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愛道 第二章

体は聖なる器

“Everything we touch in our daily lives, including our body, is a miracle.By putting the kingdom of God in the right place, it shows us it is possible to live happily right here, right now.”
私たちの日常は奇跡にあふれている。この体も奇跡そのものだ。体は神の住まわれる王国だと思って丁重に扱いなさい。体が、今この瞬間この場で幸せに生てられるんだと知らしめてくれる。— Thich Nhat Hanh

第一章では、日頃から魂とつながり易くするための一つの手段として、あなただけのパワースポットを持つことをお勧めしました。愛道は内面で培うものですから、自分の内側で、本当の自分とは何か?と見つめることから始まります。パワースポットとは、そこに行けば平穏な気持ちになり、日常の忙しないマインドを休め、本当の自分になれる場所のことです。本当の自分になるとは魂につながるということで、愛道は魂につながるための鍛錬とも言えます。

この章では、あなたの持っている肉体にフォーカスしてみましょう。体は聖なる器、神の住まわれる神殿です。
ご自分の体をとくとご覧になってみてください。それがどんなに精巧なつくりをしているか気づかれていますか?生まれたばかりの赤ちゃんと対面されたことがあれば、思い出してみてください。手足の指のなんと小さい事か、そしてその指先の一つ一つにこれまた小さくて柔らかい爪がちゃんと全部の指に付いていますよね。そっと指を差し出すと、その小さなお手手であなたの指をぎゅっと握ってくれます。まさに奇跡の賜物です。

私たちの体は、内臓、血管、神経、筋肉、骨など様々なエレメントでできていますね。何兆もの細胞があり、一つ一つの細胞が全て集まってそれぞれの持ち場で、体液や血液、リンパ液を運び、収縮し、吸収と排出を行い、老廃と再生を繰り返して様々な機能を24時間365日生まれてから死ぬまで数十年もの間、休みなくこなしてくれています。

私たち人間は感覚を携えた生き物ですから、体は生きている間、様々なセンセーションを感じています。疲れた、暑い、寒い、眠い、お腹が空いた。これらはみんな体で捉える感覚ですよね。そうした感覚を得たら、疲れたから休息しようとか、お腹が空いたから何か食べようとか、寒いから上着を着ようとか、何かしら対処しますよね。体はあなたに逐次シグナルを送って注意を促してくれているわけです。もし体が感知してくれなかったらどうでしょう。寒いのに薄着のままでいて次の日には鼻水が止まらなかったり、眠いのにカフェインでごまかして長時間残業して倒れてしまうかもしれませんよね。

体はあなたに、何かしらの気付きをくれ、注意を呼びかけてくれる訳ですから、体の感性とでもいいましょうか、感知する能力を鋭敏にしておくことがとても大切になってきます。

私は、体をメンテすることはある種の祈りに通づるものがあると思っています。祈りに関しては様々な定義があるものの、どんな祈りにもその土台には感謝があると私は思っています。体の感性を育てておくことで、自身の内面の声が聴こえ易くなる。ここで言う内面の声とは心の奥にある魂、霊性の声です。魂、霊性はあなたのGod self (神聖なる真我)ですから、それを大切に内包してくれている体に感謝と尊敬の念を持って接する。その向き合い方は祈りに似ていると思うのです。

Love out Love in 愛を吐いて愛を吸う


呼吸が大事だと耳にされたことがあるのではないでしょうか。違った呼吸法を試されたことがあるかもしれませんね。最近では様々な呼吸法が紹介されていて、私もヨガや瞑想と合わせて呼吸法を色々教わったことがあります。その中で、気功の先生から学んだものが印象に残っているのでご紹介します。

まず、吐く息から始めます。吐く息に合わせて愛を吐く。吐ききって肺が空っぽになったら自動的に吸い込むのでその時には愛を吸い込む。まずは
与える、そうすれば自然と返ってくる。愛を入れるには、まず出しきってスペースを空けなくてはいけない。Love out and Love in 愛を吐いて愛を吸って、この呼吸をゆっくり繰り返していると、体が自然の法則を思い出します。そしてマインドでもそれが理解できるようになります。

