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営業の予算達成プランとかいうやつ

お気持ちと仕事を切り離して、ただやればいいだけ

 昔、営業になりたての頃、あまりに大きな予算(会社によって呼び方違うよね。売上目標のこと)の達成がどうしてもプランできなくて、「プラン?プランてなんだよ!やってみないと先のことはわかんないよ!」とかぐだぐた思ってたんですけど。
 当時今でも尊敬するスーパー営業の先輩がメンターをしてくれていて、その先輩は「俺はもう○○億で契約させる絵が見えてるから、あとはその通りただやればいいだけ」って常々おっしゃってまして。で、実際達成させてたんですよね。
 いやいや、何がどうやったらその景色見えるんですか。その通りやるだけって、その通り進まないこともあるでしょ。なんで書いたとおりに着地させられるの、って。心底不思議だし、自分にはそんなことできない、営業好きなようでやっぱり才能ない、向いてないってずーっと思ってたんですけど、まあそれでもお客様の役に立てたり、気に入ってもらったり、ありがとうと言われることが嬉しくて、向いてないながらも結構な期間営業を続けてたんですよね。
 で、その先輩とは異なる会社に転職したんですけど、そこは界隈でも有名な数字に厳しい会社で、とにかく忙しいんですけど、自分の食い扶持稼ぐためには売らなきゃいけないのでやる、ただひたすら営業活動するんです。
 そんな生活の中で「あ〜なるほど〜……?」って気づいたんですけど、誰だってプランなんて確信もない、相手(お客様)があることだからそのとおり進まないことなんてままあるんだけど、と言うかそんなことばっかりなんだけど、とにかく「こことあそことあの商談でいくら売る」「ここがこけたら代案としてあそこの商談をやる」「で、その積み上げが今年の売り上げ目標達成になる」って、プランしたらあとはそのとおり「やる」だけなんだなって気づいた。
 「うまくいかなかったらどうしよう」とか「提案して断られたらどうしよう」とか「冷たくされたらやだな」とか、「売れなかったらどうしよう」とか、以前は色々考えて、不確定要素のことが心配で心配で毎日すごく憂鬱だったんだけど、忙しくなった、というか、課された数字をやろうとしたら1日も無駄にできないな、という感覚になった結果、そういう余計なことを考えなくなって、とにかく「やる」。「”失敗しないように”やる」じゃなくてただ「やる」。アポを取る、提案書作る、提案してみる、断られたら次に行く、を、プランに沿ってひたすら積み重ねたら当初描いたとおりに着地するんだなろうなって感覚がわかってきた。
 勘違いしていたのは、スーパー先輩は最初描いた計画を一つも外さずディティールまで綺麗にそのとおり「失敗せず」進めてると思ってたんだけど、そうじゃなかった。極限まで単純化したゴールまでの道筋に沿って、日々の細かい行動は都度修正(失敗することもあるからそれをリカバリしたり、少し別の道を行ってみたりとか)しながら常に何か行動を積み重ねているんだ、っていうのがわかってきた。
 あれこれ心配して考え込んでる間は何一つ進んでないし、考え込んだからといって成功率が上がるわけではない。建設的に、とにかく進捗させる、数字に繋がるための思考はもう進むための「行動」なのでいいんですが、なんとなく不安とか、失敗して笑われたら嫌だな、とか、失敗したら出来ないやつと思われるから嫌だな、という、お気持ちが絡んで行動を躊躇するというのは完全に無駄だし、悩むくらい暇がある、すなわちゴールに対する本気度が低い、ということなのかなーということを考えました。
 予算達成プランの実践的なノウハウじゃなくて申し訳ないんですけど、なんか、とにかく分解して細かくマイルストーン置いて、とか、その辺は中島聡さんの「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか」が参考になったのでご一読ください。

 余談ですけど、いろんなタイプの営業仲間と遊んでて、ボーリングとかダーツとか、まぁぷよぷよとかでもいいんですけど(ぷよぷよは一緒にやったことないけど)、計画的に安定的にスコア積み重ねる人って営業も上手く情緒面切り離してコントロールしてる人な気がする。スコアに営業タイプが出る。
 わたしは、なんか気分が乗ってて集中してるとターキー出たりBULLに当てられたりするけど、ちょっと乱れるとすぐガーターになるし的にすら当たらない。ぷよぷよは完全にフィーリング連鎖の、なんでも運ゲーになるタイプです。

わかるのとできるのは別。やっぱり向き不向きがある。

 このお気持ちと仕事のアクションを切り離すことが容易にできる人とそうでない人がいて、わたしは完全に後者なんですよね。よく言えば感受性が強く繊細、悪く言えばメンタル弱くて軟弱、数字に対してストレス感じ易い。
 これが良く作用することもあって、丁寧でお客様の要求を的確に汲み取ってフォローできる、と言う点が評価されたりもするんだけど、評価してくれるお客様が潤沢にお金を持っているとは限らないので、その評価が課された売上目標に寄与しないこともままある。安定的に数字上げる営業って、そう言うお金にならない雑事は、いかにお客様が求めていることでも「やらない」って決断できるんですよね。
 それが出来ない。
 愛着障害の気がある人って過剰適応してとにかく相手に好かれようとしちゃうので、売上に繋がらないことはやらない、の決断が出来ない、と言う特徴が出ちゃうんじゃないかと思います。
 理屈がわかっていれば、意識して切り離す訓練はできるんですけど、素地がもう、常に人の顔色伺って好かれよう好かれようとしてるので、できるけどすごい燃料使ってるから長持ちしないんですよ。
 燃料満タンの時はその切り離しがコントロールできるので、気持ちに余裕もあるし、変に悩まずタスクをこなしちゃって勤務時間も短くなり、勤務時間外にうだうだ悩むこともなくスパッと切り替えて好きなことして時間を過ごす、と言うことができるんだけど、燃料が減っていくにつれてその「お気持ちと仕事の切り離し」が出来なくなって、勤務時間は長くなり、勤務時間外でも常に仕事のことが頭を離れず、ストレス源から離れた時間を過ごすことが出来なくなって詰みます。何かしら心身症状が出て日常生活も困難になるまでに。

 営業職やってて、向いてないんじゃないかと考えてる人の悩みのいちパターンとして、こんなこともあるんじゃないかと思って書いてみました。

 ちなみに、「丁寧でお客様の要求を的確に汲み取ってフォローできる、と言う評価」を積み上げてるうちに、なんかえらい人に「この顧客任せるよ」って、売れるのがわかってるお客様を持たせてもらえる、と言う当たりを引いたりすることもあります。そうすると今度は、その期待に応えなきゃ、とか、売れてるけどこれ、自分の力じゃないよな……とか(会社間の関係性でお取引が安定してる、とかね)それはそれで別の悩みが出てくるので、やっぱり向き不向きってあるよね、と言うお話でした。

 悩んで悩んでたくさん考えている分、人の気持ちに寄り添う優しい人間になれると思うので、適度に燃料補給しながら、死なない程度に頑張ろうね。

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