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うんちの形や匂いを中医学で考える

うんちをしっかり観察すると、体質が分かります。

まず便秘がないか?

毎日1回出ていれば、便秘でないと思いますが、
実際CTで腸を診たら、結構溜まっていますよ!
と指摘されたことがあります。

1日何回出せば良いのでしょうか・・・
何日出ていないと便秘でしょうか・・・

食事量などによりますから、何回がベストかとは言えません。
ただ言えることは、排便後の爽快感があるかどうかです。

残便感があれば、便秘気味かと思います。
3日以上でないと便秘が確定してしまうのか?
色々な見解があります。

便の特徴を掴む

まず、便の特徴を知ることからですが、
便の性状を分類されたものを参考にされると良いですね。↓↓

硬い・普通・軟らかいの3種に分けると、消化器の滞留時間により、長ければ水分が抜けて固く、
短ければ水分を多く含み軟らかくなります。

普通便の中でも理想的なバナナ便といわれるものは、バナナくらいの太さと長さとなるとハードルが高く、ソーセージくらいとして良さそうです。

中医学で便を弁証(べんしょう)

中医学は二便を小便・大便として、二つを調節しているのは「腎」で、
腎が弱ると二便を調節できないとしています。
老化により腎虚となり、頻尿や尿・便失禁な調節力が弱ります。

腎だけの問題ではなく、五臓に渡って点検できるのが実は大便なのです。
また体の三元素の気血水の状態も便に表れます。
五臓と気血水の虚実を見極めること、つまり証(体質)を弁別すること、
すなわち体質を診るとは弁証するということです。
虚と実は不足と過剰として捉えると分かりやすいです。

それでは便を弁証していきます。

①固い便

コロコロ便とカチカチ便と表現してみます。

・コロコロと小さな塊として出てくる、うさぎの便のような状態は、
五臓の肝がうっ滞の肝鬱の状態を考えます。
ストレスの強い時、腸が緊張して穏やかに蠕動運動できず、腸の動きもピリピリ緊張したり緩んだりして大腸で停滞する時間が長くなります。

・カチカチの硬い乾燥した便は潤い不足のためで、体の潤いの成分である血・水が不足している状態を考えます。
五臓と気血水を加えて考えてみると、
肝血・腎水(陰)が不足(虚)した肝血虚や肝腎陰虚を考えます。

肝血虚と肝鬱が合わさった血虚肝鬱は若い女性に多く、便秘とPMS(月経前症状)を感じている方が多いです。

コロコロ便でストレスが強いなら肝鬱を、
さらに生理の不調や冷えがあれば肝血虚を考えてます。

肝血を補うと腸壁も潤い、便が停滞しにくくなります。

肝鬱を対策すると、腸の蠕動運動を調節する自律神経が整い、
腸が順調に蠕動してコロコロ便を解決していくことが出来ます。

肝血虚の対策は婦宝当帰膠を、
肝鬱の対策は逍遥顆粒で、併用して血虚肝鬱を対策します。

コロコロでもないですが、硬めの便は乾燥した便です。
腸壁の潤い不足で、便だけでなく体の乾燥も感じているはずです。

いわゆる更年期~老人性の便秘に多く、肝腎ともに陰虚として、
ドライアイ・ドライマウス・ドライスキンなど
ドライシンドロームの傾向になります。

肝腎陰虚の対策は飲む目薬と言われる杞菊地黄丸や、潤いを補う亀板・鼈甲(亀・すっぽんの甲羅)の配合した亀鹿仙など、
ほてりが強いなら、知拍地黄丸など、体調に合わせて選択します。

他の便秘としては、体の冷えが強く腸の動きが滞る陽虚タイプで、人参湯などが良いです。
また便を出す力不足や排便で疲れたり、腸の動きが鈍い気虚のタイプもあり、六君子湯などが良いです。

②軟便や下痢

ネトネト便とドロドロ便(泥状便)・水様便と表現してみます。

・ネトネト便は粘性が高く、便器にべったり付いて流れない、
肛門部に残便感がある場合、しつこく感じる便です。
匂いも強く、肛門部の熱感があるなら湿熱便といい、湿疹や痒み、炎症を持ちやすい体質があります。竜胆瀉肝湯などが良いです。

・ドロドロ便(泥状便)は不消化物が多く、
最初が硬く最後は下痢という方もあります。
これらは倦怠感も伴う胃腸虚弱の脾虚タイプです。補中益気湯が良いです。

さらに、起きてすぐ朝食前に下痢を起こす、
体が冷えやすいなどは脾腎陽虚(脾と腎が冷える)タイプです。真武湯が良いです。

・水様便の場合、腹痛を観察することが重要で、
感染性の下痢(痢疾)は、膿を伴う便で腹痛が排便後も続き、吐き気も伴うことも。下痢止めは決してせず、五行草茶など解毒作用もある整腸のお茶が良いです。

不消化物を伴う、酸っぱい匂いの下痢は、食べ過ぎ(食積)タイプで、排便後は腹痛は無くなります。晶三仙茶という消化に良いお茶が良いです。

不消化物を伴わず、水のような便で、
腸鳴(ゴロゴロ)があり下痢と腹痛を伴うのは、寒湿タイプです。勝湿顆粒が良いです。

虚実を見極めること

便秘も下痢も虚実を見極めて対策が必要です。
虚証は長引く症状で、改善も時間が掛かります。
実証は症状の始まりの体調を吟味することで原因が見つかると、改善も早いです。

うんちは体質を表す重要なものであることがお分かりになって欲しいと思い、つらつらと書いてみました。

排便のために出血を伴うなどあれば、痔以外にも大腸の病気が隠れていることも。
便出血は放っておかないように、受診してください!

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