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写真で伝えられないおいしい味

*本記事は、以前、自身のブログに掲載したものを編集し直して、noteに投稿しています。

私は食べ物の写真をあまり撮らない。あまりというか全く撮らない。ところが昨今、喫茶店行っても、レストランへ行ってもまずスマートフォンで注文した食べ物をカメラに収める人が多いようだ。それが癖というか、当たり前のことになっているようにも見える。

でも、私はその一瞬が待てない。熱々のスープや麺類だったらすぐにでも食べたい。ふわっとしたサンドイッチだったらすぐに手で掴んで口に運びたい。なので、スマートフォンを手にしている時間すら惜しいと思うのだ。というわけで、最近流行りの“映え”だけ、を狙ったデザートやお料理に、自分はつくづく興味がないのだなぁと実感するこの頃である。

さて先日、とあるケーキ屋さんに出会ってしまった。母をして生涯で一番美味しいケーキ屋さんだった、と言わしめるくらいだ。それは長野県の、とあるドイツケーキのカフェなのだが、見た目がカラフルだったりデコレーションや盛り付けで目を引くようなケーキは置いていない。どちらかというと、ショーケースに並ぶケーキは全般的に地味。お皿にのった写真を撮ったとしても、その美味しさはきっと上手に伝わらないと思う。

そこで、いかにそのケーキが美味しいか、について文章にしてみたいと思うのだが、これがとても難しい。最近このブログで、食べることや食べ物についての投稿が多いが、これはひとえに原田マハさんの「やっぱり食べに行こう」というエッセイに大きく影響されている。文章だけのエッセイなのでインスタグラムなどのSNSと違って写真はなし。でも、読んでいるだけでどんなに美味しそうなんだろう〜と口の中が自然とむずむずしてくるし、いかにご本人がその食事を楽しまれたかが伝わってきて読んでいて思わずにっこりする。どのエッセイを読んでも、こんな文章が書けるようになったらな〜、と心から感嘆する。

さて、このブログを書き終えたら“映え”る朝食を用意しようと思う。もちろん写真は撮らない。誰に見せるためでもない、自分だけが満足するための、究極の自己満の朝食をいただくためである。
#bookreview #Food

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