体の二本の柱


体幹という言葉をよく耳にしますね。あなたは普段から体の中心軸を意識されていますか?私はコアトレーニングを通し、体感とは体の中心にある木の幹のようなイメージで、その一本の軸が元となって身体を動かすのが正解だと思っていました。ところが最近、ある特定の民族は体の右側と左側に分かれた二本軸を持っていて昔からその感覚で身体を使っていた、という興味深い記述を見つけました。

私たちは子供の頃から行進の練習などで、手と逆側の足を交互に出して前進し、体の中心軸を持つことを体に覚え込ませてきました。ところが、例えば日本の伝統的武道の一つである弓道では、西洋のアーチェリーが体幹の一本軸を基軸にするのに対し、両肩、腰の両側、両足を意識して二本の基軸を重要視するそうです。

体の二本の柱を初めて意識したのは徹夜踊りで有名な郡上おどりでのことでした。ようやくコロナ禍も落ち着きの兆しが見え始めた2022年のことでした。

戦後生まれ、ベビーブーマーの親を持ち、日本が西洋化していく真っ只中で育った世代によくあることかもしれませんが、私は以前、盆踊りとは何か古いものとして、格好いいとか楽しいというより、うっすら漠然としたイメージしか持っておらず、正直言って特に思い入れはありませんでした。

ところがその盆踊りのイメージがハワイで暮らして一変しました。6月から9月までの間、島のどこかのお寺で毎週末繰り広がられるbon-danceは交通渋滞を起こすほど人気の夏のイベントで、1800年代にハワイにやってきた日本人移民達の残した文化遺産として、私も同じ日本人として祖国を懐かしむ彼等に思いを重ねると同時に、teriyaki-songなどハワイ独自の唄も加わって現代にも受け継がれる夏の風物詩になっていたのです。

アメリカ人で、夏の間毎週奥さんと浴衣で盆踊りに出かけ輪の中で最初から最後まで踊るほど盆踊り好きな友人が、その魅力をある時こんな風に語ってくれました。「僕が盆踊りにこんなにハマってるのは、それが瞑想であり祈りでもあるからなんだ」と。瞑想であり祈り。どこがどういう風にか当時の私には理解しきれなかったものの、その言葉は印象に残りました。

その夏、日本に帰省中、ふと目にした新聞のコラムに郡上おどりについて書かれていて、とても興味をそそられました。77年前の8月15日、終戦の玉音放送のあった日も、郡上の人は放送の後、誰からともなく家から出てきて集まり輪になって踊った、というのです。敗戦のニュースに打ちひしがれている中でも踊ろう、と思わせる何かがある?それは一体なんだろう?と思ったのです。

郡上おどりの発祥は江戸中期以前で、元は念仏踊りや風流踊りの流れを汲むのではとも言われています。藩主の家禄没収、幕閣中枢部の失脚という前代未聞の百姓一揆、郡上一揆を機に盛んになったという説もあります。

この郡上一揆で使われた連判状が傘連判状という円環状で、一揆の訴えに同意する人たちが真ん中の円から放射状に署名してあります。最初も最後もないから誰が首謀者かわからない、皆が平等な立場だと示されているのです。傘を開いたように見えることからこの名がついたそうで、阿弥陀如来の頭と後光を形取っているという説もあり、あみだくじの原型だそうです。そしてこの形、お囃子を真ん中に輪になって踊る盆踊りと同じではないですか。

そんなことで、私はますます郡上おどりに参加して、そのスピリッツを感じてみたくなったわけです。

その日は夕方から雨模様で、大雨になってしまったらホテルのロビーで踊ろうか?と浴衣を着つけながら一緒に行った友達と冗談を言いあっていたものの、定時になると雨はやみ、雨上がりの月夜、お囃子の音とともに、郡上おどりは始まりました。

