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使えないかもしれない?|ちいさなお店の記録no.3

前回はこちら。


名前が決まった。少しほっとひと息つきながらも、他のお店と被りがないか何度も確認する。

そう、何度も確認したのだが。

やはりどこにも穴というものはあるもので。コスト削減とつぶやきながら、自分で商標登録の願書を作っていた時、小さくも広がりを見せそうな穴を見つけてしまった。(コスト削減という言葉は、なぜこうも発するには後ろめたく思ってしまうのか、、と同時に思う)

そもそも商標登録を特別する必要があるかと言われると、そこまでないのかもしれない。ただ、難儀なことに商標登録というものは使っていた順ではなく、出願・登録した順に法的権利が発生するらしい。(例外ももちろんあるそうだが)

そんな情報を仕入れた私は、友人が作ってくれたロゴ含め、店名が使えなくなるリスクを考え始めた。なんとかなるかという楽観的な気持ちとあまりお金かけたくないという消極的な気持ちで、一度は登録することを白紙に戻そうと思った。しかし、金銭的にも、精神的にも店名が使えなくなるリスクというのは大きく、ひとりで切り盛りするお店には、何かあった時に痛手すぎる。

そのうえ、それよりも怖くなったのは、商標の調査を怠ってしまうと、誰かの権利を脅かしてしまう可能性があること。誰かのためというよりも、何よりもそうなると損害賠償などの大きなリスクを負うようになる。完全なる保身。

そんなこんなで始めた商標登録。

初めはコスト削減のため、自分で願書も登録もしようと考えていた。調査も全て。

できないことではないらしいが、いざやってみると専門的な知識を必要とする部分が多い。区分って何?というところから始まり、そもそも出願できる内容なのか、登録の希望は叶いそうなのか、ど素人が判断するには厳しい壁がたくさんあった。

しかし、とりあえず「燈芯香」を、インターネットに広がる有難いさまざまな調査プラットフォームで調べてみた。

色々調べていくと、同じ商品区分に「燈心香」という名前はなさそうでほっとする。しかし石橋はできるだけ叩いておきたい。何度も検索をかけていくと、「類似商標で登録できないかもしれない」という文言が飛び込んできた。

呼称も含め、同じ区分に似た呼び名のものがあると登録できないことがあるらしいとは知っていたけれど、何と被ったんだろう、、?と首を傾げながら結果を覗く。

すると、某大手予備校の名前があった。印刷物の販売、確かにしていらっしゃるわ。そこと呼称が被った。そうか、だめかぁと部屋で呟く。

しかし思ったよりも不思議と切り替えは早く、新しい名前を考え始めている自分がいた。まず友人に連絡して、ロゴの修正をお願いできるか聞いてみよう。そして、名前を考えよう、と。

友人は快く修正を受けてくれて、私に名前をじっくり考える時間まで作ってくれた。本当に優しい。有難いなぁと優しさを噛み締めながら、私はせっせと図書館に向かった。

つづく、

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かみつれ

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