見出し画像

《聖書-9》サムソンとデリラ、ルツ


こんにちは。
Ayaです。
今回はサムソンとデリラ、ルツについて取り上げます。

モーセやヨシュアによって、約束の地カナンにたどり着いたイスラエルの人々。
ダビデが現れまるまで、この時代イスラエルの人々を導いていたのは『士師(しし)』と呼ばれる預言者たちでした。この『士師』で最も有名なのが、サムソンです。

サムソンとデリラ

あるイスラエル人の女性に天使が現れ、子どもを身籠ったことと、その子どもの『髪を切ってはならない』と命じました。こうして生まれたのが、サムソンです。このサムソンの誕生のエピソードはイエスの『受胎告知』に似ていて、その前例ではないかと言われています。
しかし、二人は全く異なる性格でした。イエスが静だとすると、サムソンは動。神から与えられた『髪の力』で怪力無双であり、女性と酒を好む豪快な人物でした。
イスラエル人と対立しているペリシテ人はサムソンをどうにかしなければと、妙案を思いつきます。彼の弱点に注目して美女のスパイを送りこんだのです。そのスパイこそデリラでした。
サムソンはすぐデリラの美貌に惚れ込み、すぐ愛人関係を結びます。
デリラはなんとしてもサムソンの力の秘密を聞き出さなくてはなりません。最初は嘘を教えていたサムソンでしたが、デリラは泣いてなじります。女の涙に弱いのは、男の性。ついには『髪を切られたら力がなくなる』とデリラに教えてしまいます。
サムソンはデリラの膝枕で眠ってしまいました。今が好機とデリラはペリシテ人の兵を招き入れ、サムソンの髪を切ってしまいます。

ホンホルスト『サムソンの髪をきるデリラ』

サムソンが目覚めたときには手遅れ。『髪の力』がなければ無力です。サムソンは捕らえられ、目を潰された上に粉挽きの重労働をさせられました。
囚われてしばらくたったころ(髪がわずかにのびたとのことなので3ヶ月ぐらい?)、サムソンはペリシテ人の神殿に引き出されます。晒しものにされたあと、サムソンはすこしやすみたいと柱にもたれかかりました。
そのとき、今だ!とばかりに伸びた髪の分だけの力を使って柱を壊します。わずかといっても神の力ですから神殿は倒壊し、多くのペリシテ人を道連れにサムソン自身も下敷きになって亡くなりました。

ルツ

この『士師』の時代のもうひとつのエピソードを取り上げようと思います。
イスラエル人のナオミという女性はエリメレクという男性と結婚して、モアブに移り住みます。この夫婦の間にはふたりの男の子が誕生し、それぞれ地元のモアブ人の女性を妻に迎え、慎ましく生活していました。
しかし、不幸なことにエリメレクと息子たちが相次いで亡くなってしまいます。ナオミは夫の地元ベツレヘムに戻ることを決め、子どものいかなかった嫁二人にも実家に戻るよう勧めます。
片方の嫁は姑の指示に従い実家に戻りましたが、もう片方の嫁・ルツはナオミの元を離れようとしません。ルツの意志は固くナオミも折れて、ふたりはベツレヘムに向かいます。
ベツレヘムに到着すると、ルツは老いた姑のため懸命に働きます。
その働きとは『落ち穂拾い』でした。小麦の収穫後、おちた穂を拾うのです。これは貧者の権利とされ、わざと落ち穂を拾わずにそのままにするのが当時の人々の親切でした。

アイエツ『ルツ』
ミレーの『落ち穂拾い』もこのエピソードがもとになっていたと考えられる

この様子を見ていた土地の持ち主・ボアズはルツに声をかけます。姑に尽くしつづけるルツの姿に感心したのと、ボアズ自身がエリメレクの親戚にあることに気がつき、ルツに食べ物をあたえてくれます。
ルツからボアズの報告を受けたナオミは、『お礼にボアズの寝所に行くべきだ』と勧めます。ナオミの指示に従い、ルツはボアズのもとに向かいます。
ボアズはルツの行動の真意を悟りますが、指一本触れずにおみやげまで持たせてルツを返します。
当時は土地の継承のために、被継承者の妻を再婚させることはよくありました(ユダとタマルのエピソードもそれにちかいです)。しかし、この権利を使うのは被継承者から一番近い血縁を持つ者という規定がありました。ボアズよりエリメレクに近い血縁を持つ人物がいたので、ボアズはその人物とかけあいます。その人物が土地の継承権を放棄してくれたので、ボアズとルツはめでたく再婚することができました。

ホルベイン『ボアズとルツ』

このふたりの間にはこどもがうまれ、子孫にはダヴィデ王が現れます。それだけでなく、イエスの父ヨセフも彼らの子孫とされています。

『サムソンとデリラ、ルツ』はここまでです。
サムソンとデリラのエピソードからは男の愚かさと、女の恐ろしさを感じます。イエスは品行方正で超人的なエピソードばかりですが、サムソンは愚かで、親しみが持ちやすいですね。
ルツのエピソードはモアブ人であっても、孝行をつくせば、立派な子孫をもてるということでしょう。ユダヤといえば選民思想というイメージだったので、意外でした。



この記事が参加している募集

世界史がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?