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住みたい場所から選ぶ人生

同世代の4人ではじめます、「家」から人生の選択肢について考えていく往復書簡。

30代になった私たちは、今まで以上に「家」について考えるようになった。東京に住みながらも、このまま東京に住み続けるのかと疑問に思ったり。結婚して子供たちと暮らしながら、家族にとって一番いい住まいはどこなのかと考えたり。海外に住みながら、日本に帰るかを悩んだり。二拠点生活の中で、故郷について考えたり。

私たちは近しい問題意識や生活に対する価値観を持ちながら、それぞれが家や暮らしやその中での人との関係性について考え、実践とリサーチを重ねています。

そして来年にはそれを本にまとめて出版をしたいと考えています。往復書簡はその本について考えるプロセスのようなもの。

週1回、往復書簡としてのnoteを更新していく予定ですので、興味がある方はぜひ覗いてみてください。

往復書簡メンバー
Ayaka Nagai:人と人との関係性を生み出すコミュニケーションに興味を持ち、日本とロンドンで、食やアートや空間デザインの仕事に従事。
Mami Wakao:
Kayoko Hashi:
Mayo Ichihara:



住みたい場所から選ぶ、人生

2年前の退職をきっかけにロンドンへ。わたしは一度そのタイミングで、仕事や家など大きな基盤となるものたちを丸ごと手放して、見えたことがあった。

それはこれからの自分の人生を、仕事ではなく「住みたい場所」から選ぶ方が豊かになるかもしれないということ。もちろん何が正解ということはないし、年齢やライフステージによって変わるとも思う。

ただ、日本だと学校を卒業してそのままひとまず就職活動を始めるというのが一般的な流れ。フリーランスや色んな働き方が広がってきているとはいえ、他のことに意志を持つ前にどこかしらで「働く」ことをまずは考えていることが多い。少なくとも今までのわたしは当たり前にそうしてきた。

だけど海外に住み人生を俯瞰してみると、というよりも人生100年だとしてここからまだ70年近く生きるとしたら、仕事以上に「どこで誰とどう暮らす」ということがとてつもなく大事に思えてきた。

そして、仮に仕事を決めてその仕事に合わせて家を決めて相応の家賃が発生し出すと、家を維持するためにも仕事から離れるのは難しく、環境に対して変化を起こしにくくなるという現実も改めて認識した。

わたしは30歳を目前に人生をゼロベースにすることを選択して、今はすべてを選択し直せる大チャンスなので、これから「どこで誰とどう暮らす」のか、最近はそのことばかり考えている。

海外に住む?日本に住む?東京に住む?それとももっと別の場所?

とにかく限られた、だけど長い自分の人生を考えたら、何の仕事をするか以上にどこに住むかがわたしには大事。もっというと、どんな暮らしをしたいのかが人生そのものかもしれない。だって生きるって、生活だから。

仕事を起点に考えていくことから一度離れて、暮らしを起点に考える。暮らしがあって、一緒に生きる人たちがいて、その先に自分が役に立てる仕事がある。そんな状態をわたしは望んでいるのだと思う。

どこの国に住んでも、何をしていても、生活はずっとずっと続いていく。生きている限り。寝て、起きて、ご飯をつくって食べて、掃除して歩いてお風呂に入ってまた眠る。ただそれだけがずっと続いていく。だけど、ただそれだけの生活がとてつもなく力を持っている。

さまざまな国を旅行しても、わたしが惹かれるのはその土地で力強く生きている人たち。

自然があって土地があって、人は生きている。その全てが本当は恩恵のようなもので、きっとそこから生かされているという感覚が生まれていく。だからその土地と一体になり、生きる。その生き続ける姿や日々の暮らしが積み重なって結果文化のようなものだって生まれている。

何とも壮大な話になってきたけれど、わたしは日本を離れて、ずっと自分は自分の帰る場所、深い故郷のようなものを探しているんだとも思った。

わたしはどこに帰るのか。そんな問いから、自分の住む場所を考えているのかもしれない。

今回の執筆者
Ayaka Nagai:人と人との関係性を生み出すコミュニケーションに興味を持ち、日本とロンドンで、食やアートや空間デザインの仕事に従事。



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