緊急事態宣言下の選挙に行ってみた

緊急事態宣言が発令されて2回目の週末を迎えた、斜陽の工業都市北九州。小雨が降る中、市議会の椅子を巡る選挙戦が始まった。
人口は減少の一途を辿るこの元百万都市での選挙は、現政権下で初の政令指定都市の大型選挙とあって、現政権の支持度や信任度を測るには絶好の機会として、一応は注目された。
その初日の土曜、早速投票に行ってきた。緊急事態宣言下の選挙がどんなものか、見てみる思惑も有った。
選挙も終わったから告白するが、自身は泡沫候補に入れた。北九州市議会は共産党以外オール与党と云う構図と言われる。その上でアンチ自民党なのは、単に趣味で知り合ったが生理的に受け付けず絶縁した男が、政治オタクで地方の自民党員だったから、と云う個人的な嫌悪に過ぎない。だから与党に敵対するならどこでもよかったが、一方でそれの当落には全く興味が無い。
「俺の一票で未来が変わる!未来をこの手で変えるためにも、いざ参らん!」
などと云う意志は無い。そもそも組織票がモノを言う世界で刺さるとは思わない。だが、それでも与党に
「お前らはダメだ」
と落第点を叩き付けることはできる。

この日、自宅から車で15分以上掛けて、大きな郵便局で不在扱いだった書留郵便を受け取った。大手ネット証券からの、証券口座の開設通知書だった。今のメインバンクと紐付ければ、投資しなくても一時的な預金の保管先として使えるのではないか、と云う思惑からだった。
その間も、街宣車が候補者の名前を連呼しながら、雨の中走って行く。これから1週間、五月蠅い日々が続くことにウンザリしていた。しかも、目先の得票を意識し過ぎたか、感染症に対する政策云々ばかり。バカの一つ覚えかと言われても文句は言えまい。

投票率アップを狙ってか、ハローキティとコラボすると云う狡猾さが、変なところにばかり税金を投入する北九州らしい。
今回から、期日前投票…いつもイベントなどのために旅行と称してやっている…の理由の項目に、感染症を原因とする「密回避のため」が増えた。ただ、実際当日はイベント参戦だったし、今までと何も変わらないが。

区役所の駐車場には、そこそこ車が止まっていた。尤も、半分以上は選管の連中のものだったが。
ただ、同じような人間はやはり少なくなく、中には家族総出で一大イベントのようにやってきた集団に出くわした。
役場に行くのは、昨年10月の時以来だ。国勢調査の回答期限ギリギリになっても、そもそも調査用紙も何も届いていないため、何故来ないのか、回答しなくていいのかと問い詰めると、夜も確認作業で開庁しているため記入に来ることは可能か、とのことだった。結果20時過ぎに手ぶらで行って、鉛筆…大学のセンター入試のマークシート以来だ…と消しゴムと紙を渡され、カウンターで消しゴムのカスまみれにしながら書いた。この時は、調査員の初歩的ミスだとしてかなり詫びられたが。
さて、既に数人が入口前で待機列を成していたが、検温は無かった。そこに並び、直前に購入したばかりの、やや高めの自前のシャープペンで色々記入する。今回は、潔癖症ではないが備え付けの筆記具を使わない事に決めていた。
入口ではアルコール消毒をした上で、照合や交付はほぼ何時も通り。待機用の赤いテープだけが床に貼られてあったことが今までと異なるが、それでも自身は先に投票の通知書に記入する必要が有り一度待機列から外れたため、前には誰も並んでいない状態だった。

唯一気になったのは、投票用紙の記入場所。そもそも隣の人の記入内容が見えないようにアルミかステンレスの板で完全に左右が区切られている上、隣同士で投票先を話すこともできないが、その時点で対策云々を特段する必要が無いのだろうと思える。それでも1区画ずつ空けて、間には養生テープを貼って立入禁止を示していた。
鉛筆かシャープペンならOKのため、自前のシャープペンで記入して投票箱に放り込むと、そのまま退出し、目の前のカウンターのアルコールで手を再度消毒して退出。
恐らく接触回避のためか、調査のための報道員はいなかった。

それからの選挙戦は、既に投票を済ませた自身にとっては五月蠅いものでしかなかったが、異口同音とはこの事かと思うほどだった。結局、目先の感染症対策とその為の政策が論点で、それ以外が有耶無耶にされている感が否めなかったのだ。
ただ、密回避は選挙演説では例外的に容認されている、と云う印象も有り、何かモヤモヤが残る選挙戦だった。これこそオンライン投票にできないものかと思うのだが。

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