日本の美の正体とは? 建築の日本展で感じた事
ミニマル、シンプル、機能美、侘び寂び...
そんなキーワードで語られる日本の建築。
それらの言葉は、日本の美 の重要な要素として世界中で語られたりするけど、日本の建築の美しさとは、それらのキーワードではまだ語り尽くせないものがある気がしていた。
会期終了間近の建築の日本展は、平日と言う事もあり半数は外国人観光客。
少し誇らしい気持ちで展示を見ていると、伊勢神宮の模型に目が止まった。
はあ、美しいな。
展示解説を読んでみる。
日本において「美しい」という言葉は、伊勢神宮の有様を表す言葉として登場したのが語源と言うような事が書かれていた。
だから「美しい」と言う言葉には、ただbeautifulなのではなく、「清らか」というニュアンスが隠れている。
「そうか」と腑に落ちた。
個人的な実感に過ぎないけど、日本に現存する建物の中で、近代現代建築を含め
綺麗と思う建築は数あれど、美しいと思う建築は、片手に収まるくらいだ。
日本人の私は、「美しさ」の中に、本能的に「清らかさ」を求めていたのかもしれない。
美しい技法や、インスタレーションは、たまに見かける事が出来る。
ただそれが建築となると、建築家の力量は当然として、様々な設計条件や施主との相性、予算、職人、現場の士気などが合致して、ある種の奇跡がないと、美しさの条件である「清らかさ」は生まれないのだと思う。
しかしこの日本独特な「美しさ」は、世界を強烈に魅了する。
何も伊勢神宮や桂離宮のような伝統的な日本建築だけに宿るものではなくて、丹下健三や谷口吉生、村野藤吾、西沢立衛の一部の建築をみていると、モダンで近代的な表現でもこの「美しさ」を宿す事ができるのだと分かる。
表現は変わっても、日本の建築の本質は、きちんと受け継がれてきたのだ。
だけど、その先は...?次は、誰が受け継ぐのだろう。
日本の建築は、大きな転換期を迎えて久しい。だけど、このままこの道を歩んで行ったら、一番大切なものを失ってしまうのではないかと、少しだけ不安になった。
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