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『今日』

先週のある日。

支援センターで、
絵本棚の近くで
子どもたちに本を読んであげながら、
ぼーっと絵本棚を見ていたら、
この本を見つけました。

あー、なんか見たことあるな、
有名な本だったかな。

と思って、
軽い気持ちで開いて読み始めたら、
涙腺崩壊しそうになりました。

というか半分泣いてた。
支援センターだったので、
あぁまずいまずいと、涙を堪えました。

『今日』

という詩。
子育て中の方なら、
もしかしたらネットやSNSで見かけたことも
あるかもしれません。

私も見かけたことはありますし
たぶんその時も泣いた気がします。笑

でも改めて本で読むと、いいですね。

本の温かみ。
1ページに一つ、二つの文と、挿し絵。

より、心に沁みるものがありました。
あとがきも、もう一つ掲載されている詩も
とてもよいので、お手に取って、ぜひ。

そして、この詩。
よみ人知らずで、訳者の伊藤比呂美さんが、
友人から頼まれてものの10分で訳した
という、この詩。
その友人の関口香さんという方は、
子育て雑誌の元編集者で、
あるときニュージーランドの子育て支援施設で
この詩を見つけ、

『ずっと見てきた日本の、疲れはてた、でもがんばって子育てをしている母親たちに伝えたい』
「今日」伊藤比呂美:訳/下田昌克:絵 訳者あとがきより

と言ったそうです。
そんな詩が、こちら。

『今日』 (伊藤比呂美訳)

今日、わたしはお皿を洗わなかった
ベッドはぐちゃぐちゃ
浸けといたおむつは
だんだんくさくなってきた
きのうこぼした食べかすが
床の上からわたしを見ている
窓ガラスはよごれすぎてアートみたい
雨が降るまでこのままだとおもう

人に見られたら
なんていわれるか
ひどいねえとか、だらしないとか
今日一日、何をしてたの?とか

わたしは、この子が眠るまで、おっぱいをやっていた
わたしは、この子が泣きやむまで、ずっとだっこしていた
わたしは、この子とかくれんぼした
わたしは、この子のためにおもちゃを鳴らした、それはきゅうっと鳴った
わたしは、ぶらんこをゆすり、歌をうたった
わたしは、この子に、していいこととわるいことを、教えた

ほんとにいったい一日何をしていたのかな

たいしたことはしなかったね、たぶん、それはほんと
でもこう考えれば、いいんじゃない?

今日一日、わたしは
澄んだ目をした、髪のふわふわな、この子のために
すごく大切なことをしていたんだって

そしてもし、そっちのほうがほんとなら、
わたしはちゃーんとやったわけだ

本当、1人目が生まれたばかりの頃を
鮮明に思い出します。
そして、今もまだまだ同じようなものです。

おもちゃでぐちゃぐちゃになった部屋。
ダイニングテーブルの下は食べかすだらけ。
なんならリビングも
食べかすとシールと折り紙でめちゃくちゃ。
気がついたら夕方になってて。

一体私は今日何をしていたんだろう
と思うことの方が多くて。
虚しくなってしまう。

でも、ちゃんとやってた。
子どもたちは笑顔で生きている。
いっぱい遊んであげたし、
ご飯も食べさせた。
すごく大切なことをしてた。
そう思えたら、幸せですよね。


ちょうど、朝ドラ「舞いあがれ!」でも
舞ちゃんのお父さん(浩太)が、
舞ちゃんに対してこんなセリフを言っていました。

舞 「お父ちゃん凄いな。今日1万本以上ネジ見てん。けど、不良品はその1本だけやった。…ええネジ作ってんねんな」
浩太「舞は不良品を探している時でもええとこ見つけるんやな。それが舞のええとこや。
朝ドラ「舞いあがれ!」第63話より

何に、目を向けるか。
それを、どう前向きに捉えるか。

まあ、それが難しくて、
落ち込んでしまうことが多いのですけれどね〜。

この、ほんのちょっとしたことで、
明るく生きられるような気がします。

子育ての、人生の、いいとこ見つけ、したいですね。

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