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今までの方法からの脱皮|ちいさなお店の記録 no.1

「お店をはじめる」

年始、小さなノートに震えながら書いた、この一文の準備がゆるりゆるりと進んでいる。

完璧主義なところがある私は、ECサイトも、SNSアカウントも全部整備して、「お店を始めました!」と、ちいさなちいさなお店を公開するつもりだった。

しかし、今回は今までの自分のやり方をちょっと変えてみようと思う。

強がりな私は、不完全さを見せることを避けてきたけれど、自分の不完全さを小さく小さく身近に見せていくことで、自分の中の殻を破りたいのだ。

どんなことがこれから起こるかわからないけれど、お店作りとそれからの記録をちいさくここに綴っていこうと思う。


歳の始まり

お店を始めようと、心に小さく決める。でもまだ震えていた。そんな時、ずっと行ってみたかった雑貨屋さんが、ポップアップストアをすることをInstagramで知る。

大好きな場所の近く、勇気を出してその扉を開けた。穏やかな時間が流れるその場で、私は自分の中の光を掴んだ気がした。その光に背中を押されて、「お店をしてみたいんです」と震えながら、初めましての店主さんと、場所のオーナーさんに話してみた。すると「お姉さんならできますよ」「面白いじゃん」と、目を輝かせて2人が言うものだから、震えがおさまり目頭が熱くなっていた。

春の芽吹き

風が少し柔らかくなった頃。私は大阪の高槻にいた。数年ぶりに尋ねるその土地にそわそわとする。歳の始めに出会った店主さんが、お店を始めるまでのお話をするという。なんか行かねばならん気がして、3度迷って参加申し込みをした。ゆらゆらと流れ着くように現地に着いて、座布団の上でお話を聞く。このお話を聞いて、お店で扱うものについて考え始めた。
そして思いがけず、新しく住み始めた土地の初めての友達ができた。この友達、のちに勇気をくれる人になる。

葉が水を纏う

葉がぷるんっとしていて、個人的に1番かわいいと思う季節。大好きな友人の刊行イベントで出会ったふたりの本屋さんに、お話を聞くことができた。どうやって本屋さんをしているのかというハウツーは知りたかったことではあったけれど、何よりも「本屋さん」の人柄そのものが気になった。その人にしかない雰囲気というものが個人のお店には大きく影響する気がしていたから。とは言いつつも、少し関係ないことばかり喋りすぎた気がして反省。でもやはり、おふたりと話すと、お店は店主さんの人柄や感性を映していることを実感した。これはハウツーよりも何よりも大切な収穫。それから、自分の人柄や感性を振り返ることから、お店について考えることにした。

熱の籠もる追い風

コートとタイツを身に纏っていた装いから一変、半袖を着て、雑貨屋さんの2回目のポップアップに訪ねる。「わぁ〜」と声をかけてくれる店主さん、少しお店の名前で悩んでることを相談できたこと、数ヶ月で関係性が温かくなったみたいで嬉しくなった。すると、春の初めに出会った友達と再会する。私のnoteを読んでくれていたそうで、「あやかちゃんの文章、すごく好き」と伝えてくれて嬉しくなりつつびっくりして、お店の話をやんわり話してみると、「絶対通いたい」ときらっきらの眼で見つめながら言ってくれた。その言葉がお世辞じゃないことがひしひしと伝わって、涙が溢れそうになった。まだ春は残っているというのに、夏が訪れたかのような熱の籠った追い風が、帰り道の私の背中を押した。


つづく、、

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かみつれ

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