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年を取るということ

梅雨のこの時期、夕方になってから一雨降るという事がよくある。
先日もそんな感じで、帰宅時に雨がパラついていたので、私はいつもより気を付けて自転車を走行していた。

少し先の横断歩道で、一台の自転車と人が倒れているのが見えた。
横断歩道を渡っていた高校生の男の子が、倒れていた人を起こしている。
私は急いでその場にかけ寄って、自分の自転車を脇に置き、倒れている自転車を起こした。

倒れていたのは70代後半くらいの男性だった。
大きめのカッパを羽織っているが、ヘルメットは付けていない。
額からボタボタと血を流している。

横断歩道にある大量の血痕を見て、私は救急車を呼んだ方がいいのか迷った。
そこに、20代半ばくらいのアニメTシャツを着た男性も来て「何か手伝いますか?」と私に聞いてきた。私は高齢男性に「大丈夫ですか?」と声をかけると、「大丈夫大丈夫、家すぐそこだから。このまま帰るから大丈夫」
と言った。

私は迷った。
救急車を呼ぶか、このまま高齢男性を帰すか。

そういえば、
少し前にも同じように、自転車で高齢女性が倒れている現場に遭遇した。
何人も人が通る所で倒れたから、周りの人はびっくりしたのだろう。
その中の1人が救急車を呼んだ。
高齢女性はすぐに立上がり「少し休めば大丈夫だから救急車は呼ばないで」と言ったが、救急車を呼んだ人(40代くらいの女性)は、
「とりあえず診て貰いましょう。何があるかわからないから、念の為診て貰わらないとダメですよ。ここで待っててください。もうすぐ救急車が来ますから」高齢女性は「本当に困るんだけど・・・」と言っていたが、間もなく救急車が到着した。

その後、その高齢女性がどうなったかは知らない。
近くの病院に搬送されたのであろうか?それとも遠くの病院に搬送されたのであろうか?

正義感をむき出しにして、むやみに救急車を呼ぶのが果たして正解なのだろうか?安心側に全振りすることが正解なのだろうか?
それは私が常々疑問に思っていることだった。

しかしながら、今この場には高校生の男の子と、20代半ばのアニメTシャツの男性と、40代後半のオバスンの私しかいない。判断するのは私だ。どうする?どうしたらいいのか?私は携帯を手に取った瞬間、

「どうしたのーーーー?大丈夫ーーー???」

どこからともなく甲高い声がした。
いつも近所を大きな声で歌いながらパトロールしている陽気なオジサンだ。

「ちょっとちょっとどうしたの?血が出てるじゃん!おじいちゃん大丈夫?家どこなの?病院行った方がいいんじゃないの?」

陽気なオジサンは高齢の男性に話しかけている。
すると、そこに偶然にもパトカーが通りかかった。

私たちは手を大きく振った。パトカーに気付いてもらうように大きく手を振った。
すると、陽気なオジサンは大声で、

「おまわりさーん、止まってくださーい
ここに怪我をしている人がいるんですよー
おまわりさーーん」

そして、陽気なオジサンは猛スピードでパトカーを追いかけ、通り過ぎようとしていたパトカーを無理やり止めた。

路肩にパトカーが停まり、警官が2人出てきたので、私は事情を説明した。
「事故とかではなく、おじいさんが自転車で滑って転んだ」と。
警官2人はおじいさんと話をしていたが、どうやら救急車は呼ばずに、そのまま家まで送り届けることになった。
そして、警官2人は私たちに向かって、
「あとはこちらで対応しますので大丈夫です。ありがとうございました。」
と言ったので、ほっとしてその場を後にしようとした。
すると陽気なオジサンが、

「じゃぁ、おまわりさん後はよろしくね。
みんなも雨で危ないから気を付けて帰ってね。みんなありがとねー」

と言って、また大きな声で歌いながら去っていった。


色んな意味で反省した出来事だった。
陽気なオジサンは、世間でいってみれば一本ネジが抜けているような人だと思うけど、あの場の判断は素晴らしかった。(失礼な表現ですみません)
私がグズグズしているうちに、陽気なオジサンは迷いなくやった。

これから先も、このような場面は多く遭遇するだろう。
その時に、自分は咄嗟の判断が出来るだろうか?
陽気なオジサンのように、パトカーを強引に止めたりすることが、私に出来るだろうか?


咄嗟の判断には正解も不正解も無いと思うけど、人任せにすることが一番やってはいけないことだと思っている。
今までは、自分が出来る範囲の事をやればいいと思っていたけど、その出来る範囲というものは、時には決断や判断を迫られる事になる。

年を取るということは、そういうことなのかもしれない。

いつまでも「誰かがやってくれる」とか「誰かに任せよう」と思っていてはダメだ。
私はもう、誰がどう見ても立派なオバスンなのだから。
無駄に年を取ってると、人から思われたくない。


っということで、今日また1歳年を取りました。
47歳になった私をどうか宜しくお願いします。

Don't you worry bout a thing / Incognito












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