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ミャンマーを楽しむ-『僕の帰る場所』藤元監督&プロデューサーへインタビュー

4/16(土)から1週間、『映画を観て、ミャンマーを知るvol.2』が開催されます。

国軍によるクーデターから一年、いまだ市民弾圧が続き、混迷を極めるミャンマー。
昨年に続き、ミャンマー支援の一環として本上映会を企画しました。
4月はミャンマー暦の「新年」にあたります。
今年は藤元明緒監督のデビュー作であり日本✕ミャンマー合作の『僕の帰る場所』に加え、ミャンマーにて撮影をおこなった新作短編『白骨街道 ACT1』を初劇場公開!
なお、このたびの上映による配給収益の一部と、設置した募金箱への協力金はミャンマー市民を支援する活動に寄付いたします。

 公式ページ https://fujimotofilms.com/myanmar


『僕の帰る場所』が全国公開された2018年、藤元監督とプロデューサーの渡邉さん、共同プロデューサー/俳優のキタガワさんをお招きしてインタビューイベントを行いました。ひとりでも多くの方に、本映画を通じてミャンマーに興味を持ってもらえたらと思い、当時の様子を抜粋してお届けします。

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ビジネス熱が盛り上がる影で、ミャンマーではどんな人々が、どう暮らしているのか、多くの日本人は知らない

――ミャンマー盛り上がってるから、映画つくっちゃえば?と言われたことがきっかけと聞きましたが…

渡邉:キタガワさんが知人から映画製作を勧められて、僕を誘ったことが発端です。僕はミャンマーについて調べていくうちに、ビジネス熱が盛り上がる影で、ミャンマーではどんな人々が、どう暮らし、何を食べて、何を考えているのか、多くの日本の人は知らないと気づきました。
でも、映像にすれば、その多くは移り変わるカットの連続の中で発見の連続になる、それには意味がある、と映画づくりを決意しました。

――なるほど。そして、とりあえず監督を募集したとか…

渡邉・キタガワ:そうです。初めての映画製作ということもあって、まずは。監督募集って、めずらしいので、かなり目立ちましたね。

――監督は、あやしいと思いませんでしたか?

藤元:思いましたけど、とにかく映画をつくりたかったので…。

――お二人は資金を持っていたのですか?

渡邉・キタガワ:ないです。0円。ポケットマネーでミャンマーに取材へ行く費用はありました。同世代だったので、すごく意気投合した部分があって。当時三人とも20代後半でした。

僕たちが、ミャンマーで撮る意味

――ところが、一回目の取材後、企画を落としたんですよね?

渡邉:そうです。当初、売春婦とストリートチルドレンと少年の話だったんですが、突き詰めていくと、とてもローカルなお話であり、僕たちが、ミャンマーで撮る意味がわからなくなって。ミャンマーでの検閲にひっかるということもありました。

キタガワ:僕、いったん企画が落ちたって知らなくて、その間もひとりでミャンマーについて調べていたんですよ。チームが解散してた時期があるって、つい数日前に知ったんです…

撮りたい家族の話がある、ミャンマーに行きたい

――その後、監督がリトルヤンゴンといわれる高田馬場を飲み歩くなかで、在日ミャンマー人の方と仲良くなり、モデルとなるご家族と出会ったと。

藤元:はい。カメラが趣味の方だったこともあり、すっと仲良くなりました。ほかにも出会う方は難民申請中の方がすごく多くて。入管へボランティアとして出入りしたりもしました。

――「撮りたい家族の話がある、ミャンマーに行きたい」と藤元監督が渡邉さんに話したと聞きました。資金がないなかで、行っておいで、って言えた渡邉さんがすごいなと…

渡邉:映画つくったことがなかったので、お金のことはあんまりわかってませんでした。ただ、撮るべきことがあるなら、行くべきだと思ったんです。その後、個人協賛、企業協賛と借金で製作することになりました。

――私も個人協賛に賛同させていただきました。いろいろありましたが、国内外の映画祭でたくさんの賞を受賞され、素晴らしいです…。では、会場から質問を受けたいと思います。

Q. ミャンマーでのシーンで、カウン君を街中の人たちが遠巻きに見ているのですが、あの方たちはエキストラですか?
A. いえ、一般の方です。カウン君は見た目がめずらしく日本人にも見えるので、目立ちますね。そういう自然な街中の反応を生かしました。

Q. 子どもたちの演技が本当にすごいのですが、どうやって演じてもらったんでしょうか?
A. 母親と子どもたちは実の親子ですがお父さん役は他人なので、撮影前に遊びに出かけたり撮影するアパートで過ごしてもらったりして、家族の関係性をつくることからはじめました。

Q. メッセージありきではなく、事実から物語をつむぐ、ということなんですが、実際の撮影は台本があったわけではないんですか?どうやって撮影していったんでしょうか。
A. モデル家族の話をもとに台本をつくりました。ただ、プロパガンダにならないよう、問題を訴えるために説明を入れるのではなくて、家族の暮らしや気持ちに焦点をあてて製作しました。

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藤元組の長編二作目となる『海辺の彼女たち』は昨年公開され、国内外で高く評価されています。『僕の帰る場所』から共通しているのは、問題を説明するのではなく、事実を取材し、丹念に映画に織り込み、個人の暮らしや気持ちに焦点を当てていること。

政治体制などの大きな物語に隠れて、見逃されがちな個人の物語に焦点を当て続ける藤元組の作品を通じて、ミャンマーへの理解、私たちがつながっている世界中のひとびとへの理解が深まってほしいと願い、これからも藤元組の映画製作を応援していきたいと思います。

ぜひ、映画館へ足を運んでみてください!

劇場情報

  • 東京 ポレポレ東中野 4/16(土)~4/22(金)

  • 神奈川 ジャック&ベティ 4/16(土)~4/22(金)
        あつぎの映画館kiki 4/16(土)~4/29(金)

  • 宮城 フォーラム仙台 4/15(金)~4/21(木)

  • 愛知 名古屋シネマテーク 4/16(土)~4/22(金)

  • 群馬 シネマテークたかさき 4/15(金)~4/21(木)

  • 福井 メトロ劇場 4/16(土)~4/22(金)

  • 富山 ほとり座 4/16(土),17(日)

  • 石川 シネモンド 4/16(土)~4/22(金)

  • 新潟 シネ・ウィンド 4/16(土)~4/22(金)

  • 長野 上田劇場 4/16(土)~4/22(金)

  • 大阪 シネヌーヴォ 4/16(土)~4/22(金)

  • 兵庫 元町映画館 4/16(土)~4/22(金)

  • 広島 横川シネマ 4/15(金)~4/21(木)

  • 山口 YCAM 4/16(土)~4/22(金)
       萩ツインシネマ 4/16(土)~4/29(金)

  • 佐賀 シアターシエマ 4/15(金)~4/21(木)

  • 北海道 シアターキノ 4/22(金)

詳しくは公式サイトと各映画館の上映情報をご覧ください。

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