大きな輪になって踊りながら周る、何周位踊ったのかわかりませんがいつの間にか人が増えて輪が大きくなり、一体感も増していきました。色とりどりの浴衣や凝ったコスチューム姿もあれば、普段着の人も、老若男女、同じ輪の中で、同じ音に合わせ同じリズムで手足を動かしながら同じ方向を向いて同じスピードで進む。何曲かの音頭を踊り、そのうちまた同じ曲が流れるので、初めはぎくしゃくと踊りについていくのがやっとでしたが、段々その曲ごとの動きに慣れて益々楽しくなってきます。

そうしているうちに私は、手と足、同じ側を同時に前に出す動きをしていることに気づきました。何の違和感もなく自然に右側と左側の両側、2本軸で体を動かしていたのです。ああそうか、昔の日本人はこういう風に体を動かしていたんだな、と何かがストンと腑に落ちた感じでした。

何百年も前にこの踊りを踊った私たちの祖先と同じ動きをしている。同じ音を聴き、同じ高揚感、同じ一体感を味わっている。盆踊りは、今現在輪の中にいる皆んなとの一体感だけでなく、先祖達との一体感を得られるものなんだと初めて気づいた瞬間でした。

その楽しさというか、えも言われぬ充足感は体感したからこそ得られたもので、私という個人と、同じ輪で踊る周りの人達と、皆んなのご先祖達との魂が繋がれた様な感覚でした。肉体と霊性が繋がった感覚とはそういうものなのかもしれません。

盆踊りの後、どうしてあの様な不思議な体感を得られたのだろうと考えて出した私なりの仮説なのですが、同じ側の手と足を同時に前に出す動き、つまり二本軸で体を動かすことで、体の中心にempty(空っぽ)なスペースが出来た。空っぽ、それはゼロ(無)。つまりそこに無いというモノが出来たということ。そして無いというモノにこそ霊性が宿るのではないでしょうか。

この仮説は実証しようがないのですが、もしかしてこの先量子学が一般的に広まって近い将来こういった無いというモノがどんどん立証されていくと面白いでしょうね。

気軽に続けられる日常の身体メンテ

私が日頃、体をメンテするためにしていること、心がけていることを5つ書き出してみました。日常気軽に取り入れられるちょっとした習慣です。ご参考までに、ピンときたものがあったら試してみてください。

  1. 朝起きたら先ずうがい、鼻うがい、目を洗って、白湯をゆっくり飲む。一晩の間に貯まった老廃物を洗い流してから、混じり気のない水分を取り込みます。目覚めてすぐの空っぽな体に温かいお湯が染み渡る様に入ってくるのをゆっくり感じとってみましょう。細胞が活性化され、リンパ液と血液が循環し、排毒も助けてくれます。

  2. 疲れたら休む。無理しない。当たり前のことですが、私自身含め、なかなかこれが出来ない人が多い様です。情報や刺激の多い世の中のペースで生活していると、疲れや無理していることに気付く余裕もない。あるいは、休むことになんとなく罪悪感を持っている人も多いようです。体の声を素直にきいて尊重する。これは基本中の基本で、自分を大切にすることにも繋がっています。

  3. ピラテイス。他にもヨガやダンスや気功など、エクササイズは人によってそれぞれ好みや向き不向きがあると思います。私が感じるピラテイスの良さは、ゆっくり丁寧に体の癖をみながら自分のペースでできるところ。背骨一本一本の動き、呼吸、骨盤の位置、股関節の動き、重心のかけ方などに気を配りながら行うことで体の癖だけでなく思考の癖にも、気付きをくれます。

  4. 消化に気を配りそれに合わせて食生活を調整する。体調、気の持ち様、考え方は消化に左右されているという研究結果があります。脳と腸は直結していて、人は腸で考えるとも言われているほど、腸は直感を得たり、決断を下したりといった重要な役割をも担っているのです。近年はリーキーガット症候群という言葉もあるほど、腸がダメージを受けたために新たな疾患も生まれているほどです。それは抗生物質など化学薬品の多用や、農薬添加物まみれの食品や偏った食生活が主な原因だと言われています。消化に日々気を配って、健康な腸を保つことが、鋭敏な直感と明晰な脳の働きのためにも不可欠ではないでしょうか。

