてさらにアメリカで金属製の共鳴パイプが付けられるようになり、現代のマリンバになった。

-シロフォンの歴史-

現在のシロフォンの前身はストロー・フィドルというヨーロッパの民族楽器だった。縦4列に鍵盤が並べられた楽器で、共鳴管はついていなかった。
シロフォンが現在の形になったのは約100年前である。
オーケストラの作品に登場したことがきっかけで、演奏しやすいようにピアノと同じ並びに、共鳴管を付けて大きな音も出せるように改良されていった。

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ストローフィドル(straw fiddle)、日本語では「縦型木琴」「はしご型木琴」として知られていた。現在でもストローフィドルといえばこの形らしい。
語源はストロー=藁、フィドル=バイオリン。
ストローフィドル詳細はこちら

-そもそもマリンバとシロフォン(木琴)の違い-
楽器に詳しくない私は、そもそも全部木琴だと思ってました。そして木琴のことをシロフォンということすら知りませんでした。

木琴(もっきん)とは、木製の音板をピアノの鍵盤と同じ順番に並べ、マレット(ばち)で叩いて音を出す打楽器の総称。同様の楽器に金属の音板を用いる鉄琴がある。また、これらの楽器を鍵盤打楽器と呼ぶことがある。いずれも体鳴楽器に分類される。
木琴という語は、もともと清楽の楽器名として用いられた。シロフォンは広義では木琴類すべてを含むが、オーケストラではシロフォンとマリンバは一般に別の楽器として扱われる。(wikipedia


<出身地(派生先)の違い>
マリンバは前述の通り、ラテンアメリカ派生、シロフォンはヨーロッパ派生
アフリカを起源として広がっていくのは人間も楽器も同じで面白い。
(おすすめ本:サピエンス全史

<構造の違い>
マリンバとシロフォンの最も大きな違いは木の板の裏の削り方である。

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シロフォンの裏

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マリンバの裏

この削り方の違いにより、音の調律方法が変わるそうだ。

例えば、同じ「ド」の音板を調律する場合、マリンバはド・高いド・更に高いミで合わせますが、シロフォンはド・高いソで合わせています。
これらの違いにより、マリンバは柔らかい音で、シロフォンは硬い音が出るのです。(ヤマハ音楽部Facebook

やっと、木琴の木材のこと。

調べてたらどんどん長くなって、どれも面白いので削れなかった。。

マリンバ(シロフォン)のできるまで -音板の材料選びと切断-
マリンバの音板に古くから使われているのが、ローズウッドという木材である。

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ローズウッド

中南米で採れる重たい木で、樹齢が200年から400年経っているものを使う。
また、ローズウッドの他に、アフリカンパドックという少し赤味のある木が使われることもある。強くて音が伸びる木で、音板材に適している。

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パドック

マリンバは音の余韻が長いほうがよく、素材の状態でもたたいた時にボーンと音が長く伸びるのがよいので、そういった部材を選ぶ。

選ばれた音板材は、決められたサイズに切断する。音板ごとに長さは決まっているが、部材からどこの部分を取るかは経験がものをいうところである、なぜなら木目は全て異なるため仕上がりの美しさなどにもに影響があるためである。また、木の繊維はまっすぐ長く取ると音がよくなる。

参考:https://www.yamaha.com/ja/musical_instrument_guide/marimba/structure/
https://www.african-sq.co.jp/detail/gakki/g_bara.html

さらに奥深いマリンバ参考文献


雑記(アフリカの謎楽器、カリンバ。)

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並べられた細長い金属を親指で弾くアフリカの楽器「カリンバ」
オルゴールの起源と言われているそうだ。

カリンバ参考:https://www.african-sq.co.jp/detail/gakki/index_east.html


次回以降予告↓

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拍子木:アカガシ、シラカシ

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カスタネット:ローズウッド

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木魚:クスノキ、イチョウ、ホオノキ



②弦楽器

ピアノ:ドイツトウヒ、シトカスプルース
ギター:ドイツトウヒ、ベイスギ(表板)
:ブラジリアンローズウッド、
インディアンローズウッド(裏板)
バイオリン:ドイツトウヒ(表板)
:カエデ(裏板、駒)
琵琶:キリ、クワ(薩摩琵琶)
箏(琴) :キリ

③木管楽器

クラリネット:グラナディラ、ツゲ、カエデ
リコーダー:カエデ、ツゲ、アンズ、サクラ
尺八:マダケ

④膜鳴楽器

太鼓:ケヤキ、センダン、マツ
鼓:サクラ
三味線:ローズウッド、タガヤサン、カリン


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