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みんなさかな


昨日仕事の終わりに、職場の先輩がぽつりと


こないだ、孫がすごい癇癪をおこしてね。


それはもうなだめすかすことはできないやつで


自分で自分の気持ちをそらすまで、他人の力は


無力なんだ。


危なくないようにただ待つんだけど


ああ。って思ってさ。と言った。


ただ見守るということに求められる辛抱。


気持ちの向きを変える手伝いができないということ。


それは、苦しいなあと正直思った。


そういうひ孫を見て、おばあちゃんは


うちにはこんな子は今までいなかった!と感情的になり


言ってきかせようとするらしい。


それを聞いて、私がああ。となる。


孫嫁さんの前ではそんなこと言わないですよね。と私が聞くと


と思う。と先輩。でも心配。と顔を曇らす。


それはそうだ。


子供が大人の考える普通や常識とずれていると
感じた時。


うちにこんな子はいなかった。と言われた


お母さんの気持ちは推測するにあまりある。


想像して苦しくて涙が出る。


しつけが悪いとか、甘やかしているとか、


いい含められない自分もまた


こんな子は嫁として物足りないと言われていると感じてしまう。


言ってきかせることは難しいんだよ。といくら説明しても


それをそうなのか。と捉えることは難しく、


どうにかなるはずだと信じるおばあちゃん。


おばあちゃんの心に新しい価値観が入り込むことはまた困難だろう。


そんな風に、一つ屋根の下でも、心のすれ違いやすり減らしにより、外で闘うことよりも静かで重い傷の付け合いがあることは、特別なことではない。


その時に、上司が口を開いた。


〇〇さんの次男さんが生まれた時にね、


身体に障害があって、それをお姑さんに


こんな子が生まれたことは我が家の血筋ではない。


って言われたんだって。


〇〇さんとは、以前ともに働いていた同僚の人で、元気はつらつの太陽のような人だ。


私と先輩は一気に、熱を奪われたようにひんやりした。


そしたらね、お舅さんがね、


うちに生まれた子は、みんな大切な俺の孫だ。
みんなで、協力して大事に育てよう。


って言ってくれたんだって。


〇〇さん、凄く感激して、凄く頑張れたんだって。


これ聞いた時に、涙が出た。と上司は言った。


私も先輩も目頭を熱くした。熱は戻ってきた。


みんな俺の孫。


みんな人は人。


さかなはいろいろなカタチがある。


長さも硬さも顔も重さもちがう。


でもみんなさかなだ。


人間もさかなを見習うべきだし。


〇〇さんのお舅さんを見習うべきだ。と私は思う。
















#日常
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お気持ちありがたく頂戴するタイプです。簡単に嬉しくなって調子に乗って頑張るタイプです。お金は大切にするタイプです。