会社役員・人事担当者が知っておきたい!女性のヘルスケア問題〜超入門編・月経編〜

月経前症候群(PMS)

第2回目になります。今回は月経前症候群(PMS)についてお話します。

なんとなく彼女、奥様の機嫌が悪い、だるそう、いつもよりやる気がないなぁと感じるときありませんか?それってPMSかもしれません。こういう症状は自分では正直気が付きにくいんです。
恥ずかしながら私も自分で自身のPMS症状に気が付きませんでした。PMSの時期に胸が痛い・張る、ずっと眠い(本当に1日中眠っていられるのです)、だるいなどの症状には気がついていました。でも、ちょっとしたことで怒りっぽくなったり、リアクションが大げさになったり、不安になったり、自信喪失したりしていることには気がついていませんでした。それが周囲に気遣いをさせていることにも。
たまたま他の人に指摘してもらったことで自分の症状に気が付き対策をしようという意識に変わりました。
一方痛みであれば自分で気が付きます。でもその程度は他人にはわからない。

PMSはそういう「自分でわかる症状+外から見てわかる症状」の組み合わさる複雑なものです。

PMSなのか、ただやる気がなくてだるいのかわからないという方は月経とともに繰り返し起こるか、再現性があるか、というところが判断ポイントになります。同様の時期に同じような症状が起こればPMSの可能性が高いです。

PMS症状を改善するには自分の症状に気がつくこと、が第一歩です。
なので自分の親しい人がもしかしたらPMSかもしれずに気がついていなかったら、やんわりと指摘してあげるのも良いと思います。言葉は選んで下さいね。その時に指摘するのでも、あとから「あのときはPMSの時期だったのかな、調子悪そうだったもんね」とか何でも良いので、責めることはせずに共感するというスタンスでいると良いと思います。セクハラになるかならないかはその人とどの程度親しいかやコミュニケーションが取れているかによると思うので関係値をしっかりと評価しましょう。

月経前不快気分障害(PMDD)

月経前不快気分障害というものをご存知でしょうか??PMSと似たようなもいのですが、精神的な症状が強いものを言います。生理前の重度の抑うつ症状、不安、精神不安定をきたします。PMSの頻度は女性の50〜80%程度と言われていますが、PMDDはもう少し低く、全体の5%程度と言われています。こちらは精神科の先生方にも診ていただくのがよいです。

月経前症候群の原因や時期

PMSのはっきりとした原因はわかっていません。ただ排卵したあとの黄体期(高温期)に起きる症状なのでホルモンの変動や黄体ホルモンという排卵後に出るホルモンが関係していると言われています。

月経は排卵によってコントロールされていると言っても過言ではありません(排卵がうまく行かない方は別です)。第1回目で月経周期は25〜38日というふうに書きましたが、これは生理が始まってから排卵までの日数の違いによって生じるというふうに考えていただけると良いと思います。排卵してから2週間で生理が来るというのがスタンダードです。
要するに月経が28日周期の方であれば生理が始まってから14日目がおよその排卵日であり、35日周期の方であれば生理が始まってから21日目がおよその排卵日です。
なので多くの人は次の月経開始日から2週間前が排卵日だったんだな、と逆行性に推測するのです。

排卵する日は自分自身でわかりません。「あ、今排卵した」なんてわかる方はほとんどいないでしょう。なんとなく、排卵痛がある方や、排卵直前におりものが多いなとか、そういった方は感覚的にあるかもしれませんが、推測に過ぎません。なので不妊治療でタイミング法をとられている方は超音波や採血をして、正確な排卵日を当てに行きます。

少し話がずれましたが、その排卵後からPMSの症状が出てきます。そして月経が来る(=出血が始まる)とPMSの症状は消失。月経の前に出てくる症状なので月経前症候群(PMS)といいます。月経がきたあとは月経困難症の症状が出てくるのです。

月経前症候群の治療

月経前症候群の治療としてはまず先程も書きましたが、自分の症状に気がつくことから始まります。そして生活習慣改善(運動、食事、睡眠)などの見直しを行います。これで少しは緩和します。しかし更に気になる症状に関しては薬物療法の対象になります。例えば不安症状が強い方は抗不安剤・抗うつ剤や、痛みが強い方は鎮痛剤、腹部症状が強い方は整腸剤や便秘薬、むくみが強い方は利尿剤などです。漢方薬を処方することもあります。
低用量ピルの種類によってはPMSに効くものもあります。アメリカでは保険適用になっていますが、日本ではまだ認められていません。自費であれば低用量ピルとして処方できますので、そういった対処の仕方もあります。

いずれにしてもPMSの時期は本人のパフォーマンスも落ちますので、どうにもならない、と我慢するのでなく、こちらも一度受診をおすすめします。

月経前症候群(PMS)は多くの女性に見られる症状です。程度は人によりますが自分自身気がついていないこともあります。過度にストレスのかかる生活を見直し生活改善から先ず開始するのがよいでしょう。





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