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【詩】大空からの涙

大空からの涙

揺りかごに揺られるような心地良さに
いつの間にかうたた寝をしていた
当然訪れると思っていた冬のきらびやかさが
いきなり色褪せた友人の悲しい知らせ
久しぶりの電車での遠出が
神楽月の終わりにふわふわと実感の持てないまま
慌ただしく出発する旅になるとは思ってもいなかった

黒い足下だけが車内の熱風にのぼせていた
窓を過ぎゆく外の景色は
ついさっきまで人々の頭越しに見え隠れしながら
立ち並ぶビルや家々の屋根を照らす陽光でいっぱいだったのに
ほんの短い休息から目覚めてみると
寂寥にさらされた田畑がすっかり目の前に広がり
空の本当の色が青いことなど信じられないほど
全てがくすんだ白い吐息に包まれたようになっていた
色鮮やかに葉を染めた木々に彩られながら
微笑みかけてくれているはずの山々も
彼方に霞んで見えなかった

人影もまばらになった電車の曇ったガラス窓に
ひとさし指で彼女の名前を書いた
冷たい
まだまだたくさんおしゃべりするはずだった
これからもっと一緒に過ごすはずだった
いったいどこへ行ったらいいのか

窓に透き通る呼び慣れた彼女の名前に
大空からの涙が
ツーツーと訪れ始めた

私の心はまるで
遥か昔に瞬いた星のきらめきを
唐突に受け取ったような閃光に貫かれた

全てがみるみる潤んでいった

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