みんな違って、みんな良い。

「今日は神香盤ですよ」

偶然、隣に座り色々と教えてくれた女性の先輩はキラキラとした声でそう言っていた。
数年前からずっと気になっていたけど一歩が踏み出せなかったストリップ鑑賞。
昔の映画や日活ロマンポルノが好きな私にとって「ストリップ劇場」とは「怖いもの」だった。一人でメイドカフェに入った時、野毛やゴールデン街の店に入る時、小劇場に足を運んだ時、とても緊張した。駄目なら適度なところで出ればよい、それも人生経験になる。と自分に言い聞かせ、近くで用事を済ませた私は新宿ニューアートへやってきた。
すぐ近くには大好きなゴールデン街と花園神社。そこでひっそりと構えるストリップ劇場だった。行く前からマナーやレポから見える雰囲気を少しでも感じられる様にネットで下調べをして足を運んだ。
正午から始まると思って少し遅れて行ったはずが、まさかの13時半開演で劇場の前に行くとずらっと常連らしい男性客たちが並んでいる。ちょうど劇場が開いた頃だった様だ。
最後尾に並ぶと道すがらの人に丸見え、初めてなのに少し...かなり正直恥ずかしい。
でもせっかく訪れた機会であることと、駄目なら適当なところで出れば良い、どうせここは新宿、私を知っている人はいないだろうなんて自分に言い聞かせつつ、これを逃したら一体いつ来れるのかも懸念していた。
最後尾に並んでいる男性に、この列は劇場へのものかと聞くと男性は丁寧に今は開場してて席を取るために並ぶ列ですよ、と実に紳士的に教えてくれた。意を決して列に並ぶ。すると列の先にどうやら女性らしき人影が見えた。ひとりじゃない、SNAは初心者が行くには少し敷居が高いところだと調べていたので覚悟はしていた。しかし同性がいてくれたことがどれだけ「初めて」ということで力強かったことだろう。
受付にやってくると男性が検温、消毒を来場者にさせた上でお金を払う。女性だと三千円、それを払うと一日中、劇場から外出券をもらうとご飯や飲み物を買いに出れる。今のご時世なので劇場内は飲食禁止、ロビーでならOK。
会場は話に聞いていた通り、狭い。舞台との距離が適度に置かれているとはいえ狭い。極狭の小劇場を想像してもらえると良いかもしれない。かぶりつき席の丸椅子が数席、その後ろに長椅子が両端に置かれ、踊り子さんが舞う盆の前にはソファー席が三列、その後ろに立見と数席の丸椅子が置かれている。照明や音響、アナウンス用の小さなスタッフ用ブースがあり、すぐ外のロビーでは踊り子さんのサイン色紙や写真が手売りされていた。
間違えないで欲しい、今は令和だ。昭和ではない。しかし私が求めていた昭和の風景が間違いなくそこにあった。電子マネーもクレジットも使えない、ニコニコ現金明瞭会計。
会場に入った私は既に座れるかどうかキョロキョロしていた。お上りさん状態を見かねたのか先程の紳士が「ここ空いてるよ」とまだ空いている席を指差してくれた。私が礼を言うと先に座っていた女性客がすっと席を詰めてくれる。私は礼を言うと静かに席についた。

