膝裏に地蔵
驚愕である。
私は膝にパグを飼っているが、太ったことにより膝裏に地蔵をも宿した。
どうした、おだんごである。
それに気づいたのは、風呂場の鏡である。
風呂場の鏡とは、真実しか映さないことで有名だが、横から見た自分の厚みに、はっ!としている最中に、膝裏にほっとけない膨らみをみた。
真横から後ろ姿を映すと、よく土産物屋の絵葉書にある、石仏らしきフォルムが見える。
なんと、正面のパグは困り顔だが、膝裏の石仏、いやそれはもう地蔵であろう、うっすら微笑みを浮かべているような温かみを感じる。
ただの肉と皺のマリアージュだという現実主義者ならば、一刻も早くこのnoteを閉じてほしい。
こちとら、本当に無意味なことをまだ書くつもりだ。
まず、膝裏も太るということは盲点であった。
お肉とは人目につかない場所でも育まれるのだ。愛と似ている。
気をつけなければならない。人目に触れると衝撃が大きい。
しばらく、風呂場の鏡で凝視した後、どうすっぺ。と佇むも、まあそんな一瞬で解決するわけがない。
ゴシゴシあらっても減らない。地蔵は微笑み、
私は萎える。
湯上がりにパジャマのズボンを捲り、鏡台で確認しても、そこにい続ける地蔵。
そりゃそうだ。そりゃそうだわな。
地蔵に気づき3週間が経過し、本日山登り中に、おだんなにカミングアウトした。
私は膝前面のパグの飼育を継続しながら、とうとう膝裏には地蔵を携えた。と。
前を歩きながら、せせら笑っていた。
せせら笑われていることが、最近多すぎる。
ちなみに、今日は地域の避難訓練で近所の人が集合した際、隣にいる夫が痩せた。と近所のおばちゃんに言われて、「山登りだな」と決めつけられていた。
おばちゃん、私も登ってますよ。と思いながら、キリキリとした思いで夫を見つめた。
夫ばかりが、ナイススタイルになっている。
先日、今の体重を絶対言わない私に、
何キロ痩せたいの?と聞いてきたので
10キロ。というと、ドン引きしていた。
そして、あらあらあらと言って、せせら笑った。
私はあの、あらあらあら。を忘れない。
なんならケセラセラより、パンチの効いた刻みワードであった。
ちなみに、私が私史上一番モテていた体重には
マイナス4キロである。
ぽっちゃり相場があるのだ。侮れないぞ。
しかしもう、モテなくても良い。
私が自分自身をもてる域にしたい。
老いにむけて、自己をセンターに据えて考えるべきである。
私は今、重力を感じすぎてうんざりしている。
膝にパグを飼い、膝裏の地蔵に手を合わせている場合ではないのである。
今日は9キロも歩いて登って下って登った。
が、しかし。
シャワーを浴びると膝裏の地蔵は変わらずそこにいる。
ダイエットとは、歩いて登って下って登って。
まだまだそう簡単におさらばできないな。
お気持ちありがたく頂戴するタイプです。簡単に嬉しくなって調子に乗って頑張るタイプです。お金は大切にするタイプです。