「転職は慎重に」と過去の自分に言ってあげたい| テックキャンプ卒業生インタビュー_002

テックキャンプ卒業生インタビュー、第一回はこちら。

第二回は梅田校出身のおおきさん(@ooki0710)へのインタビューです。

アナログな現場をITで変えるという目標を持ち、エンジニア転職を果たしたおおきさん。しかし入社後1ヶ月は電話番、その後炎上プロジェクトを一人で引き継ぐという過酷な環境が待ち受けていました。


経歴 | おおきさん

2015年3月 京都大学法学部卒業
2015年4月 株式会社高島屋 入社(接客、バイヤー補佐、副マネージャーなど)
2019年3月 テックエキスパート(現テックキャンプ エンジニア転職)梅田校 49期
2019年6月 名古屋の受託企業に内定
2019年8月 就職


なぜエンジニアになろうと思ったのか

── エンジニアになろうと思った理由は。

高島屋の現場は全くデジタル化されていなかった。
在庫や各人のタスク量は紙と記憶で管理。
そのため現場の負担が大きく、接客や金銭授受でトラブルが頻発していた。(おつりの渡し忘れなど)

アナログな現場を変えるには、力をつける必要があると思った。
アナログな部分をすべてマニュアル化するなど、全力で効率改善に取り組んだ。長時間必死で働いた。かなり上の役職の人に改善案を提出したりもした。
しかし年功序列なので、自分が現場を変えられるようになるまで10年はかかる。そんなにも長くこんな働き方はできないと思った。力をつける必要があった。

ITとアナログな現場の橋渡しになりたい。
自分はアナログな現場をITで変えるための橋渡し役になりたいと思った。
そのためにまずはエンジニアになってみることにした。
プログラミング自体に強い興味があるわけではない。数学や情報科学のベースがある人とは張り合えないと思っている。あくまで現場を良くするための橋渡し役として機能したい。


なぜテックキャンプを選んだのか

── なぜテックキャンプ?

短期間。
すぐに転職できることが前提だったので、数ヶ月で0から転職できる点に魅力を感じた。

即戦力。
転職後すぐに現場で通じる力がつけられるとサイトで謳っていた。


しかし今は学費が高すぎるのでテックキャンプは選ばないかも。
教材はよかったが、メンターの質には疑問符がつく。自分の卒業後に学費が上がったが、この金額には見合わないと思う。
今ならDMM WEBCAMPを選ぶかも知れない。


在学中に気をつけていたこと

── 在学中に気をつけていたことは。

基礎を着実に固めること。
その日やったことを当日夜と翌日午前中に復習してから次の項目に移るようにしていた。
前職で有給消化をせずに直前まで働いていたので事前学習はしておらず、進捗は厳しめだった。それでも知識を着実に積み重ねるようにした。
ただ、そのためにカリキュラム修了後にポートフォリオを作る時間はとれなかった。


エンジニア転職の流れ

── 転職までの流れは。

求人はテックキャンプから紹介してもらった。6社に応募。
東京に興味があったので、大阪1社、名古屋1社、東京4社。

名古屋の会社から最初に内定をもらった。営業支援システム(アナログな現場のIT化)に惹かれた。社長が面白い人だった。他の企業の選考も進めたかったが長くは待ってもらえず、ここに入社することにした。


仕事内容

── どのような会社か。

名古屋にある約60人の会社。社長の勢いがすごい。
20人は大手自動車メーカーにSEとして常駐。
30人は北海道旭川のデータセンターで自前のクラウドサービス開発。
残りは名古屋で受託開発など。

── 仕事内容は。

入社して最初の1ヶ月は電話番。
プログラミングのプの字もなかった。
ベンチャーならこんなもんなのかな、と思った。

入社2ヶ月目から中小企業向け営業支援システム(PHP / Laravel)の改修担当に。
プロジェクトは炎上しており、前任者はおおきさんの入社前月に辞職していた。
最初の1ヶ月だけメンターがついたが、2ヶ月目にはその人は別プロジェクトで客先常駐することになり、開発担当者がおおきさん一人になった。
プロジェクト参加時から炎上しており、客先へ赴き鎮火作業。ヒアリング、要件定義からやり直した。

今年1月からは教育系アプリ(PHP / Laravel)の受託開発プロジェクトにも参加。
去年4月に納品予定だったものがまだ納品できておらず、こちらも大炎上中。前任者がクライアントから「この人たちには無理」と判断され、おおきさんが代わりに担当することに。まともにヒアリングもできていなかったので、画面設計からやりなおし。