座高が、めちゃ高い。

座席はどうやら舞台を見やすい様に後ろがだんだん高くなっているらしい。深く座ると足が着かない。それほど工夫はされているのだが、6名の踊り子さんのショー+ポラ撮影も入ると5〜6時間、酷使する体制で見続けることになる、試される身体と精神。
開演を待つお客たちの待ち方もそれぞれ。劇場内は携帯電話を出すこともNGなので、本を静かに読む人、眠る人、知り合いと賑やかに談笑する人、ご飯食べに行く人、新聞読む人...などなど。でも皆、長丁場に備えてあらかじめ飲み物をスタンバイさせ軽食をいつでも食べられる様に手持ちのカバンに入れていた。なんか見たことある風景。
あ、これ早朝のコミケ待機列だ。心が本気なやつだ。特に夏コミのような強い覚悟を感じた。
年齢層は男性が主だが、年齢層は広い。大体20代後半から60代、70代もいる印象を受けた。受付ではお目当ての踊り子さんの写真を求めたり、差し入れを預けたりする人で行列ができていた。
開演時間が近づくとぞろぞろと人が戻ってきた。スタッフさんが脇に置かれたスモーク用の準備をしている。
そして、場内音楽が鳴りやみ照明が落とされた。
どこか癖のある男性の声が諸注意、香盤順、踊り子さんが登場した際には大きな拍手を、とのアナウンスが流れた。
コロナ前の劇場では有志によるリボン、タンバリンなどの鳴り物、そしてきっとタイミングよく声をあげて応援したりなど色々あっただろうが、今はマスク着用の上、手拍子や拍手が観客が鑑賞しながらできる唯一の応援なんだ。
できるだけ頑張ろうと私も心に決めた、暗闇の中で一番目の踊り子さんが支度をしている。それが落ち着くと静かに照明が点いた。
新宿ニューアートの夢舞台が、幕を開けた。

(ここから感想。忘備録みたいな感じです)


1番 沢村れいかさん

1:花の精のようなふわっとした白いドレスで登場。
私にとって初ストリップで初鑑賞、初プログラム。
とにかく手の先までとても綺麗。
花を愛で、森の中で一人で踊っている印象。
ひらひらと旗めく薄い衣装が照明でてらされると本当に綺麗。あんなに裾の長い衣装なのに決して広くない舞台で魅せる動きができることが凄い。するりと衣装を脱ぐと背中の肩甲骨がとても綺麗だと気づいた。盆に乗っても本当に全てを脱ぐのかまだ疑っていたけど、下着をゆっくりと解いたとき「ほんとだー!」と驚いたのは秘密。脱いでからのポージングは美しいの一言、思わず目が潤んだ。一曲目から泣くなんてとか思ったけど、見たレポの中ではやはり感動して泣けたというものも多かった。すごくその意味が分かった気がする。
初めてのプログラムがこれで本当に良かった、ひたすら美しかった。

2:花の精の時とはまるで違い、激しく踊りまくるナンバー。
真っ黒な身体にピッタリしたセクシー短パンツで客を煽り、ノンストップで身体を、腰を、お尻をシェイク!一曲目が終わる頃には汗だくになってスポットライトに照らされた身体が大きく呼吸をしているのを見て、全力で踊っているんだ!と実感できた。

その後、白色灯の照明が点いて行われたポラ撮影風景を見てて、まず思ったことは
「えっ!?全部ひとりでやるの!?」
ということだった。先程の聖女やセクシーダンサーはどこへやら、にっこにこで「どうもー」とランジェリー姿で、れいかさんが現れると舞台上で並んだ一人一人と話をして、お金を受け取りポーズを聞いてポラ撮影(事前に消毒あり)。受取用の整理券を渡して次々と捌いていく。
てっきりスタッフさんが集金とかして写真撮影の時だけ踊り子さんと接するものかと...(参照:グリーディング、アイドル握手会)その周りでは穏やかにそれを見守る人、本を読む人、トイレに行く人、まるで雰囲気は文化祭。後半になると上半身だけ脱ぎでポラ撮影も応じつつもそれが普通の様に実にまったりした空気。

それを目を丸くして見つつ、私は勇気を出して隣に座り本を読んでいた唯一の女性に話しかけてみた。彼女はスト活5年だという、ポラのことなど聞いた私に親切に色々教えてくれた。私も感情が先に出てしまうタチなので、素直に感想などを告げるととても喜んでくれた。こうやって気持ちを共有できるととても嬉しい。
「今日は神香盤ですよ、いい時に来られましたね」
と言ってくれた。どうやらどの踊り子さんも魅力的で本当に素敵らしい。
勇気を出して、特に目当ての踊り子さんもまだいないのに来て良かったと実にチョロいので気持ちが高ぶった。
後ろを見ると、既に立見の客まで入っている。劇場は不思議な熱気に包まれていた。

