BL小説レビュー：ルームメイト (ハーレクイン・ラブシック) 雪代 鞠絵

ルームメイト (ハーレクイン・ラブシック) 雪代 鞠絵 

【電子限定版】ルームメイト

出来事プロット　★★☆☆☆
心情プロット　　★★★☆☆

正直、展開はかなり予想がつく感じですが、じょじょに惹かれていく二人の関係性とSMプレイが思ったより面白く読める良作。

こんな人におすすめ
・体育会系×オタクというタイプの違うカップルが好き
・信頼関係の上に成り立つSMプレイが好き
・可愛い二人が両思いになる様子を見たい

舞台はアメリカの大学。哲学科でオタクっぽい主人公のアダムと、スポーツマンで成績も優秀なルームメイトのジョシュ。全くタイプが違うふたりはずっと話をする事もなく過ごしていた。あるときアダムはルームメイトの秘密のSM趣味を知ってしまい、それ以来ふたりはSMプレイをする仲に……という話。

これはハーレクイン・ラブシックという、海外のM/Mロマンス（英語圏のBL）を日本のBL小説家が読みやすく超訳するというコンセプトのレーベルの小説で、（敬称略）超訳：雪代 鞠絵、原作者：ラナ・マクレガー、イラスト： 中村 明日美子と、なかなか豪華。

BDSM（ボンデージ：拘束、ディシプリン：調教、サディズム、マゾヒズム）が目玉となっている作品ですが、BDSMは、よくSがMを奴隷のように思い通りにしたり虐待することと誤解されるけれど、実際には信頼関係の元、SがMの要求をよく理解し期待に答えていく高度なロールプレイングです。この話でも、いきなりハードなプレイはせず、本当に嫌じゃないかしっかり確認して信頼関係を築いていきます。本当に辛い、嫌がっているのに無理やり……というのが好きな人向きではないですね。

最初はプレイを楽しむだけの関係だったものの、だんだんとお互いを知り、惹かれていくふたり。しかし、ゲイであることをカミングアウトしているアダムに対して、ジョシュはそのことを友人たちに隠しています。また、高校時代に体育会系にいじめられたせいで苦手意識がありジョシュやその友人たちのようなタイプに先入観があり……というのが二人の間の障害になっています。

玉に瑕なのが、会話の中で出てくるジョークが面白く感じられない点。翻訳の難しいところだというのは重々わかるんですが、せっかく超訳なんだし多少原文から外れても何らかの工夫がある方がいいかなと思いました。

原作：
His Roommate's Pleasure
Lana McGregor
https://www.amazon.co.jp/dp/B00CC68G7Y/
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