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住みたい場所から選ぶ、人生

2年前の退職をきっかけにロンドンへ。わたしは一度そのタイミングで、仕事や家など大きな基盤となるものたちを丸ごと手放して、見えたことがあった。

それは仕事ではなく「住みたい場所」から選ぶ方が、もしかしたらこれからの人生は豊かになるかもしれないということ。もちろんどちらかが正解ということはないし、年齢やライフステージによって変わるとも思う。

だけど、日本だと高校や大学を卒業してそのままひとまず就職活動を始めるというのが一般的な流れ。フリーランスや色んな働き方が広がってきているとはいえ、他のことに意志を持つ前にどこかしらで「働く」ことをまずは考えていることが多いと思う。

海外に住み人生を俯瞰してみると、というよりも人生100年だとしてここからまだ70年近く生きるとしたら、仕事以上に「どこで誰とどう暮らす」ということがとてつもなく大事に思えてきた。

そして、仮に仕事を決めてその仕事に合わせて家を決めて相応の家賃が発生し出すと、家を維持するためにも仕事から離れるのは難しく、環境に対して変化を起こしにくくなるという現実も改めて認識した。

わたしは30歳を目前に人生をゼロベースにすることを選択して、今はすべてを選択し直せる大チャンスなので、これから「どこで誰とどう暮らす」のか、最近はそのことばかり考えている。

海外に住む?日本に住む?東京に住む?それとももっと別の場所?

とにかく限られた、だけど長い自分の人生を考えたら、何の仕事をするか以上にどこに住むかがわたしには大事。もっというと、どんな暮らしをしたいのかが人生そのものかもしれない。だって生きるって、生活だから。

仕事を起点に考えていくことから一度離れて、暮らしを起点に考える。暮らしがあって、一緒に生きる人たちがいて、その先に自分が役に立てる仕事がある。そんな状態をわたしは望んでいるのだと思う。

どこの国に住んでも、何をしていても、生活はずっとずっと続いていく。生きている限り。寝て、起きて、ご飯をつくって食べて、掃除して歩いてお風呂に入ってまた眠る。ただそれだけがずっと続いていく。だけど、ただそれだけの生活がとてつもなく力を持っている。

さまざまな国を旅行しても、わたしが惹かれるのはその土地で力強く生きている人たち。自然があって土地があって、人は生きている。その全てが本当は恩恵のようなもので、きっとそこから生かされているという感覚が生まれていく。だからその土地と一体になり、生きる。その生き続ける姿や日々の暮らしが積み重なって結果文化のようなものだって生まれている。

何とも壮大な話になってきたけれど、わたしは日本を離れて、ずっと自分は自分の帰る場所、深い故郷のようなものを探しているんだとも思った。

わたしはどこに帰るのか。そんな問いから、自分の住む場所を考えているのかもしれない。




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