2番 藤川菜緒さん

1:小柄で目が大きく可愛らしく、ショートカットの髪の毛をツインテに結んだ女の子。ひとつひとつの動きがとにかく可愛くて「あざとカワイイ」がこんなに似合う人はいないと思ったほど。飛び上がるたびふわふわとドレスが舞い上がる。浮かぶパリジェンヌの横で踊るのは誰もいないはずなのに、照れ臭そうに手を取り一緒に踊る紳士が見えた、超メルヘン。くまの着ぐるみを着込み、どうしよっかなー見せようかなー?なんてチラ見せする。
そんなにカワイイ子が盆に乗るとまるでかぶりつきの常連客を面白がる様にポーズを決めていく。色気と絶対的可愛いが共存する姿が脱いだら、どこか悪いことをしているような、恥ずかしい気持ちになる。しかしそれを笑い飛ばす様にポーズを決めながらちらちらと足の間から客の顔を見つめる。
演目が終わって、とっても元気な笑顔でポラ撮影を始めた菜緒さんを見つめながら
「あれがあざとカワイイって感じですね。いやぁずるいなあ、あれはモテるなあ」
と隣の先輩に話しかけていた。

2:「誹謗中傷(クソリプ)撲滅委員会」
最初の演目がとても可愛くひたすらフワフワでアイドルだったので、カワイイ感じで来るのかと思ったら度肝抜かれた。
ストリップという表現方法の中で異質だろうけど個人的に今のところ一番好きな演目、オタク絶対好きなやつ。
登場したのはセレブ風な自意識高そうな女性。帽子とブランドもの、サングラスで自分を隠しつつも世間を嘲る様に中指を立てる、その姿はまるで某アニメを彷彿とさせる。
次の曲では場内、携帯電話はNGだということを逆手に取る様に携帯電話を持ち現れる。
SNSで自分を肯定させる様に自撮りに精を出す、沢山のいいね!に押され、もっと人気が出て”いいね”がもらえるように勝負下着である真っ赤なランジェリーを晒していく、まるで女の子の部屋を覗き見している既視感だった。
自分が世の中を消費するつもりが、逆に消費されすり減らされていく。真っ赤な下着は血の様に思えた。
安易なクソリプについての激しいラップ曲ではフードを深く被り、携帯電話をマイクにして、盆の上で踊る。決してフードの奥の表情は見せない。
最後はフードを脱ぎ捨てる、全てを晒した時にやっとどこか安堵した様な表情になった。
どうやら初めの「あざとカワイイ」と同じ世界線にあるようなので、正直ぞっとした。
キラキラと深い闇の対比を同時に見せられて、こんなメッセージ性のある演目見せられて動揺した、藤川菜緒さんの表現力の強さよ、できれば本当にもう一度見たい一作。
Twitterで演目名調べて納得した。いつかお会いできればポラで素直に感想を伝えたいな。


3番 宇野莉緒さん

1、2:第一印象は少し控えめ、はにかみ笑顔のお嬢さん。
黄色いふわふわのドレスで登場して可愛らしいダンスを一回目では踊られて、二回目では激し目ダンスで場を沸かせていました。しかし本当に驚いたこと、これについて主にここで語りたいと思います。控えめお嬢さんが盆に乗るダンスの楽曲が鳴り始めた瞬間...

目が変わった。

一つめの演目の時に気のせいかなと思ったのだが、二回目もそうだったので間違いないと思う。とにかくスイッチがバチっ!!!!と変わる、まるで別人のよう。盆に乗り、まるで客を挑発する様に見事にポーズを決めていく。その大胆たるや、本当に鳥肌が立った。

ポラ撮影になるとまたハニカミ笑顔のお嬢さんに戻る、私はお隣の先輩に釣られる様に、初ポラに並んでいた。女性客だけど大丈夫かな?と不安だったけど、「スイッチ」のことを感想を伝えるとすごく喜んでくれて嬉しかった。
ポーズを聞かれて表情や身体を映したい気持ちもあったけど「空間写真」を撮りたかったので「眼差し」をくださいと、あとで考えると難しいことを言ってしまった。
写真の出来栄えは決して上手くなくて失敗だ〜と後悔したけど、あとで見たポラを見るとポツンと莉緒さんが遠くを見つめていた。でもその顔は柔らかくて素敵だなと思えた。裏に書かれたメッセージには初ストリップを喜ぶ言葉が添えられてあった。


