盛大に病んだので、読むとヘルシーになる漫画を描いています
30過ぎの漫画家、自身の健康に向き合う
最近私は、自分の心身の健康にめちゃくちゃ興味があります。
理由は単純で、昨年それを大幅に損なってしまったからです。
ひと月で体重が5キロ以上減り、人に会うことができなくなって、一番ひどかったときには、ベッドから起きられず、部屋のカーテンが開けられないくらいでした。
けれども、私がこんなに荒んだ状態にあったことは、身近な友人も家族も、いつもSNSを見てくれている読者の方も、誰も気がついていなかったと思います。
何と言っても、私自身が自分は全然大丈夫だと思っていたのです。ギョエ~まじかよ!当時の私!!!
どうしてこんな風に思えたのか…その理由は、私が仕事を続けていたからなのです。
思い返すと、病んでいたのかもしれない
2年前、漫画を連載していたウェブレーベルが閉鎖することになって、突如打ち切り通達を受けました。そして、中途半端になった作品の権利で、出版社と揉めに揉めました。
おまけにプライベートでも、長年目を背けてきた問題が一気に爆発し、これぞまさに本厄!ボカーン!!というようなトラブルの数々に見舞われてしまいました。
トラブルが発生した際に、友人に相談したりすればよかったんでしょうが、仲の良い友達はみんな子育て中で忙しそうに見えたので、私なんかの愚痴を聞いてもらうのは悪いな…と遠慮してしまい、声をかけられないまま、私は一人で対応する道を選びました。
突然仕事がなくなって、家庭の中にも居場所がなくなってしまったのです。
それでも、私は漫画を描き続けていました。
連載は打ち切りになっていたので、続きを描いても原稿料が入ってくるわけでもないのに、私は必死に続編を描いていました。もっとファンを増やさなければと思い、SNSへの投稿も毎日続けました。
嫌がらせのようなことをされた出版社への復讐みたいな気持ちもあったのですが、なによりも、読んでくれている方の「続きを楽しみにしています」の声を裏切りたくないという、ただその気持ちだけで、約一年間一人で製作と編集をこなしながら、それとは別に、ほぼ毎日Twitterへの作品の投稿を続けていました。
その間、食事はほとんど同じものを食べていて(1日2回、レンジでゆでたパスタをお茶漬けであえたもの)、家から出ることはなく、起きている時間はすべてといっていいほど絵を描いて過ごしていました。お休みの日はありません。
異様です。
けれども私は「今は仕事を頑張るときなんだ!」と自分を納得させていたので、まさか自身が「病んでいる」なんて思ってもいませんでした。
メールのやり取りなどもしていましたし、仕事に関係することなら、なんとか外出もできました。
そんな感じで、ひたすら一人で描き続けてきた私に、限界が訪れます。
ある日、今まで描いていた漫画が、全く描けなくなってしまったのです。
創作漫画の筆が止まって焦りに焦った私は、「なんでもいいから、なにか描かねば!!!」という強烈な焦燥感の元、今まで描いたことのなかったジャンルのコミックエッセイを描き始めます。
結果的には、自分自身の考えを描いたこのエッセイの執筆を通じて、私は少しずつ自身の状況を理解し、整理することができ、心身の健康を回復していきます。
そうしてやっと、今になって、アレ、私ずいぶん傷んどったんじゃないかーーーい!!!ということに気が付いたのです。遅いよ笑!!!
後から知ったことなんですが、私のようにまじめで責任感の強いタイプは「人の期待を裏切ってはいけない」という使命感が原動力になって、心身が限界を超えていても「仕事だけは出来てしまう」ことがあるんだそうです。
作家の大宮エリーさんも、「働いてたけど、私実は鬱だったよッ!」というエッセイをあげていらっしゃいました。
(とてもやさしく実践的で、ためになる記事なので、私もちょっと気分がふさぎがち…なんて方は、ぜひ読んでみてね。)
私も病院にかかったことはなかったんですが、同様の、かなりきわどい状態にあったのだろうなぁと、今になって感じています。
この経験以来、私は自分が自覚なく病んでいくということを認識したので、自身の健康管理にものすごく気を配るようになったのです。
ゆうすけ先生のこと
私が病みに病んでいた時期に描いた漫画は、Twitterで評判になったので、勢い書籍にしていただくことができました。
芸の肥やしにできてよかったです(合掌)
この本が出版されたときに、現在作家活動をマネジメントしていただいているエージェント会社のコルクさんにゆうすけ先生を紹介していただきました。
ゆうすけ先生は、内科のお医者さんで、メンタルヘルスをライフワークにしていらっしゃいます。
私が描いたコミックエッセイと、先生の専門分野の親和性が高いだろ~ってことで、コルクさんが紹介してくださったのです。
で、私も先生の著書を読んでみたのですが、まぁ~これが!目から!ぽろぽろと!ウロコが!!!
