会社役員・人事担当者が知っておきたい!女性のヘルスケア問題〜超入門編・月経編〜

月経に関する問題

それでは第1回目、月経に関する問題についてお話していこうと思います。
まず月経=生理です。医学用語では月経といいます。
女性の方はなんとなくご存知かと思いますが、月経は25〜38日周期で繰り返される子宮からの出血です。1週間位生理がずれても普通です。正常範囲です。ぴったりくるのが正解だと思っている方もいらっしゃいますが、1週間くらいのずれであれば放っておいてよいです。

では実際どのくらい出血するのでしょうか?正常な出血量はおおよそ50〜120ccくらいといわれています。120mlはだいたいコーヒーカップ1杯分くらいです。それが3〜7日かけてダラダラと膣から出てくるのです。

子宮は筋肉の塊です。子宮がギューッと収縮することにより、子宮の内側の膜が剥がれ(子宮内膜)生理の血とともに細い子宮の入り口から膣に出てきます。膣に一時的に溜まった出血はある程度の重さになるといっぺんに膣の外に出てきます。要するに絶え間なく出てくるわけではなくて、一回ドバっと出て、そのあとチョロチョロ、そしてまた暫くするとドバっとでる、というのを繰り返します。いつも一定の量がでてくれるわけではないので、一気に大量にでるとナプキンから漏れ出てしまい、下着やスカートまで変えないといけないこともあります。
自分で出血が出てこないようにコントロールできません。なので大切な会議の時でも出てくるし、私達外科医は長時間の手術になると生理のときは昼でも夜用ナプキンをして、いつ大量に出血しても良いように準備をしていきます。結構厄介なものなのです。本調子になれないのもわかっていただけるでしょうか。

月経の量が多い

月経の量が多いことを過多月経といいます。実際にどのくらいの出血量があるのか計測できないので、その人の申告と血液検査の結果、超音波検査などで総合的に判断します
たとえば出血量の多い人は昼用ナプキンだと一瞬でいっぱいになってしまうので、普段から夜用ナプキンをしています。その夜用ナプキン(通常女性が夜1回も変えないで良いように大容量でつくられているもの)が30分で溢れてしまうエピソードがあったり、出血が3〜5cmの塊になって出てくる事があれば過多月経の診断がつきます。更に血液検査で貧血があれば治療対象になります。治療目的は貧血を改善することです。Inを増やす(鉄剤の投与)かOutの調整(出血量を減らす)を行います。原因として子宮筋腫や子宮腺筋症がある人もいるのでその場合はその疾患への治療を行います。

月経の痛み

月経のときに全くなにも症状がない人は女性の2割のみと言われています。月経のときに何かしらの症状があれば月経困難症です。検査などは必要ありません。症状がある8割の中でも、3割は実際に何かしらの医療介入が必要だと言われています。つまり月経のときに本調子でない人が8割である、ということです。

良く外来をしていて、「月経は痛いのが普通だから、自分が治療対象になるのかがわからなくて今まで我慢していた」という患者さんが結構な頻度でいらっしゃいます。自分が少しでも辛いと感じたらその時点で治療対象になります。主観的で良いんです。実際に本人が感じる苦痛を客観的評価するなんて無理だし、意味のないことです。辛かったら受診。その時点で保険適応で治療は開始されます。

だいたいその症状は生理の出血の多い時(1、2、3日目)に痛みが強い傾向にあり、生理の終わりと共に改善します。その症状の強い1〜3日間をどうやって快適に過ごすかの最適解を見つけていく診療になります。

先程もいいましたが、子宮は筋肉です。筋肉の中でも自分でコントロールできる筋肉とできない筋肉がありますね。胃や腸の筋肉は自分の意識でコントロールできません。子宮はそれと同じ種類の筋肉です。その筋肉が収縮することで生理の出血を押し出し、その出血が子宮の細い出口を通る時に痛みを感じます。お腹を下した時、周期的に痛みが来ませんか?生理のときはあのように周期的に痛みが来ます。でもお腹を下した時の痛みよりももっと鈍く、奥底にズシンとくるような腰骨に重りを付けられたような痛みです。同時に頭痛がある人もいます。症状は十人十色。放置すると更に痛みを感じやすくなったり、他の部位にも痛みが出てくるようになったり、月経のときだけでなく慢性的に痛くなったりするので、痛みは我慢せずに治療するのが大切なんです。月経が辛そうな人がいたら婦人科の受診をすすめるのがよいでしょう。

簡単にできる対応方法ですが、お腹を温める、鎮痛剤をできるだけ早く内服する、休むなどが一番手軽にできる対処法です。他、本人が楽になるのであればアロマでもマッサージでも整体でも鍼灸でも何でも良いと思います。でもそれでも十分に疼痛コントロールができない場合は婦人科で対応を考えていく必要があります。
でも多くの人にできていないことは以下。

ポイントは完全に痛くなる前に鎮痛剤(NSAIDs)を内服すること!!

です。NSAIDsは胃が荒れてしまうものもあるので胃薬と併用でも良いですし、坐薬があればそちらのほうが即効性があります。人によっては痛みが強いと吐き気を催して内服ができないときがあるんです。坐薬もちゃんと使えるようになると良いと個人的に思っています。

今回は月経痛(月経困難症)に関してお話しました。
次は月経前症候群(PMS)についてお話していこうと思います!


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