4番 香山蘭さん

1:「初恋」
舞台に照明が灯り蘭さんの姿が映った瞬間、場の雰囲気が変わった。
切ないメロディーに身を任せる様に、傘を手にコンテンポラリーダンスを踊る。
香山さんは「場を支配する」踊り子さんだと思った。自分の世界観で劇場を満たしてしまう。小劇場でもそういう経験は幾度もあった、そういう時、客は目になり、時には空気となり、空にも風にもなる。そしてそういう雰囲気はとても心地よく大好きなのだ。
黒いドレスで現われ、ゆっくり脱いでいく。ひとつひとつの所作、表情、手と足先まで丁寧で目を奪われる。晒した肌には色鮮やかなタトゥーがポイントで刻まれている。
個人的にタトゥーはあまり良い印象を持っていない人間だったのですが、香山さんのタトゥーはとてもとにかく綺麗で、盆でポーズを決めた姿や、一糸纏わぬ姿ですっと立つ姿を見て「なんて綺麗なんだろう」と感動した、もう限界だった、自然と大粒の涙が流れた。我慢しようかと思ったけど圧倒的な世界観を前にすると、人はただ泣くのだなあと思った。
研ぎ澄まされた女性の裸体、皮膚と汗はそれだけで最高の衣装なのだと思った。

2:「OL」
「初恋」とは全く違う一作、聞けば元は小宮山せりなさんの演目らしく、後ほど受け取ったポラメッセージに「次の演目、凄くドキドキしてます」と書いてあった、めちゃカワイイ。
黒髪ショートカットのキャリアウーマン、それに黒縁メガネ、あまりの「いい女」に私が吹き飛びそうになった、いや、何度も正直吹き飛んだ、エロい。
仕事が超デキるセクシーな女上司、退屈な仕事を終わらせ悪戯っぽい顔でお客さんの似顔絵を手渡すと、挑発的に服を脱ぎ捨てる。ここで香山さんのタトゥーが光り輝く、あんな真面目なお姉さんに隠された秘密のタトゥー、脱がせた人しか見れない背徳感。これは興奮する。ギャップという武器、強い、勝てる要素皆無、語彙力ください。

ポラ撮影に現れた香山さん、クールな容姿なのでさぞや色っぽいお姉さん系の方かと思いきや...


超、ふわふわしてた。


口調も雰囲気もあの壇上の研ぎ澄まされたお姉様はどこへ?と思うくらい、ふんわりした方で「私、行かないと後悔する」とうわ言のように千円札を握りしめ、一度目のポラで並んでいた私、感情のままに演目の感想やタトゥーのことを伝えると凄く喜んでくださりお話ししやすかったです。ポーズはお任せでお願いすると下腹部のタトゥーが映えるショットを頂きました、嬉しいなあー。
個人的に、また是非拝見したい踊り子さんになりました!


「今日出られる踊り子さんって6人ですよね」
私は興奮冷めやらず、隣の先輩に話しかけると
「そうですよー、なんとまだお2人います。私このお2人推しなんですよー」
とニコニコな表情で教えてくれました。
香山さんで既に吹き飛ばされた私、どうなるんだろうと不安でいっぱい。耐えられるかしら。
この時点で既に大入り満員、立見とにかく沢山。空調が不調だったらしく(空気清浄はされていた)場内がとにかく暑い!水が足りない!


5番 小宮山せりなさん

1:ダンサブル!そして初めの一音から全力疾走。暑い場内をますます熱く!
ダンスの質がとにかく高すぎる、小宮山さんは汗をめいっぱい掻きながら笑顔で踊る方!こちらまで元気をもらえるような印象でした。ときにはお客さんをもっとついてこーい!と煽る様にボルテージマックス!しかしあまりの場内の暑さと熱さと湿気に、盆に来る際には背中を汗が伝い、それが照明が差すととても綺麗で。
盆に乗るとアクロバティックな動きをしつつも、とにかく表情が妖艶。少女の様に、時には大人っぽく...。
しかし最後のご挨拶の時にあまりに汗をかいたのかティッシュを手に盆に落ちた汗を拭う姿も。ご本人も元気いっぱいでポラも沢山のファンの方が列を作ってました。