自分が抱いてきたモヤっとした生きづらさが言語化されている!と感じる部分が沢山あって、自身の状況が把握でき、読後にとってもスッキリした気持ちになれました。
それで、ここで出会ったのもなんかの縁だ!と感じた私は、今までそういうことしたことがなかったんですが、自分からお声がけして、「心身の健康について、なんかこう、ご一緒できませんかね~⁉」とお誘いをしてしまったのです。
なんかとっても必死な気持ちでお声がけしたのですが、私にはきっと、仕事を盾にしつつも、自分が抱えているものを誰かに共有してほしいという、すがるような気持ちがあったのだろうと思います。
ゆうすけ先生は、ありがたいことに私の漫画を読んでくださっていたこともあり、二つ返事でご快諾くださいました。
そして現在は、お友達兼作家仲間兼主治医兼定期的にお昼を一緒に食べるゲームをすごいする人…という感じでお会いして、日々の悶々諸々をお話しさせていただいています。
自分が悩んでいることを、人に、しかも専門知識を持っている方に聞いてもらうということは、それだけで大いなる救いになるのだなぁということを実感しています。
一人で抱えない方がいいということが、今になって分かります。
作品を通じて、私もあなたもよりヘルシーになるといいなぁ
コミックエッセイを描き始めて驚いたことが二つあります。
一つ目は、私自身が物凄く整理されて、スッキリしてきたということ。
単行本にも納められているエッセイは、「他人と比べて劣等感を感じる」とか「周りに合わせて無理をしている」なんていう、私自身の悩みをそのまま描いたものです。描いている最中は、モヤっとしています。
しかし、悩みはいったん漫画にして描き出すことで、なんというか「成仏」するのです。
描くことを通じて、私は非常に健康になってきたという自覚があります。
これは、思ってもみなかった効果ですが、創作活動による「昇華」ってやつなんだろうと理解しています。
二つ目は、私と同じような悩みを抱えている方が沢山いるんだということです。
コミックエッセイはTwitterにも載せているのですが、数万を超えるいいね!を頂くことが度々あり、テレビやネットメディアにもとりあげていただくなど、大きな反響をいただいています。
単行本の発売後は、私と同じような悩みを抱えた方から、たくさんの応援や共感の声を頂きました。
あの時の私のように、一見元気に見えても無理をしている、もしくは自覚なく疲れ果ててしまっている人というのは、実は山のようにいるのではないかな~ということを、感じています。
そんな二つの驚きがあったので、「心身の健康」に関するコミックエッセイを描くことは、今の私には特別な意味があるように感じられます。
同じように悩んでいる読者の方のためであり、そしてなにより私自身のため。
いやもうほんとね、二度と病みたくないんだよ~~~笑!!!!!
この先、自分には一切楽しいことが訪れないと感じる絶望は、一度味わえば十分です。
noteには、これまでのコミックエッセイのほかに、ゆうすけ先生とお話しして学んだ「ヘルシーに生きるヒント」みたいなものを、まとめて載せていこうと思っています。
また、コミックエッセイは非常に個人的なことも描いていくので、ちょっと表には出せないな~という場合、noteマガジンで限定公開をしていきます。ぜひ読んでやってね。
描いている私と、読んでくれたあなたが、心も体もおだやかに・すこやかになることを願って!
作品を楽しんでもらえると嬉しいです。
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…ちなみに、私は現在も連載を持っておらず、中途半端になってしまった創作漫画をリメイクするべく、今も毎日準備をしています。
単発でいただくご依頼でなんとか食いつないでいる状態なので、もしよかったら、マガジンを購読して、活動を続けていけるよう応援していただけると、ものすごくありがたいです。
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