誕生日にあたって近況報告~責任を果たすことと自分らしくあること~
8月4日に誕生日を迎えました。ここ一年を振り返ると本当に大変な年でした。自分の誕生日には毎年昨年の誕生日と新年に立てた目標に照らし合わせつつ振り返りを書くのですが、今年は今考えていることを書こうと思います。
書きたいことはたくさんあるのに、いつもすぐ「やるべきこと」を優先してしまいがちなのだけど、誕生日と新年に文章を書くことだけは続いているのが不思議。
あくまで自分が振り返り考えを書いて整理することと、気にかけてくださっている方への報告がメインの目的で書いています。
「責任」を引き受けること、果たすこと。
直近では1年前に、ソーシャルグッド界隈での有名人から受けた性加害について、3月末に他にも複数の被害者がいることを知り、性加害だと公にされていなかったことで予定外の告発を行いました。それから4ヶ月。まだ公にできることは少ないですが、団体関係者からの二次加害も相次ぎ、団体関係者や周辺企業・団体での労働問題やハラスメントの告発も続き、まだ公になっていない性暴力やハラスメント被害もある中で、被害に遭った方やサポートをしてくれる方々と協力しつつ、実態を明らかにするべく動いています。
※参考
この1年は、自分にも、自分に相談してくれた方々にもあまりにも理不尽なことが続く1年でした。
公共性の高い仕事をしているはずの、弱い立場の人を支援する立場である組織の、社会的に信頼され本来は頼られるべき人から、そして安心できるはずの場で、暴力やハラスメントが相次ぎました。どれも二次加害が酷く、黙殺や排除がなされました。自分自身追い込まれましたし、そういった相談をたくさん受けてきました。
センシティブな情報をたくさん抱えている関係で人に言えないことも多く、うまく動けなかったり、一人で抱えすぎて何度も身体を壊してしまったりもしました。
こういう分野の暴力やハラスメントについて言及することはとても怖いことです。
まず、自分が当事者である事案に関しては、すでに加害でダメージがある上、酷い二次加害に遭うことになり、フラッシュバックを起こし心身の不調を抱え、居場所を追われ、人への信頼を失いながらも動かなければいけません。相談を受けてサポートで動いているときとは全く違う感覚だと改めて実感しました。
そして、何より怖いのは、自分自身もまったく清廉潔白な人間ではないことです。余裕がなくなって動くことができなかったことも多く、不義理もたくさんしたし、至らなくて不用意に人を傷つけてしまったことは覚えがあります。それが人を追い詰めているかもしれないと何度も思い返し、自分を追い込みながらも言葉を発し動きつづけることになります。
ただ、あえて今回、自分は矢面に立ち、「責任を引き受けること」を選びました。きっとそれが今、直面している問題に対する自分なりの回答であり、一人の大人としてとても大事なことだと思っているから。
自業自得だと言われても。加害者や団体を追い込んだと言われても、和を乱したと言われても。自分も人のことを言えないと責められるとしても。確かに何の得にもならないし、むしろ損ばかりしているのかもしれないけれど。不信感や失望の中でも、公正な判断がされることを、信頼できる関係と安心できる場を築いていくことを、諦めたくなくて。
そうやって自分なりにできる限りの誠実さを尽くして動いたことで、自分を信頼してくれる人もたくさんいるとわかったことは救いでした。そして、問題に向き合ってくれる方々がいることに希望を感じました。特に協力して一緒に動いてくれている方々には感謝してもしきれません。誰か個人を信頼することが危うさにつながることはもちろん実感していますが、「信頼できる」と思える行動があったことで、人への信頼をすべて失わずに済むと思えるのです。寄付を頂いた方々も本当にありがとうございます。弁護士費用や医療費、活動資金などにあてられています。できる方には後ほど個別にお礼を言わせて下さい。
ただ、このまま個人で動いていくのは限界があるので、今後問題に向き合っていくためには、いろいろな方の協力が必要になってきますし、継続のためには自分の今後の仕事につなげていきたいと思います。ソーシャルグッド界隈や社会福祉界隈での問題は、取材をして記事を書いて問題提起をしつつ掘り下げて改善の道を模索していきたいです。書けそうな媒体に心当たりのある方は教えて下さい。
支援情報もまとめていきたいです。性暴力やハラスメントが起きたときの団体の対応については外部の目線もある包括的な取り組みができないかと模索中です。そのあたり詳しい方やなにか近しい問題意識を持っている方や団体があればつながりたいです。構造的な問題なので、「誰が悪い」とだけ言って終わらせず、当事者意識を持ってできることを動いてくれる方が増えることを望んでいます。