2:「座頭市」
この演目では鳴り物はしないでほしいとアナウンス。盆に突然現れる和服の座頭市。身体を目一杯動かし、刀を振るう。裾から見えた白い足がセクシー。
舞台で刀を引き抜き、彼女を狙う刺客を次々と切り払う。しかし盆にやってきた座頭市は打ちひしがれている。座頭市なれど、彼女も女。時には刀折れ、組伏せられ、心萎むかもしれない。
しかし、心に宿る刀は決して失わない様に。
と、盆でポーズを次々決めながら、汗だくで空に刀をかざす場面は震えました。

6番 真白希実さん

1:「Black Diamond」
先輩が是非、見て欲しい!と言ってくれていた演目。
盆の中心で懐中電灯を降るイケメン警備員、彼が守るのは大粒のダイアモンド。
しかし周りに誰もいないことがわかると、ウィッグと服を脱ぎ捨て美人泥棒に変身!
意気揚々と狙ったダイアモンドを手に入れ、アジトへ戻る。
身体にピッタリフィットしたライダースーツ、とにかく整った顔と身体の絶対的美女が妖艶に踊るだけでも鼻血もの。そんな女泥棒がセクシーなランジェリーに身を包みながら盗み出した宝石たちを弄びつつ、火照った身体を覚ますために透明な氷を身体に這わせる。
とにかく滴る水すら美しい、楽曲が終わりを告げて”カラン”と氷を落とす音すら演出するのはさすが!!!!でも最後の挨拶で、お客さんに礼を告げつつタオルで氷で濡れた盆を拭き拭きするのは可愛かった!

2:「New Born」
アンドロイドの様な機械的な彼女。彼女が口を開くと光が漏れる、近未来的な演目。
恋をしているのに、それはどこか冷たく感情すらプログラムされたのではないかと疑いを持ってしまう、仕組まれた感情なのか、それともイレギュラーな恋なのか。
真白さんが本当に目を奪われる美女!なので、余計に口を開けると光る仕様で、どこかロボットにも思えてしまって、どれが正解なのか考察がとても捗ります。一回目の泥棒とのギャップがとても面白かったです。
ポラ人気がとにかくすごい!先輩に伺うと「もう10年踊られてるんですよ!」と教えてもらい、えっ!と驚きました。踊り子さんの年齢を考えるなんて野暮だけど、踊り子さんは本当に見た目年齢を当てるのは無理ゲーなので、余計に真白さんのことを聞いてビックリ。
ポラ対応もバスバスっ!とさっぱりして頼れるお姉さん!という感じで対応されてました、いやあ、眼福でした。


私は時間の関係で2回目で劇場を出た。
先輩と連絡先を交換して、入り口まで送ってもらって(申し訳ない...)
初めてストリップという場所に足を踏み入れたが、飛び込んでしまえばエロいということよりまず身体と踊り、汗と表情に釘付けになって目が離せない。時間があっという間に過ぎる。
異性だから見える踊り子さん、同性が見た踊り子さんは違うかもしれないが「美しいものを愛でる」という思いは同じだと思う。踊り子さんを見つめるお客さんの目は少年の様に輝いていた。

勇気を出して見に行って本当に良かったと思う、得難い経験だった。
劇場内で踊り子さんが身につけていた香水、不意に匂ってきたにんにくの香り、場内の暑さ、演目で使われていた楽曲を耳にしたり匂ったりするたび、これからストリップを見る機会があるかもしれないけど、新宿ニューアートで見た”初めて”を思い出すのだなぁと思う。

先輩が言っていた。

「色々な踊り子さんがいますが、みんな違って、みんないい」

自分の魅せ方を究極まで突き詰めて、胸を張り今日も盆に昇る踊り子さんはとても美しく、そしてカッコいいのだ。

日を跨いでも、まだ余韻はなかなか取れない。
その余韻を確かめるために、また私はきっとまた劇場に足を運ぶのだろう。

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