布は糸からできている

ニットをデザインする時、糸を吟味する。
素材、混率、糸の太さ、糸のデザイン、糸と糸の組み合わせ…

洋服というと、「布」や「生地」を思い浮かべる人が多いと思うけれど、それらは「糸」からできている。

そしてニットは生地という概念がなくて、一本の糸の(撚ったり、引き揃えたりはあるけれど)つながりでできあがるから、洋服は元を辿れば糸。


いつも糸を前にうーんうーんと頭を悩ませている私を見て、財務回りを託しているスタッフさんが、「素材選び」でなく「糸選び」になぜそんなにこだわっているのか不思議だったようで、「どうして糸にこだわるの?」と聞かれてハッとした。


そう、専門学校に行ったわけでもない私が最初にこの業界に入った時、「そうゆうことだったのか!」と目から鱗だったのを思い出した。
別に気にしなくても生きていけるし、だから何?ってことでもあるけれども、
洋服の布は実は2種類。「織(weave)」か「ニット(knit)」か。

織は、経糸と横糸でできているもの。手織りも、機織り機も、大量生産の織機も、経糸をセットして、横糸を通していって出来上がるのが織生地。

ニットは、1本の糸でずーっとつながっていて、出来上がるのがニット製品やニット生地。編み物は毛糸一つでできるように、機械になっても基本は同じ。

経糸と横糸でしっかり織られてセットされているから、ピシッとしている織生地は、切ってもそこからすぐにはほつれてこないけど、ニットは1本の糸でつながっているから、引っ張ればどんどんほつれていく。その代わり、1本の動きで編まれているから、伸縮性がある。

細い糸で編まれたニットの生地を、裁断して縫製したのがカットソーというやつだ。カット(cut) & ソー(sew)。 カットソーもニットの生地だから伸縮性があって、Tシャツとかインナーになっている。

織はピシッと形崩れし難いから、シャツやジャケット、ズボンになる。


視線を浴びると緊張しやすい私が昔からニットの洋服が好きだったのは、体に合わせて伸びたり、しなったりして生まれる着心地の良さ、ゆるさ、リラックス感からだったのかもしれない。


デザインも着心地も重さも、織り方、編み方で変わるけれど、糸を変えてもまた更に変わる。だから洋服って、ものすごいバリエーションができる。往々にして見た目のデザインが重視されるけれど、元を辿れば糸から成る洋服。糸を辿れば、それは元々自然の恵み。植物や、動物の毛、そして化学技術も。

ペルーの大地で感じた大自然の力。
自然素材とニットの着心地のよさ。

個性豊かな素材の糸は色々あるけど、あまり知られていないものも多い。
ペルーで出会ったアルパカの糸のように、その土地ならではのおもしろい素材を発見して、
見た目ではわからなくても、実はしっかりある個性を肌で感じるような、ギャップに驚くようなニットをつくりたい。

最近は、日本のおもしろい素材も探しています。


















































この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?