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沖縄薬膳朝食から身土不二を考える

5月に沖縄の中医薬研究会で講演をさせていただきました。
沖縄に行くというだけで、皆さん口を揃えて、
「沖縄に行きたい」
と言われます。

確かにあの空気感、風を始め気候が本土(沖縄の方言で内地)からすれば、とても憧れの場所です。

今回、沖縄中医研の会長の山本里佳先生先生のご案内で、薬膳朝食で有名なホテルと「ぬちぐすい(命の薬)」をコンセプトにしたカフェを訪問。

梅雨真っ盛りの沖縄に到着するなり、なんと快晴でした。

早速、沖縄野菜とフルーツをたっぷり使ったランチをいただきました。

沖縄の食事のイメージががわっと変わる野菜中心の食事


実はとてもベジタリアン嗜好が強い方が多いのだと。

薬膳の考えに基づき、五行の色合いを大切にしたメニューです。

5色以上ある沖縄野菜のプレート

栄養たっぷりの緑黄色野菜は補血作用も期待できる青色。
日光を浴びてが夏の体を元気つけるビタミンカラーの赤色。
梅雨~夏の湿気や暑気払いして胃腸を元気にする黄色。
体を潤しつつも余分な水をさばき粘膜を強化する白色。
滋養強壮とアンチエイジングに黒色。
以上、五色を季節に合わせて、その土地の野菜を食べること。

さらに野菜たっぷりのスープは胃腸を温め、とても吸収しやすく、すぐにエネルギー源となってくれます。

沖縄野菜たっぷりのミネストローネ

毎日は無理ですが、こだわりあるのお店にたまに行って、たっぷり贅沢にいただくことは、心と体を満たします。

ランチを食べてから、海を一望できるレストランで沖縄の海と風を満喫。

那覇空港近くの瀬長島にて


同じものを食べるにしても、その土地で食べるのが一番おいしいと感じるのは、きっと景色と気候が合わさって、味として記憶に残るのだと思います。

翌朝は沖縄第一ホテルさんの薬膳朝食をいただきました。

薬膳朝食は体に優しい、沖縄野菜のメニュー

シークワサー、長命草、自家製豆乳の3種ジュース、
手前はゆしとうふ
奥にアロエ、紅芋、ター芋、島らっきょう
パパイア、長命草、苦菜、ハンダマ、
アロエなどの和え物、
手前が自家製パン(うこん、にんじん)

長命草はセリ科の栄養価の高い薬草で、ぼたんぼうふう(牡丹防風)と言われ、「一株食べると一日長生きする」と言われるそうです。
根は風邪や咳止めになるとのこと。

漢方薬の防風という生薬がありますが、風邪や筋肉の引きつり、痒みなどに使います。

その効能と似ています。
長命草は沖縄の薬膳素材として、食卓に和え物、てんぷら、刺身の添え物として使うそうです。

苦菜は、風邪の予防に使われていたとの事、イカ墨汁やヤギ汁の薬味に使うそうです。この苦みが疲れた胃腸に良いものとされています。

梅雨に体の湿気を追い払う、食材も沢山


体の余分な熱を取り、利尿作用のあるお野菜は、梅雨時に摂っておきたいもの。
特に亜熱帯に近い沖縄ならではの食材は、沖縄で食べてこそ、体調を良くしてくれます。

ヘチマの酢味噌和え、冬瓜とハト麦の煮物

ヘチマは暑熱や痰を取るとして、夏の蒸し暑い時にぜひ食べて欲しい食材。
冬瓜も同じく、暑熱を利尿によって取り、むくみに良いのと同時に、体の渇きを潤してくれます。
ハト麦はむくみや痰を取り、いぼにも良いとされます。

梅雨あたりからむくみを感じる方が増えます。体内の湿(内湿)も増えてしまいがちのところを、食材で対策していく知恵が沖縄文化に根付いています。

梅雨前線が上がってきたので、ここ東海地方も梅雨空の毎日になってきましたが、沖縄と違って、肌寒い日があります。

こんな時は、余分な熱はなく、胃腸が冷えやすくなります。
ですから、食材は涼性でなく、温性のものが良いかと思います。

梅雨明け間近から、蒸し暑い日がやってきたら、沖縄のような気候に近づき、涼性の利水作用のあるものを積極的にとりましょう。

身土不二の原則に則った養生

土地のものを、その土地の者が食べることが身体に良いことは、その土地の気候に触れてこそ、感じることが多いと思います。

地産地消がSDGs(持続可能な開発目標)に欠かせない要素で、フードマイレージという輸送コストやエネルギーがなるべくかからずに持続可能な循環を作るシステム作りに注目されています。

薬膳の考えは身土不二が基本にあります。
そして、SDGsを掲げ、世界中が平和で豊かな方向に向かうために、身土不二や地産地消は、薬膳による養生だけでなく、世界に繋がっていくのかと思うと、毎日の食事は大切です。

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