自分が抱えていることの1つで、昨年7月から始めた、2年半以上続いた同一人物による複数アカウントを使った誹謗中傷の開示請求は、7月に権利侵害が認められ、開示が決まっていました。しかし、先日控訴されてしまい、最低半年くらいは長引きそうです。損害賠償請求の訴訟を合わせればまだ1年くらいはかかるはず。この周辺の話も単なる誹謗中傷でなく知人によるものであり、様々な問題を孕んでいて、けして一連の話と無関係ではなく地続きの問題になっていたりします。理不尽なことをそのままにはしたくないですし、少しでも潮目を変えていきたいので、これから1年も引き続き「清算」の1年になりそうです。
未来を見据えた夏休み
誕生日は、パートナーのくまと近所の天然温泉付きホテル、「ドーミーイン池袋」に行き、ほんとうに久しぶりに何も気負わずゆっくり過ごせました。それから思いっきって2週間ほど休むことにして、自分の身の回りのことに時間を使うことができました。ここ何ヶ月は常に追われていて「動けないだけで休めていない」状態が続いていましたが、全てを一旦置いて休めて、だいぶ元気になってきました。新しく飲み始めた薬が合っているのもあると思います。元気になれて今後のこと具体的に考える事ができるようになってきました。
コロナ禍での動きにくさに加え、34歳という年齢やここ数ヶ月自分のキャリアにあまりコミットできなかったことで、今後の自分の人生に対して不安を感じる日が続いていました。そんな中、この夏休みでくまと今後の人生について話し合うことができ、お金の計算をしたりライフプランを立てたり今後のタスクを書き出したりして、継続的に会議をしていくことになりました。現状を可視化して整理すると、何を考えどんな基準で決めて動けばいいのかがわかって不安は減ります。なにより話し合いができてコミットしてくれること自体が一番安心しますし、未来の話ができると前向きな気持ちになれますね。
今後企業に勤めたいと思っているので、転職活動も頑張ります。環境を変え、組織に入って動くことで個人で動くよりも規模感を出したり、もう少し広い視野を持った仕事ができるようになりたいなと思っています。
ライターや編集、メディア運営、WEB関係などが今の希望ですが、柔軟に他の選択肢も考えながらやっていきたいと思っています。アルバイトや契約社員からでも、合いそうなお話があったらお声がけいただけると助かります。
心地よく、自分らしくありたい。
最近、ずっと気にかけてくださっている方が「思った以上に色々と巻き込まれていて、卜沢さんの優しさがすり減ってしまわないか、心配です。」「卜沢さんにはもっとやりたいことをやってほしいです。」と言って下さって、その言葉が胸に響いて泣きそうになりました。
「性暴力被害者」というスティグマを引き受けたことは、長年覚悟を持ってやってきたことではありますが、まわりからの目線、イメージや期待と自分のギャップに苦しんだり、それに縛られてやりたいことを抑えてしまうことも多々ありました。特に最近は、「あまりやりたくはないけれど自分の倫理観でやるべきだと決めたこと」を続けていて、それを優先することで諦めたこともたくさんありました。
広い意味で言えば、理不尽な状況を変えるために動く事自体はやりたいことではありますし、「責任を果たすこと」は大事にしたいと思っています。その上でこの1年は自分のために「やりたいことを抑えずにやること」を心がけて、なにより楽しんでいきたいです。「分人主義」によれば「本当の自分」などはないのかもしれないのですが、それでも自分を抑えすぎずに、自分が心地よく「自分らしい」と思える状態でいられるようにしたいなぁと思っています。もうずっと似たようなことを言っていて。自分を枠に押し込めて、枠を緩めて。きっと、ずっとその繰り返しなんだろうなと思いつつ。繰り返しながら少しずつやわらかい気持ちでいられる時間が増えていけばいいな、と。
ほしい物リスト
せっかくなのでほしいものリストも公開しておきます。その時々で、「あると自分が元気になるもの」を詰め込んでいるリストで、自分でも少しずつ買っています。もしも気が向くときがあったら投げてもらえると卜沢がとても喜びます。今回の件で、自分も少し人に甘えてみようと思うようになったし、できるときは少額でも人に寄付したりほしいもの投げたりしていきたいと思うようになりました。
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