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【秘技】バズるコミックエッセイのコツ

こんにちは!竹内です。

ついに明日2020年7月2日、私のコミックエッセイ本『がんばらなくても死なない』が発売となります!イエ~イ祭りじゃ~~い!!!私今日既に本屋行く夢見たよ笑!!!

今回の書籍化のきっかけは、Twitterのバズでした。

一番初めに描いたこの漫画↓を皮切りに…

週一ペースで描いていた漫画が毎回バズりにバズったことで、描き始めてからわずか1か月で出版社からご連絡を頂き、その数週間後には出版が決定するという、スピード書籍化でございました。ありがてぇ~。

実はこの漫画を描き始めたころ、私はコルクラボ漫画専科という漫画の学校に通って、漫画の勉強をしていました。
このコミックエッセイは、そこで教えてもらったことを自分なりに実践して描き上げたものでもあり、そういった意味では私が学んだ「伝わる漫画テクニックの詰め合わせパック」でもあるのです。

というわけでこの記事には、私が講義と実践で学んだ「バズるコツ」をまとめています。
「作品をバズらせて、もっとたくさんの人に読んでもらいたい!」というアナタはもちろん「SNSで、気持ちを正しく相手に伝えたい!」という方にも、ぜひ役立てていただけると嬉しいです~!

1.バズる漫画の基本

そもそも…「バズる」ってなんだと思いますか?(唐突な禅問答)

バズるというのは、Twitterのタイムラインに流れてきた情報が読み手の目に留まって、RTされて、たくさんの人に拡散されていく状態です。

大量の情報が流れてくるTwitterの中でバズるためには、自分が発信した情報が「読まれ」て、その上で読み手に「RTボタンを押す」という行為を取らせる必要があります。
で、読み手に「ボタンを押させる」ためには、その心を動かすことが必要なんじゃないかな~と、私は考えているのです。

コミックエッセイという漫画を通じて誰かの「心を動かす」ために重要なのが「情報」と「共感」です。

まずは、情報

読み手が「へぇ~!」と思ってRTしたくなり、他の人にも教えたくなる感覚を作り出すものです。

「情報」と聞くと、「なんかすっごく特別なこと伝えなきゃ!」と感じられる人も多いかと思いますが、個人的には題材はマニアックすぎないほうがいいと感じています。

例えば、私はイギリスが大好きなんですが、イギリスのお菓子で有名なのは「スコーン」ですよね。
イギリスに関するツイートをする際、「ちょっといいとこ見せたいぜ…」なんて思って「イートンメス」なんてマニアックなお菓子を突如紹介しても、多数の読み手の興味を引くことは難しく、あまり反応は良くありません。
「みんなが知ってる題材」こそが、凡庸でなく王道なのです。

ただし、一般的な題材について、ただ「当たり前」のことを描いてもRTは伸びません。
私が「スコーンっておいしいんだよ(ドヤ)」と呟いても、読み手は「お、おう…」と思うだけで、それを誰かと共有したいとは思わないですよね。

大切なのは、「この程度、みんな知っているかな?」と感じる「普通のこと」に加えて「+α」の情報を加えることかなと考えています。
「スコーンは美味しい!」に「+α」して、「じゃあ本場イギリスで人気の種類は…」とか「食べ方のマナーは…」といった感じです。

この時注意したいのが、情報の「濃さ」。
Twitterなど無料のSNSツールは不特定多数に向けて発信されるものであり、読者のリテラシーがバラバラです。
また、Twitterは情報を流し読みするメディアなので、複雑で難しすぎる内容はきちんと理解されにくいとも感じています。
なので、「情報」といっても固く考えすぎずに、「友達に教えたい豆知識」的なものを題材にして描いてみるのがよいと実感しています。

次に、共感

読者が「わかる!」と思ってRTしたくなるもので、「私も/は、こうだった」と語りたくなる感覚を引き出すものです。「あるあるネタ」ってやつですね。

そしてこの、情報と共感を組み合わせた漫画は、バズる可能性が大きくなると感じています。

こちらは、単行本収録作の中でも、特によくRTしていただいた漫画です。

・イギリスの暮らしに関する「情報」
・「日本の当り前は世界比で大変=できなくても大丈夫」という「情報」
・海外居住経験のある人からの「共感」
・毎日の生活に息苦しさを感じている人からの「共感」

これらが組み合わさって、読者の心を動かすフックが多数用意されていたことで、「これはRTしたい!」という気持ちを作り出し、拡散されていったのだろうと分析しています。
「私は/もこうでした~!」というコメントで、リプ欄も大変盛り上がりました。ワッショイ!

