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かみつれ

忘れたくない小さな心の動きと無常な日常の記録。言葉で心がつながる瞬間がひとつでもあると嬉しいです。
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2022年10月の記事一覧

あの装丁の本が1冊も我が家にないのは

「ジョン・ロック」 私はその名を3年ぶりに目にした。 それもTwitterの画面の中で見つけたか…

郁 香
2年前
7

翌日に響かない餃子レシピ

最近の私は、餃子の手の上で転がされている。 最近ハマっている作り方、何度か試作を重ねた作…

郁 香
2年前
7

都合よく切り取ったあの時の記憶の裏

「あーーーーーやらかした!」 もう季節は冬に向かっているのだと言わんばかりの冷たい空気が…

郁 香
2年前
4

「難単」が連れてきたオアシス

「倫理という学問は暗記教科じゃありません」 大学2年生の春、講義室にしては小さめの教室で…

郁 香
2年前
3

「自分の機嫌」と「評価」

「自分の機嫌は自分で取ろう」 そんな言葉を巷でよく耳にするようになったのは、いつからだろ…

郁 香
2年前
4

忘れていた感情は秋の味覚

「あなたにとって温かいつながりとは?」 そんな問いを受けた時、すぐさま前日まで同じ時間を…

郁 香
2年前
3

おそろいのミサンガは見えないけれど

「夜、寝れた?」 お互いがそうやって聞き合って、くすっと笑ってしまう2日目の朝だった。 東側の小窓を開けると、朝の透き通った空気の香りと共に光のシャワーが降り注ぐ。 そしていつものように私がお香を立てて火をくぐらせると、香りとともに煙が舞い始めた。 その自由自在に舞い踊る煙に自然の明かりがスポットライトのようにあたって幻想的だった。そんな空間を私たちは体育座りになって、並んで無言で見つめる。

感性を記録する貸出履歴

見渡す限りの本の壁と、インクと古びた紙の匂いが充満するその空間。 そこで深呼吸することが…

郁 香
2年前
7

運動なんて嫌いだと、長縄大会に雨乞いをしていたのに

「長縄嫌やから早く大人になりたい!」 これは私の小学生からの口癖。 回る縄に飛び込むとい…

郁 香
2年前
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忘れたくない花日和

街中の木々の葉の色が、少し色づき始めていた。 夏のようにもくもくと発達する雲が佇む青空の…

郁 香
2年前
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秋雨の心の余白

昨日頼んだ長期保存水たちの訪れを知らせる音で、今日は目が覚めた。

郁 香
2年前
3

あの時は疎ましかった

「おはよう」「ねぇ、起きて」「朝だよ」 7時半。窓の外から小鳥たちがそうやって語りかける…

郁 香
2年前
4

濾過された雲

最近、異常に眠い。 朝起きても身体を起こす前に気を失うように寝てしまう日々が続いていて、…

郁 香
2年前
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「好き」の表現は、心のビタミン

「懐かしいね、もう5年も前の話になるのか」 電話口から相変わらず柔らかい声が聴こえる。声の主は、地元にいる親友。 彼女のことは一度文章にしたことがある。個人的にもお気に入りの文章。そこでも綴った予備校の時を思い出して、昨日は2人で会話に花を咲かせていた。 「あの時、『いい!』『好き!』って感じたこと、毎日のように言葉にしていたんやね」 5年前の記憶を遡っていると、私の口からはそんな言葉が漏れた。たぶんそれは、最近考えていたことが5年前の記憶と妙に繋がったからだと思う。