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今年も雪が降りました
初雪が降りました。
空気に色はありませんが、きゅっと引き締まり
うっすらグレーになりました。
冷たい風に、冬を感じます。
1ヶ月前に撒菱のように道にいたカメムシがいなくなり
山が赤く茶色くなり、さらに白くなりました。
時間は流れて変化している。
当たり前だけれど、雪が降り、冬が来てほっとします。
やっぱり昨日までは秋だった。と実感します。
今年はまだ四季があること、忘れたくないと思います。
春に、私のお客さんで要介護4の妻を要支援2の夫が、東京へバス旅行に連れて行ったことがありました。
話を聞いた時に、制止しませんでした。
止めるべきとは思いました。もし何かあれば
知っていたのに、何をしていたの?という人もいるだろうと思いました。
まさか、行けないだろうとも思いました。
遠方のお子さんに話すと、そうですか。というだけでした。
私の根っこは、行けたらいいな。と思っていました。行けたら奇跡だな。と思っていました。
旅行に行くと言っていた翌日に電話が来ました。
ちょっと来られるかな。という電話に伺うと
妻であるお客さんが、ほら、あなたに。と差し出したのは、人形焼でした。
2人の話から、バスツアーの運転手さんやガイドさんが慣れない介助に懸命に尽くしてくださり、屋形船に乗りビールと天ぷらを嗜み、浅草で買い物をしたことを知りました。
もう2度とバスツアーには行けないな。断られるかもな。という内容でしたが、2人は本当に愉快に語り、笑いました。
いつも歩けないのに、なんで東京では歩けるのよー!?という私の嘆きに、本当に、なんでかね?と笑う2人を忘れられません。
今、2人はもう自宅で生活することが難しくなりました。
遠方に住む家族の代わりに何枚も施設入所の申し込みを書きながら、寂しさと虚しさと切実さがあります。
入ってほしい。入っていいのかな。
もう、あの時のように2人の気持ちを尊重することが、見守ることができなくなってしまった。
そのことに、確実に乗り越えた夏と秋を思います。
やりたいことをやるのが仕事ではなく
やらなければならないことをやるのが仕事という局面に対峙しています。
それが2人の幸せか?よりも、2人の安全を優先しないと。にとらわれてしまうのも、私の仕事の一面です。
ほら、職場のみんなで食べてよ。あんたに買ってきたんだよ。
あの七福神が描いてある人形焼。真空パックで個包装の人形焼。
あんなに驚いて愉快な気持ちの人形焼は二度と食べられないと思います。
今年も雪が降りました。
変わりゆく季節。変わりゆく人の中で
諦めたり嘆いたり、時には押し付けるようなこともあるけれど。
それでも、最後まで2人のよかったに繋がるように働きたい。私の根っこはそう思っています。
お気持ちありがたく頂戴するタイプです。簡単に嬉しくなって調子に乗って頑張るタイプです。お金は大切にするタイプです。