2.読者を掴んで離さない!技

続いては、「漫画を読んでもらう」ための工夫を、より具体的に紹介します。

Twitterには毎日大量の情報が流れてくるので、まずはなにより「読んでもらえる」レベルを保つことが大切です。

そのために、私は以下のような工夫をしています。

1.簡潔で引きのあるタイトルで読者に画像を開かせる

どんなに内容がよくても、まずは漫画を開いてもらえなければ意味がないッッ!!というわけで、ツイート文章は「つい画像を開きたくなっちゃう引きの強さ」を意識しています。

私の漫画を例にすると、こんな感じです。

・「暴言」を吐く人に付いて考えたこと(パワーワードを入れる)
・ 「褒められるのが苦手な私」が「友人に教えてもらったこと」(読者の共感を誘う+クイズ形式の締めで「なになに!?」と思わせる)

また、「初めて描いたので読みにくいかもですが~」的な前置き・作品への言い訳は不要です。
ツイートはMAX140字まで可能ですが、文章が長いとそれだけで読まずに流してしまう人も多数いるため、簡潔であることがとっても大切なのです。それに、「あんまり面白くないかもですが…」なんていわれて、作品を読んでみたくなる人は少ないですよね。
…とはいえ、作品に言い訳、めちゃくちゃしたくなるけどね~~!!
しかしながら、世に出すからには描き出した結果が全て!なので、言い訳無用・「私の描いた漫画世界一イケてるわ~!」くらいの勢いで、自信をもって送り出しましょう!!

2 .とにかく「読みやすさ」重視の画面作り

折角画像を開いてもらっても、ぱっと見の印象で「読みにくい!」と思われると、読者はそれ以上読まずに離脱してしまいます。
読者を離脱させないように、「最低限読んでもらえるレベル」は死守しましょう。

具体的には…

・字が小さすぎる(ハズキルーペーッッ!!)・汚すぎる・多すぎる
・コマが多すぎて画面が煩雑(紙の本よりもスマホはずっと画面が小さいので、私は多くとも5コマ/ページ程度に抑えるようにしています)
・複雑な設定(描き手を知らない人や、前の話を読んでない人が理解できない内容だと、新規の読者を獲得するのが難しくなります)

また、「バズる」ことだけを考えると「絵の上手さ」というのは重要ではないと感じています。下書きのような絵の漫画がバズっているのも、よく見かけますよね。
ただし、そのバズをきっかけに、読者に「他の作品も読みたい!」と思ってもらったり、フォローしてもらったりするためには、やはり「作家性」が出ている方が強いです。

・絵や字が魅力的
・カラーである

こういった事柄も満たしていると、作家性が出てきて、バズをきっかけにファンになってくれる方を増やしやすいです。
私の場合は、「字が好き」という理由で作品を見てくださっている方も結構いるので、タイプではなく全て手書きしています(誤字とかね、やっちゃって大変なんだけどね…へへ…)。

どこに読者の「好き!」が転がっているかはわからないので、サービス精神を爆発させて+αの見どころ・お楽しみを提供することは、常に意識しています。

3.一コマ目で「えっ、なに!?」と思わせて、「ページをめくりたくなるコマ」で1ページ目を閉める

マンガの一コマ目から文字が多かったり、説明的すぎたりすると、またしても読者は離脱してしまいます。
最後まで漫画を読んでもらうためにも、特に1ページ目の1コマ目と最後のコマには「引きの強さ」を意識しています。

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この漫画は、一コマ目を私が「暴言を吐かれている」という衝撃的なシーンにすることで、読者の「えっ、この後どうなるの!?」という読みたい気持ち作りを狙っています。「私は○○出版からデビューしました云々」的な説明から始まるよりは、こっちの方が「次を知りたい気持ち」が高まりますよね。

そして最後のコマには、私が暴言を吐く相手に問いかける展開に加えて、「…すると」というモノローグを入れて、読者がページを繰る手を促しています。
数ページの漫画とはいえ、「読み流される」メディアで展開しているため、最後までしっかり読んでもらうための工夫が重要だと感じています。

3.その他の心得

ここから先は、Twitterで漫画を発表していく中で気付いた「バズのポイント」を列挙していきます。

● 時世にあったものは強い

みんなの「知りたい!」「語りたい!」欲が高まっているので、世間で話題になっている題材は盛り上がりやすいです。最近だとコロナやリモートワークの話題ですね。
世の中の話題になっていることで、自分も興味があることはぜひぜひ発信して、一緒に盛り上がっちゃいましょう。

●傷つく人はいないかな?

