ツイステはDハロの火種なのか(後編)

学級会。注意喚起や問題提起と、それに連なる議論を指す。別の機会に書くが、コスプレはサブカルでも最も人間関係が露骨に関わってくる複雑な業界で、レイヤー学級会は日常茶飯事だと思ってよい。

さて、その学級会の話題がDハロに絡む件も少なくない。Dハロはあくまで「仮装」であって「コスプレ」ではない。この両者の線引きこそ曖昧過ぎるのだが、この記事では簡単に「衣装を着て愉しむ」ことを前者、「写真映えを最優先する」ことを後者と定義しよう。
Dハロは、あくまでディズニーのキャラに限定された仮装イベントであって、着ぐるみやスタッフと触れ合うことが主目的だ。時々学級会にも採り上げられるディズニープリンセスの仮装も、Dハロで認められるのはコスプレ界では叩かれがちな「着ただけ」の延長だ。
この定義も、別の機会に書くが、「着ただけ」の対義語が「完コス」であり、衣装やウィッグ、メイクやカラコン、はたまた身長…厚底のブーツで「盛る」ことも多い…に至るまで、キャラに完璧になりきることを指し、今は初心者でも完コスが求められる。

しかし、Dハロが好きなレイヤーは、やはり「TDRと云う特別なロケーション」での写真映えも求めたい。だから、およそ場違いな、大きなカメラバッグを担いだカメラ連中を連れてのロケ感覚になる。
三脚とレフ板が禁止の時点で「絵にならない」とぼやく連中も多いが、そもそも外付けストロボやLEDライトをカメラにセットしているだけでも、周囲からすれば浮く。
Dハロはコンセプトがハロウィン、つまり求められるのは仮装レベルであり、記念写真、スナップ写真の延長であれば問題は無いが、強いストロボでモデルの顔の影を飛ばして…となると、最早その領域では無い。
また、その為には平気で他人の荷物を退かしたり場所を占領したりもする。まあ、自身にとってそれらは「フォトジェニックなスポット」でしか綺麗に撮ることができず、正直大して上手なワケではない、と云う認識なのだが。

また、それ以外の問題も有る。作中の建物などのモチーフとなったアトラクションやオブジェに対し、本来のバックストーリーとは無関係に聖地化した連中が屯することだ。
あくまでも個人的な感覚ではあるのだが、Dオタはストーリーや世界観を何より大事にする傾向に有り、それからすると屯する連中は土足で踏み躙って去るだけの存在でしかない、と思われても文句は言えない。

確かに、仮にツイステがDハロで認められれば、ザックリ云えばコスプレで聖地巡礼が可能で、聖地でセルフィーなんかは最高だろう。最近のレイヤーは、特に自分やフォロワーとのセルフィーだけをアップして終わり、と云うことも多く、それで十分だろうとは思うが。
ただ、そう云うレイヤーの心理としては判るが、TDRは不特定多数の来場客が万単位で集まる上に、そもそもレイヤーの心理を知っている人間がその中に何人いるのか。知っていても、容認するかは全く別だ。そして、結果として
「一般人は多様性を受け入れる寛容性がない」
「これだからコスプレイヤーは民度が低い」
で学級会になる。

この記事を書いている時点では、既にツイステでDハロに行きたい連中や、そもそものツイステプレイヤーに対するコスプレやディズニー本体の世界観との違いにおける注意喚起が多数流れている。
先手を打って自衛に走ろうとし、周囲にも強く要求するのは、先述の争いを避けるための措置。特に、ツイステそのものがポジションとして特殊な上に、ヴィランズと言えばTDSでの「手下」に対する、来場客の異常行動…簡単に言えばキャスト目当ての来場客の行動が度を超えた…で一部が炎上した。

「手下」はTDS発の、言ってしまえば半オリジナルキャラクターで、本家との関わりはマスターヴィランズのみ。
しかし、ツイステのキャラはディズニーと無関係のアニプレックス発の事実上オリジナルキャラクターで、マスターヴィランズとの関連性さえ薄い。「手下」との関連性は皆無。ただゲームのモチーフがヴィランズと云うだけ。
更に、あくまでディズニーは「協力した」だけで、企画と配信を手掛けるアニプレックスも、実際の開発と運用を行うf4samuraiもディズニーとの資本提携はOLC同様行われていない。
ますます、ディズニーとの関連性は無く、ディズニー側がツイステをDハロに組み入れる可能性は無いに等しい。

つまり、「手下」でこれだけ「余所者」がTDSを荒らした前科が有る中、更に余所者のツイステは仮にDハロで可能だとしても更に荒れる、と云う恐怖が有る。そして、己も同類だとされることを恐れる。ただ本音に出さないだけで。

どちらにせよ、現状ではTDRの営業再開がどの時期になるのか全く読めない。一方では終息に1年から2年と云う説も出ており、休業が年単位の長期化を強いられる可能性も有る。
仮に6月ぐらいから営業を再開したとすれば、恐らく8月頃にDハロの概要が決まるだろう。その発表を待ちたいが、今の時点でも色々な不安を拭えない。
特にツイステの場合は、その特殊な立ち位置がネックになり、また場合によっては、Dハロとコスプレイヤーの在り方を大きく問われることにもなるだろう。
尤も、レイヤーでないゲームユーザーが聖地巡礼として押し寄せ、問題化する可能性も有るが、それはDハロに限ったことではなく、また別の話。

営業再開そのものが不確定要素である中、今回2回に分けて書いた件についての学級会は、水面下で更なる勃発を繰り返すだろう。

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