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手が動く

「とにかくキーボードに手を置けば、勝手に手が動く」Marrayに言われるがままに、パソコンに手を置いたら、本当に勝手に手が動いた。

AYA-MARC.はSNSで出会ったAya Marrayと河野洋が、21年7月に結成したアートユニットで、Marrayの15作品の絵に呼応する河野が詩を書いた「Vibrant Phoenix | 飛翔天海」から始まった。(この15作品は22年9月に日本の出雲で開催されるAYA-MARC.の個展で初公開される)

そして、次に何をしようかと相談した際、日常に生まれるいわば即興アートをインスタグラムに投稿していくアイデアがどちらからともなく提案され、21年9月5日に作品を投稿し始めた。

毎日絵を描くのは大変なので、Marrayが写真を撮り、それを河野へオンラインで送り、インスピレーションを受けた河野が詩を書き、最後にMarrayが写真に詩を添え、加工したものを投稿すると言う方法を選んだ。

第1作目は題名もなかった。

Sadness goes nowhere
Emptiness filled in the air

行き場のない悲しみ
漂いながら空虚に満ちて

河野には他のカメラマンが撮影したように見えたが、Marrayは自撮りだと言っていた。河野は写真を見た時、悲しみが漂っている感じはなかったのだけど、影が一所懸命背伸びしているような印象を受ける。内に秘めた熱き思いは行き場がなく、影が周りの空気を満たそうとするのだが、その術もなく、代わりに空虚だけが彼女を包む。そんな詩になった。

河野曰く、これは詩と言うより、感想文の一部を切り取ったような、思いつくまま言葉を並べたそうだが、それでも、AYA-MARC.のDMMAにおける第1号の作品だと考えると、二人にとって非常に感慨深い作品であろう。そして、この投稿後、AYA-MARC.は11月11日まで休むことなく毎日連続投稿を続けることになる。

河野 洋

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