インディアンとエスキモーのオリンピック
インディアンとエスキモーのオリンピックってご存じですか?
今は亡き、星野道夫さんの単行本を愛読していた時期がある。その一冊、「旅をする木」だったか、インディアンとエスキモーのオリンピックのことが2行ほど書かれていた。それまでウインターオリンピックの撮影をしていたせいなのか、「オリンピック」という単語が妙に引っかかった。
今ほどインターネットが一般的ではなかったこともあり、アラスカで開催されているこのオリンピックについて調べるのはなかなかハードルが高く、結局、観光局へ問い合わせるなどして調べた記憶がある。
それでも情報はあまりなく、どうしても気になったので、日程に合わせてアラスカを訪れてみることにしたのだ
地元で案内してくれたのは、フェアバンクスにあるオーロラの研究所で所長のアシスタントをしている若者だった。私が、故星野道夫さんに憧れていることを伝えると、「今、僕が彼の家を管理している」と言って、星野さんの家に連れて行ってもらい、感動したことを思い出す。
その日の夕方、撮影のための登録をしなければと会場を訪れてみると、地元の体育館。
体育館でオリンピック??? ここで??
少々不安になりながらも、とにかく翌日体育館に向かってみた。イベントは開催されている。が、これがオリンピックなのだろうか??
イメージしていたスピードや得点を競い合うオリンピックとは全く違うことに正直戸惑った。その年はとにかく見るだけ。何というか…。競い合うというより、棒を引っ張り合ったり、耳にゴムを引っかけて引っ張ったり、何をしているのか、私には理解できなかったのだ。3日間開催されるイベントを2日間だけ見て、あとはアラスカを楽しむことにした。
ところが…
地元の方にこのイベントについて伺うと、
一つ一つの種目にはアラスカらしい…とても大事な意味が隠されていること、お年寄りから若者へと継いでいることを聞かされる。
どこか心の中で,きちんと取材しなかったことを後悔し、翌年再び渡米。
なぜその種目が生まれたのか、聞けば聞くほど興味がわく。
日本人一人。ガッツリと取材をさせてもらい、記事を書くこととなった。
掲載誌:旅学、そしてTarzan