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食を呪うな ~食の情報リテラシー~

『Minnaごはん』というサイトを立ち上げて、これが最初はふらふらとしておりまして。

『Minna』という子育て情報誌を数年前に作ったのですが、この名前を生かして何かできないかと考えていました。
『たまきたPAPER』で食べ物記事に人気が集中するし、体にいい、おいしいものを提供するお店をいくつか取材して興味が湧いたので―という軽いモチベーション、しかしなんとなく何かになる予感がして始めたサイト。

立ち上げた10月早々、更新が止まりました。

というのも、家族が大病をしたのですね。業務はもちろん、滞りなく行っていますが、かなり右往左往していた10月、11月でした。『Minnaごはん』は現状、収益を出しているわけではないので収益事業を優先せざるを得ず、「それどころじゃない」ということになったわけです。

しかし、その家族の大病で、食について大きなテーマが浮上しました。

「病気を治すには、無添加・無農薬のものを食べること」
「これは体にいいものが入っていないから食べてはいけない」
「糖質は○○に悪い」

その他もろもろの、極端なオーガニックの強いすすめが届くようになったのです。

私は甘酒やぬか漬けを作っているのですが、それは「おいしいから」「好きだから」「面白いから」。手作りしているから、特に保存料などが入っていないだけです。無添加・無農薬のものと、そうでないものが隣に並んでいたら前者を買うけれど、近くにないのに求めに行ったりはしません。

しかし、そうしなければ治らないように日々言われると、やっぱり気になり、無添加・無農薬のものを求めに行く。普通のスーパーにそういうものはたくさんはありませんから、あちこち探し歩くのも大変ですし、値段が高くて家計を圧迫しました。作るのも手間がかかって、仕事とさまざまな手続きで多忙なのに、食事づくりもかなり時間がかかるようになりました。

そのうち、食事が嫌いになりました。ごはんを作るのも憂鬱で、胃が痛くなってしまいました。

そこで思いました。

「極端なオーガニックは添加物より体に悪い!!」

精神的なものもそうですが、先日、無添加が売りの手作りマフィンに毒性の強い菌がいて、食中毒を起こしたニュースがありました。保存料や砂糖を使っていないがゆえに、早く腐敗してしまう。添加物を使わないから菌が繁殖して危ない、という観点でも体に悪い場合があるのです。

農薬などは、もちろん大量に摂取すれば体に悪いですし、添加物もものによってはそうです。しかし、害のない基準が決められていて使用されているものであれば、「もう絶対駆逐しろ!」というようなものでもないはずです。

人の食べているものを「それは駄目」「食べるな」と鬼の首を取ったように言う。食べることに手間とお金をかけさせ、食べることを嫌いにしていきます。「これを食べたら体が悪くなるかも…」という不安を植え付けます。これはもう、食べ物を呪っています。

体にいい食事とは、食べ物を呪わないとできないのでしょうか?

そんなことはないと思います。食べ物は、栄養を摂ること以外に「楽しむ」「コミュニケーションを生む」という側面があります。これはとても重要です。

医師が家族に言った言葉で、印象に残っているのが、「ストレスなく食べるのが最優先」。

食べ物を呪われると、ストレスなく食べられません。

『Minnaごはん』で伝えていくことというのは、レシピや無添加食材の紹介ではなくて、手作りでもいいし、「できるだけ・いつものところで手に入る程度の」体にいい食材で、楽しく、楽に、おいしく。

そういったことと、「食の情報リテラシー」。食に関して、添加物、農薬、遺伝子組み換えなど、心配なのはわかりますし否定もしませんが、それを極端に流布して人を不安にするような情報がちまたに溢れています。それを怖がらず、自分なりの解を見つけて食を楽しんで、元気になっていく。

そういう、「食の情報リテラシー」をみんなが身につけられるように、運営していきたいと思います。

原田あやめ

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