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女子中学生による「若者ことば」に関する考察

休校中の私の娘(中2)がnoteにこれを投稿して欲しい、というので彼女の母である私が代筆する。以下、目次以外原文のまま。

昨今よくきかれる「カオス」「ワンチャン」「メンヘラ」などということば。いわゆる「若者ことば」だが、何を隠そう、13歳の私は少しも理解できない。そこできこえてくることばと状況について私なりに考えるうち、どうやら「若者ことば」には3つの特徴があるらしいという結論に達した。若僧の思考ではあるが、少々お付き合いいただきたい。

若者ことばの特徴

その1  語源を知らない

特徴の1つ目は語源を知らない、ということだ。「カオス」という言葉を例にとって説明しよう。先日私は友人と下のような会話をした。

昼休み、黒板一杯に落書きをした友人がいた。それを見た友人がこういう。

「やば、カオスじゃん」そこで私が「混沌ってこと?」と問い返すと、友人は    さっぱりわからないという顔をした。語源を知らずに使っているのだ。

またこんな会話をした。

「カオスってめちゃくちゃってことでしょ」「え、そうなの?」…知らなかったのか。

カオスというのは、ギリシャ神話では原始の神の名だ。世界は混沌から始まった。カオスという、何もかも入り交じり、何一つはっきりしたものがなかった状態から始まった。それが、「カオス」の語源だ。

別に、いちいち語源を気にしろと言っているわけではない。そんなの知っていたってたいして役に立たない。けれど知っていれば、意味を知らずに使ったり、後に述べるように意味が変わってしまったりすることもない。また第一おもしろい。語源を知った上で使う人が増えれば、「若者ことば」はより分かりやすくなるはずだ。

特徴その2   元の意味から外れている

特徴の2つ目は、元の意味から外れている、ということ。最近よく聞こえてくることばの使われ方に、私は驚愕した。「ワンチャン」である。

「ワンチャン学校休みじゃね?」「あ、そうかも。ワンチャンありかも」

「ワンチャン」これは多分略語でもとはone chance であろう。つまり使うとすれば「大丈夫、まだチャンスはある」というような意味合いで名詞として使うはずだ。それが今、「もしかしたら」という修飾語として使われている。ことばの意味の変化と片付けることもできようか、否、私にはどうも、それでは片づかないように思える。理由は後に説明しよう。

特徴3   本来の意味より使われ方が軽い

3つ目の特徴は、本来の意味より使われ方が軽い、ということだ。「メンヘラ」ということば。これも略語だが、精神異常者という意味だ。他にも「エグい」「やばい」「すごい」といったことばを多用することが、「若者ことば」は軽薄であるという印象を作っているように思われる。

私が若者ことばを使いたくない理由

その他、やたら略語を使ったり、意味も分からぬ片仮名語をとり入れてみたりといったことを挙げていけばきりがない。だが私は「若者」の一人として、「若者ことば」をただ批判するために筆をとったのではない。こんなことばばかりを使っていては、ことばの真の役割が損なわれてしまう。それはもちろん「伝える」ことだ。そのことを伝えたかったのだ。

 最近よく「私語彙力ないんで」ということばをきく。言わせてもらおう、たしかにない。だがそうやって言い訳して諦めてはいけない。伝えることをやめてしまえば、この世にもうその人はいないものということになる。

私がいわゆる「若者ことば」を使いたくないのは伝わらないからである。現に私には理解できない。それに友人のように、問いただしてみたらよく意味を知らないで使っている人も多い。意味がわからないから、「ワンチャン」のように、ことばが先走って意味がゆがんでいく。それを「ことばの変化」と片付けることは繊細な風景画を平筆で塗りつぶすようなものだ。

ことばは伝えるためにある

ことばが通じるのは、ことばの意味を知っているからだ。伝えることがあるからだ。けれど「若者ことば」には、新しさ、すばやさ、歯切れのよさはあるが、共通の意味がまるでない。人によってことばの意味することが違い、人によってはその意味に自信を持てずに使っている。これでは伝わらない。そして語彙力も落ちる。当然だ。

今一度考えてほしい。自分が何を伝えたいのか。ことばは伝えるためにある。伝えたいことに一番合っているなら、「若者ことば」だって何だって使うが良い。だがもちろん、「語彙力ない」ことを気にしているなら、一刻も早く伝わることばを探したほうが良い。

ことばは伝えるためにある。君は何を伝えたい?








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