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Netflixドラマ『ダーク』と『1899』へのファンレター

Netflixドラマ『ダーク』を観たのはもう2年も前になるのに、今でも視聴中のあの時間をうっとりと思い出してしまう。

ドイツのドラマである。自然豊かな小さな田舎町を舞台に、狭い人間関係がいろいろと入り組んでいる風である。そこに子供の連続失踪事件が起こる。

陰鬱なミステリーサスペンス風に幕を開けるこの作品は、実は超ド級のSFかつ、のっぴきならなすぎる人間ドラマである。こんなの今まで見たこともないと度肝を抜かれまくる物語である。

どうぞシーズン1の5話、5話まで観てみてください。5話のラスト、あまりのことに自分は「マジか」と声が出そうになりました。あの驚きを誰かと分かち合いたい。
お忙しい方はせめてオープニングだけでも。この意味深なオープニングがこけおどしでなく、本編の内容をしっかり象徴しているのが素晴らしい。そしてオープニングを観て「これ好きかも」と感じた気持ちを本編が裏切らないどころかはるかに超えてくる。暗いテーマソングも最高。

このドラマは複雑さが魅力なのだけれど、にしたって人間関係や時系列が入り組み過ぎているので、インターネットの親切な方々がまとめてくれた人物相関図がたいへん参考になりました。

シーズン3で余韻をもって美しく完結するのも素晴らしく、自分にとってNetflixといったらもう何をおいても『ダーク』。

その『ダーク』を作ったのがヤンチェ・フリーセとバラン・ボー・オダーというコンビ(脚本・制作)で、2022年秋にNetflixで配信された彼らの新作ドラマが『1899』。
ニューヨークを目指す移民船を舞台に、国籍も言語も違う乗客や乗組員たちが織りなすミステリー・スリラー。「ミステリー・スリラー」というのは公式の表現だけれど、それはほとんど序盤だけで、ごりごりとジャンルを変えてくるのは前作と同じ。

暗いトーンの中にも少年少女の青春が光っていた『ダーク』と比べると、『1899』は舞台が船の中というのもあって閉塞感があり、印象としてはやや地味かもしれない。
しかしながら、ひねりの効きまくった展開や、運命を変えようと奔走する登場人物、レトロなガジェットや子供部屋といったモチーフに、前作と重なる作家性と魅力を感じて、さすがヤンチェ・フリーセ&バラン・ボー・オダーさんやでと嬉しくなる。

『1899』シーズン1のラストはこれまた怒涛の展開を見せて、これはたまらんセットアップだったわいと、次のシーズンへの期待を高まらせまくってくれる。くれるのだけど、1シーズン限りでの打ち切りが早々に決まってしまった…。

ヤンチェ・フリーセ&バラン・ボー・オダー
さんに次回作も楽しみにしてますと励ましのお手紙を出したい気持ちが込み上げるも、送り先も言葉もわからないので、代わりにこの文章を書きました。

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