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わたし、お米は

私はもともと、食にこだわりがない方だった。
独身の時は、毎晩夜はうどん。もしくは焼きうどん。
朝はトマトジュース。
昼は会社の食堂で定食。

家にあるのはフライパンだけ。
調味料も、すべて、めんつゆだけで補っていた。

ダブルワークをしていたラーメン屋で、ご飯の余りを貰うようになってからは、
炊飯器でお米を炊くことも無くなった。

しかし、結婚した相手は、食が趣味だった。
とくに外食が好き。
最初に驚いたのは、お店で食事をしながら、他の飲食店の料理についての話をする。
話している内容はだいたい、どこどこの○○が美味しかっただの、いまいちだの。

結婚後、料理をするようになり、便利なもので、スマホ検索すれば大概美味しく作れる。
し、私が作った料理を夫も普通に食べてくれていた。

そして子供が産まれた。
この子供が食が細く、好き嫌いもあり、なかなか大変。
でも子供は正直で。美味しければ食べる。
イマイチだと食べない。

そして一番の問題はお米だった。
おかずは食べてもお米を中々食べない。
当時は圧力鍋で3合炊いて冷凍保存していた。 

夫いわく、そのお米が美味しくないんだよ、と。
あまり言わないようにしていたけど、まずくはないけど、美味しくもないと。
なんと!わたしは家でお米を食べないのもあって、いまいちピンときていなかった。
かといって食事の度に炊くのも働いている身としてはしんどい。

ということで、炊飯鍋を買うことにした。

なぜなら夫の実家が炊飯鍋でお米を炊いていて、それがとても美味しかったのを思い出したから。

さっそく家電量販店へ炊飯鍋を買いに行ったが、、なんと1種類しか置いてない。しかも、ほぼ、展示用。

ネットで目星をいくつかつけて、お店で選ぼうと思っていた私は意気消沈。

しかし、その1種類しかない炊飯鍋を買うことにした。
炊飯器は、いま、あまりにも高いし。
炊飯鍋は四千円くらいだった。
ほんとはメーカーのお米炊き機能がついているコンロ用の炊飯鍋だったのだけれど、普通のコンロでも炊けると書いてあったので、賭けることにした。

そして家に帰りいよいよ、炊飯鍋でご飯を炊く。
とくに火加減を途中でいじる必要は無く、タイミングを見て火を消すだけ。
最初から、そううまくは炊けないだろうと思っていたが、最初からうまく炊けた。

そして息子に出したら、なんと、パクパク食べた。

えーー!と思って私も一口。 
うん、美味しいわ。今まで炊いてきたどんな炊飯器や圧力鍋よりも美味しい。

さらに冷凍保存して解凍しても、ふんわり感は残っていて、息子も食べていた。

それ以来、お米は炊飯鍋で炊いている。
かつて炊飯器でお米を炊くことすら放棄した私が、炊飯鍋でお米を炊くようになるとは。

正直今もあまり料理にこだわりは無いけど、お米を炊飯鍋で炊いている自分が、少し、料理にこだわりがある人みたいで楽しい。

「わたし、お米は炊飯鍋で炊いてるの。」

#料理はたのしい

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