  5. 鍼治療やマッサージなどのトリートメントを定期的に受ける。特に具合が悪かったり体調が悪かったりするわけでも無いのに鍼?と特に日本では良く聞かれます。自分のメンテのためにお金と時間を割くことに罪悪感を抱く必要はありません。自分への設備代と管理費こそ、最優先にすべき投資。気持ち良く過ごすために体をメンテするのはあなたの成長と愛道上達のために絶対必要条件だと私は思っています。

実習

  1. みぞおちのあたりにそっと両手をあて、温かさを感じてみましょう。そして目を閉じ、その温かく感じるスポットから眩しい光が放たれるのを想像してください。その光は何色ですか?下の空欄に、色鉛筆やクレヨンを使ってその光を描いてください。


2.鼻からの呼吸法を試してみましょう。軽く目を閉じて息を吐き切りましょう。眉間の少し上、第三の目があるあたりに人差し指と中指を軽く添えます。そして親指を一方の鼻腔、薬指と小指を反対側の鼻腔の外側に添えます。親指を押して一方の鼻腔を塞ぐ様にしたら反対側の鼻腔からゆっくり息を吸い込みます。吸い込んだら息を止め、吸い込んだ側の鼻腔を薬指と小指で塞ぎ、今度は親指を放してそちら側の鼻腔から息を吐きます。次は今吐いた方の鼻腔から吸います。これを4秒づつ吸って止めて、反対側から8秒かけて吐いてと繰り返します。4秒4秒8秒です。

第三の目を頂点、それぞれの鼻腔を結んだ線が底辺の三角形を意識して息(風)を通してみてください。その三角形の奥には蝶の形をした蝶形骨があります。三角形に風を送る、つまり蝶の羽の付け根に風を送っているとイメージしてみてください。どんな感じがするか、下に書いてみましょう。

蝶形骨 

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3.前回、体のトリートメントを受けたのはいつですか?マッサージ、フットリフレクソロジーなど、体に触れられることに抵抗がおありなら、温熱などマシーンでの施術もいいかもしれませんね。自分の体のためのトリートメント、次回の予約を入れて、下に書きとめましょう。
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4.最近どんなものを食べていらっしゃいますか?消化具合はどうですか?体調は?ここ3日間、どこで誰と何を夕食に食べたか書き出してみてください。
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5.ここ数日、何か気になる事、消化不良、体調不良の原因になっているものはないか見直してみましょう。もしあれば、それを書き出してみてください。自認自覚が最初の一歩です。そして出来れば、今晩は和食、ご飯とお味噌汁にしてみませんか?質の良い無農薬のお米とお味噌、せめてそれだけでも常備しておきたいものですね。過食の時代、いかにシンプルに質の良いものを賢く摂るかが大切です。
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サマリー

日頃、体を尊重して十分なケアをされていますか?体にエネルギーが満ちて元気ですか、それとも疲れ気味ですか?体の感覚を鋭敏にして、小さなサインを見逃さない様にしましょう。体が出すサインとは、あなた自身の魂の声であるだけでなく、大いなるもの、スピリッツ、守護霊の声でもあるのです。

あなたの体は精神と霊性を宿した聖なる器です。その聖なる器を日頃丁寧にメンテすることで体と精神、霊性が繋がることができるのです。今世、人間として生まれてきたあなたは、体という器に入った霊的な存在です。肉体を通した感覚があるからこそ、霊性だけではできないことが経験できるのです。あなたという存在は体、精神と霊性の全て合わさったもので、それは本来繋がって一体となっているはずなのです。肉体の感覚を研ぎ澄まし、霊性を意識し感じることで、人は感謝と安心感に包まれ、大いなる愛の存在そのものに戻るのです。


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