「わたしの未来家族計画」から1年、ずっと考えていたこと
あれからちょうど1年。わたしは会社を退職してロンドンに引っ越しをする前に「わたしの未来家族計画」という企画のクラウドファンディングをしました。それは家族の選択肢について世界で取材をしたいというもの。これからの家族やその暮らしの在り方を考えたいというものでした。
何度もお伝えしていますが、まだ形も見えていなかったような企画を信じて応援してくださったみなさんの愛はずっと忘れません。本当に感謝しています。
そのクラウドファンディングから1年が経って、わたしはようやく自分の言葉を外に置けるような気持ちになりました。ゆっくりで申し訳ない気持ちもありますが、どうしても誤魔化したくない部分の感情だったので、ご理解頂けると嬉しいです。
まずはこの1年間どんなことを考えていたか、お話させてください。
「家族」というテーマはあまりにも繊細でとても強い、そして個人的な意識や経験と深く結びついているものだと思います。この言葉を前にしたときに、自分で選んでおきながらも、いつも誰かを傷つけてしまうのではないかと躊躇する自分がいます。だけどそれは大切な姿勢だとも思っています。どれだけあっても足りない意識です。
だからこの「家族」というテーマだけは、社会の都合で進めることをしたくありませんでした。やらなきゃ、という気持ちで進めたくありませんでした。絶対にわたしは考え続けるから、もしかしたら待ってくれている人もいるかもしれないけどゆっくり進もうと思いました。
わたしはそこにそのまま存在する、ただその人たちの中にある「家族」を、何よりも大切にしたい。そしてそれは自分の気持ちに対しても言えることでした。
言葉することを急がないで、時間をかけて自分の中の気持ちを観察しながら、わたしは「家族」というものについて改めて考えました。
「家族」は本当に多様です。自分も、隣にいる人も、意外と違った考えを持っています。誰と誰の間に現れるかで「家族」の存在とその意味が変化したりもします。同じ言葉に見えている言葉が、全く違った意味を持っていることがあるのです。だけど、みんなが同じように持っている感覚も確かにあります。
そんなことを静かに、客観的に、実感する1年でした。
また、クラウドファンディングの時は「取材をする」ということを目標にしていましたが、実際にロンドンで暮らし、人と出会い、少し形を変えたいと思いました。
わたしはこの土地で、日本より多様な価値観を持つ人たちに出会ったと思います。だけど、その人たちを目の前にすると「多様性」という言葉で切り取ること自体に違和感を感じました。
ロンドンは本当に素晴らしいほど多様な街です。だけどその多様性が自然に存在していることがロンドンの素晴らしさです。
例えば、わたしは出会った同性カップルの人たちに「多様なパートナーシップの1つとして取材させてほしい」とは言えませんでした。何か普通とは違うこととして切り取ることがどうしてもできませんでした。
言葉にすると当たり前のことだけど、人と人との間にある「愛」に何も違いはないから。だから誰もそれを「違い」とも「新しさ」とも「多様」とも、もはや思っていない。とても豊かな街でした。
わたしはそれを感じたとき、素直にとっても嬉しかったです。人と人だもん。みんな違うし、みんな同じ。「家族」の話はそれぞれの「愛」の話。そう思えてわたしの心は思いっきり解放されたように思います。
今思うと、家族の選択肢について考えることを「社会の問題」の視点から始めることが自分とは少し合っていなかったのかなと思います。だからこそ家族の選択肢を「愛の選択肢」の視点で見れたことで前に進む道が見えてきました。
手段としては、これからは取材ではなく、その人たちに出会うことによって変化した自分の内面的なことをエッセイのような形で書いていくことで、まずはみなさんと共有できればと考えています。
これから毎週日曜日22:00に、まずはこのnoteを通して配信したいと思っています。
自分でもまだ捉えきれていない自分もあるけれど、ロンドンやヨーロッパで出会った人たちとの物語を通して感じたことや学んだこと、自分の生まれ育った家族を振り返って思うことを言葉にしていきたいです。
これが「わたしの未来家族計画」から1年、ずっと考えていたこと。時間をかけてやっと、自分の心の準備が整ったように感じています。
どんな言葉で届けられるのか、少し緊張しますが自分でもとても楽しみです。
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