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【詩】過去からの声

過去からの声

水面を浮き沈みするように
現れては消える様々な声達
ある時は「会えて良かった」だったり
ある時は「残念です」だったり

私の中にこだまとなって響き渡る声は
私自身の過去からの反響
なのにそれらは いつでも
新芽のような息吹で沸き起こる
芽吹きの時は ことさら
強い風の中で鞭のごとくしなう枝々のように
あるいはその先でほぐれる若葉の柔らかい感触のように
私の中で鮮やかに揺らぐ

心がそれらに引き込まれると
意識はいつの間にか今を抜け出して彷徨い
過去の同じ時間を何度も繰り返し生きる
瞬間のみを確実に前へ刻む肉体
それに付随した全てが
視線も 吐息も 仕草も
目の前の事実の上だけを流れていく

私の意識は
心の一番側にある景色と
つい真剣に向き合ってしまう
そして時折それらに気を取られ
危うく操られそうになる

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