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ミーハーな私が探偵社で働いてたときにワクワクしたこと

私は大学を卒業後、新卒で探偵事務所に就職した。

志望動機は小説のネタになりそうだったから。
それと「稲葉野々……探偵さ」と言いたかったからである(バカ極まる)

そう……まごうごとなきミーハー心があった。
というか、ほぼそれだけで新卒ブランドをあっさり手放し、就職を決めた。

そんな私が入社して「これって探偵っぽくな〜〜〜い???」と興奮したことを、少しばかり紹介していこうと思う。

1・相談室にある、心得

もうこれは、見た瞬間に私のテンションぶちあがり案件だったんだけど、相談室の壁にはこれがかかっていたんです。


探偵の心得。

これを見ると、「あぁ私は探偵事務所で働いてるんだなぁ」「というか私って探偵なんだな。よし心得ておこう」という気持ちが大きくなってワクワクしたし、なんか興奮した。

2・大量の探偵が集まる日

探偵業を営む会社は警察の生活安全課が主催する研修会に参加必須。
年に一回だか忘れたけど定期的に行われている。

つまりその日は、研修施設に関東中の探偵が集まるんです。

イメージイラストの探偵、怪しすぎやろ

この研修、簡単にいうと「こういう調査依頼を受けてしまうと、業務停止になるよ」というのを改めて意識しようねというもの。
(たとえば婚約者の出生を調べることも禁止されていたりする。あとはストーカー犯罪の手助けになってしまうような調査には気をつけましょうという話など)

研修はわりとまじめに話を聞くだけなんだけど、どれも知ってる話ばかりで正直つまんない。
だからここで楽しめることといえば、探偵たちの観察だ。

「あなた、もろ探偵ですね」って一発でわかるような姿をしている人も多くて面白い。

そしてここに今、関東中から探偵が集まってるんだなぁと思うと、なんかワクワクするのだ。

とにかく目が怖い

元刑事さんで探偵をやる人って実際に多いみたいで、そのせいか目つきが鋭いおじさんが多い。ほんと刑事さんってわかりやすいよね。

(そういえば探偵歴の長い我が社の社長は「刑事は調査が下手」とよく言っていたのを思い出す。というのも、刑事は聞き込み調査をするのに警察手帳という最強アイテムを使うことができるからだそう。探偵はそんなものはないし、なんなら調査してること自体バレちゃだめなので、刑事から探偵になった人は聞き込み方法のやり方の違いに苦労するとか)

3・そうだ、偽名を作ろう!

一般企業で働くとほぼ確実に経験しないこと。

それは偽名をつくること。
そしてそれ用の名刺を持つこと。

この軽さである

偽名を持つということ自体がエージェントに憧れるミーハーな私の心をこちょこちょくすぐった。

4・やっぱりコレは必須だよね!

調査のときに上司から持たされたもの——
それはペン型カメラである。

ペン型カメラなんて実際に使うんだ!???
とびっくりしたんだけど、これが意外とかなり使える。

よくスーツの胸ポケットあたりにさして撮影してたんだけど、
全然気づかれないし映像も割と綺麗だったため、潜入調査のときには大活躍だった。

ただ難点は、ボールペンっぽく見えるくせに字が書けないということ。
署名をお願いしますと言われたときに、胸にペンさしてるのにわざわざカバンからペンを出さないといけないので、指摘されないようにしれっとペンを出すのが面倒でした。これほんと直してほしい。

でもこういう小道具を使うと一気に「いま、探偵やってます」っていう気分が高まって、ワクワクするのよね。

探偵のワクワク心は今につながる???

こんな感じでミーハーで私にとって、常にワクワクが尽きない探偵は楽しい仕事だった。
(小説のネタにできるようなことがあったかと考えると、いまいちまだ活かしきれてない気はするけど)

私は現在、絵本作家をしてて、もうすぐ2作目が出版になる。
絵本を作るとき、私は「自分自身がワクワクする物語であること」を心がけてるんだけど
次の話は……
夜に家から抜け出して隠密行動しつつ、子供達だけでこっそりパーティーを開くというストーリー。

こっそり煙突から抜け出したり、ひっそりハシゴを登ったり、秘密でなにかをするっていう、ちょっとスパイっぽい要素がある絵本なんだけど、やっぱり私はそういうのが好きなんだなぁというのに、探偵時代のワクワクを思い出していて改めて気がついた。

つくりながら「こういうのたのしいよね!なんかワクワクするよね!」と思ってただけで、めっちゃ無意識だった。
好きなことっていうのは年齢を重ねても案外変わらないものなのかもしれない。

探偵のときに感じていた「ワクワク!」という気持ち。
私にとって大事なその感情をこれからもずっと持ち続けていくために、私はいろんな挑戦に足を突っ込み続けたい。

子供たちが楽しいと思う作品を一つでも多く作るために、自分で自分を楽しませていたい。

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