マンガを描く際に常に気を付けているのが「この表現は誰かを傷つけないか?」ということです。

この意識を持つことは、自分の作品を客観視する力にもなると感じています。(具体的な例はコチラの記事にもまとめているので、よかったら覗いてみてね!)

私個人は、いくらバズりたいからと言って炎上商法はお勧めしません
意図して炎上させた場合は除いて、炎上って「自分が伝えたいこと以外で盛り上がってしまっている」という状態だと考えています。ですが、それって作家としては「読者に伝えたかった内容が伝わっていない」状態で、ある種の「負け」じゃないかなぁと思うわけです。私の描き方・伝え方の未熟さなのかなぁと。

気軽に発信できるのが魅力のSNSですが、作品を出す際は、神経質すぎるくらいでちょうどいいのではないかな~とも感じています。(でも、そういうことを気にしないキレキレな芸風の方は、もちろんそれもいい!とも思っています。)

●具体的な読者を想像すると、刺さりやすい

経験上「みんな」に向けて描くよりも、たった一人の「あなた」に向けて描いたものの方が、読者に刺さりやすいです。
「この漫画、私のことかも…!」と思って、共感したり、応援してもらえたりするのは、コミックエッセイの醍醐味でもあり、作者としてもとっても嬉しくありがたいことです。

また、特定の読者を想定すると、自分でネタの選別が出来るようになります。
例えば、私は単行本の漫画は「ひとりで苦しんでる女性」に話しかけるイメージで描いていたのですが、「一人で苦しんでいる人」に対して「誰かに相談しなよ!」というアドバイスはザ・無意味!ですよね。「それが出来ないから苦しいんじゃ~い!」って思っちゃう…。
というわけで、このネタはお蔵入り…という判断が、自分で出来るようになるわけです。
こうして読者を想定しながら作品描いていくと、一連の作品に統一感が出て、他の作品も読んでもらったり、シリーズ化出来たりします。

●全部がほんとじゃなくていい

コミックエッセイは実話がベースになっていますが、ノンフィクションではありません。
個人情報が特定されるような内容は、隠したり改変したりしましょう。
また、読者の理解が難しい…と思われる場合は、その部分を改変する(実際は「義理の父の友達の奥さんのハトコの話」だけど「友達に起きた話」として描くなど)というのも、読みやすい漫画を作る一つの手法だと考えています。

ただし、読者の中には描いてあることが丸っと全部真実だと思う方ももちろんいらっしゃるので、情報の正確さには十分注意するなどの意識が必要です。

4.一番大切なこと

ここまで長いこと「バズる漫画のコツ」についてご紹介してきましたが、私がいっっっっちばん大切だと思っているのは、とにかく「自分が好きなことを描く」ということです。だから、ここに書いてあったことは、全部忘れて大丈夫笑!

「恋愛」とか「猫」とか、一般的にウケるテーマというのはやはり存在すると思うのですが、それらを無理に描いても、元々そのジャンルが好きで、心から楽しんで描いている人・詳しい人には勝つことができません。反対に、世間は興味がなくても、自分の好きなもの・ことがあれば、それを上手にプレゼンして、みんなに好きになってもらう方がヘルシーで魅力的なんじゃないかなぁと、私は考えています。

また、バズってる作品=いい作品、バズらない作品=悪い作品とも、私は全く思っていません。色々と書きましたが、バズは「たまたま」起こるもので、120%狙って起こせるものではありません。よほどの超人でない限り上手くいかなかったり、伸び悩む時期が来るもので、フォロワー数やいいねの数を気にしすぎると、描くこと自体が嫌になってしまいます。描き続けていって、作品のストックを作ったり、表現の幅を広げたりする方が超重要!だと思うので、バズはそれらの「おまけ」くらいの意識でいるといいのかなと感じています。

私自身は、作風を問わず「好きなものを好きに描いて突き抜けてる人」が愛されるし、長く続けられるのかなと考えています。
自分の良いところ(といっても、明るい作風に限らずシュールだったり、暗いノリでも)をどんどん使って、分かりやすく人に伝えることを意識して描き続けていくと、共感したり、興味を持ってくれる人が集まってきて「バズ」が起こせるようになるのかな~と思っているわけです。

…という感じで、すべての人に可能性が無限に広がっているハズ!それがインターネッツ!!だと信じて、フゥ~私めっちゃいいぞ~!との気持ちを持ちつつ、私も漫画を描き続けていきたいなぁと思っています。

皆さんも、ぜひぜひ漫画を描いてみてくださいね!

【というわけで、コミックエッセイ本が出ます!】

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