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金原ひとみ

読書アプリを見たら、この半月で金原ひとみを9冊も買っていた。

好きすぎると言葉が出ないというのは本当で、ブックレビューにもnoteにも金原ひとみの作品について言及する気が起きなかった。

2004年に『蛇にピアス』で芥川賞を受賞したことぐらいしか知らなかったし、蛇にピアスも読んだけど、(村上龍みたいだな)という感想しかなかった。
隠の者として生きてきたので、『SEX!ドラッグ!恋愛依存!異常な性生活!!!』みたいな世界には全く縁がなく、興味もなく、こういう小説は池袋在住のギャル向けに書かれているんだろうとしか思わなかった。

それから約20年後、解体された豚をめちゃくちゃお洒落に装丁した単行本を見つけ、(金原ひとみってあの金原ひとみ?)と手に取ったのが半月前。 


面白すぎてたまげた。

おそらく、この人の本質は20年前から変わっていない。SEX、恋愛依存、異常な性生活、リスカ、過食嘔吐。多分今もそれを繰り返している。

20年前と違うのは、この人は芥川賞作家で、結婚し、子供を2人育てているということだ。
そのスペックだけ見れば『至極真っ当な(むしろ上級な)女性』なのに、蓋を開ければその辺にいる歳だけ重ねた無責任なアホ(自分のことである)となんら変わりなかった。


私は金原さんと同世代だが、友人の多くは同じ会社の同じぐらいの収入の男性と結婚し、子供を育て、家を建て、育休を経て復職し、義実家や近所付き合いも難なくこなし、きちんとした大人として生きている。ように見える。

それに引き換え私は、仕事だけは何とか続けているものの、若い頃とあいも変わらず服を買い、好きな物だけ食べ、貯金もせず、夫と暮らしてはいるものの、勤務形態が異なる(私は週休2日制、夫は夜勤ありのシフト制)ので、ほぼ独身のような生活を送っている。
同期にこの生活のことを話すと、特に悪気もなく『なんかただのルームシェアみたいだね』と言われた。マジでその通りだ。


話を戻す。

『デクリネゾン』に限らず、金原ひとみのここ数年の小説は、結婚し、子育てはしているものの、自分の好きなことや好きなもの(恋愛含む)は我慢せず、周りの友人も似たようなタイプの女性であることが多い。
好きなアーティストのライブに行き、夫以外の男性と食事とSEXを楽しみ、子(と言っても、中学生以上のわりと大きい子供)を放置して同類の友人と頻繁に外食をして酒を飲んでいる。


アホじゃん(褒めてる)。


しかも出てくる料理が全て魅力的なのだ。バナナの葉に包まれたたくさんの肉と米とか、熟成肉に雲丹を載せたものとか、都会にはあるであろうよく知らない食べ物がたくさん出てくる。

デクリネゾンの章タイトル



この人にはずっと変わらないでいてほしい。
40になっても、50になっても似たような生活を続け、自身をモデルとした小説を書き続けてほしい。



もう、ほぼラブレター。

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