── 過酷な環境。

普通の人ならメンタルが崩壊する環境。
自分は前職で鍛えられたので持ちこたえている。
去年の9月から今年の4月までは8:30出勤、22:00退社、帰宅後も仕事をしていた。

スキルが身につかないのもキツい。
担当者が自分一人なので、ベテランから学ぶということができない。開発環境はモダンじゃないし、設計をしたりテストを書いたりする文化も無い。


── 転職はしないのか。

めちゃくちゃ辞めたいけどポートフォリオを作る暇が無いので転職できない。1月から計25社に応募したが、すべて書類選考で落ちている。

新型コロナの影響で4月からはリモートになり少し時間ができたので、ポートフォリオ作成を進めたい。年内には転職したい。

自分のあとにテックキャンプ卒業生が2人入社したが、その2人も後悔している。


── このような会社を避けるためのアドバイスがあれば。

エンジニア転職をする際には、どのようなキャリアを想定していても、とにかく基礎を身に付けていきたいというのが優先順位として第一に来るはず。
どのような流れで開発は進めるものなのか、最近のWebサイトの水準はどのようなものなのか、製品としてちゃんとした安全なWebアプリケーションを作るとはどういうことなのか。このあたりをまず身に付けたいと思うはず。
テックキャンプの内容自体はハードだが、実際には多くの人はやりきっても入り口の入り口に立ったくらいだと思う。あとはその学んだ内容をいかに転職先で深化させていけるか。

このような前提に立った時に以下のことが言えると思う。

1. 開発環境やバージョン管理ツールを確認する。
たとえば今の会社はGitHubではなくSubversion。Dockerも使っていない。
開発環境がモダンなのかを面接時に必ず聞くこと。(言語やフレームワークなど)

転職時はできればモダンな方が良いなくらいに思っていたが、ここは譲らない方が良いと思う。レガシーな開発環境で仕事をしていると、Webエンジニアとしても化石化して行くような気がして、精神的に不安定になる。もちろん知識不足の未経験者からしたら、反面教師としての勉強にはなるが、いつまでも新しい開発環境に触れられなかったりする。独学でDockerの勉強もしているが当たり前だが仕事外の時間で、一緒に話し合ったりする仲間もいないため、めちゃめちゃ時間がかかり非効率。

また、モダンな技術を使っていない背景には様々な理由があるでだろうが、その理由にポジティブなものは無いと思って差し支えない。勉強するのがめんどくさいか、人手が足りていなくてそれどころではないのどちらかのはず笑

「勉強しない会社は本当に勉強してないぜ。」


2. 使用している言語のスペシャリストがいるのかを確認する。
同じく面接時に、プロダクトで使用している言語のスペシャリストがいるのかを確認する。少なくともなぜその言語を使っているのかは確認する。(今の会社のメンバーは「どの言語でも同じっしょ」と言語特性への関心が無い)


3. 転職まで時間がかかってもポートフォリオは絶対に必要。
メンターにとりあえず、とか言われても、作ってから動き出すこと。

これからやってみたいこと

── これからやってみたいことは。

直近では、チームで働きたい。
今は担当が自分一人しかいない。ベテランがいない中でエンジニア1年目が一人で働くのはめちゃくちゃ非効率的。

長期的には、チームが楽しく信頼し合って働ける空間を作りたい。
前職で一番やりたかったことは、チームワークの改善。
人生において仕事をする時間は長いので、せっかくならみんなで楽しく働きたい。
システムによる情報共有は信頼構築のための第一歩。各人のタスク量を可視化して「あの人はさぼっている」などと言って現場がギスギスするのを防ぎたい。


本を一冊

── 本を一冊紹介するなら。

非合理的な人と交渉するときの心構えがめちゃくちゃ面白かった。瀧本さんの本は全部読んでいる。


二冊になるけど、もう一冊。
人間関係のひずみは、適応課題と技術的課題から成る。適応課題がほとんどだと思う。
部署間の情報共有がうまくいっていなくてひずみが生じるようなことがなくなればいいなと思っている。まずは自分の手の届く範囲から。


スコーンの所感

・社長の営業力がすごいので案件は取ってこれるが、開発方針に一貫性がない(CTO的な存在がいない)
・エンジニアとして採用されたのにいきなり1ヶ月電話番
・エンジニア1年目が一人で炎上案件を担当(しかも前任者は退職済み)
・開発環境がモダンじゃない
・手本となる同僚がいない
・長時間労働をするが技術力はつきにくい

とつらみのつまった環境🙃
インタビュー中は聞いているだけでつらかった。

おおきさんいわく、「トンネルに入ってしまうと抜け出せるまで長いぜ」とのこと。

エンジニアになることを焦るあまりこういう会社に入ってしまって精神と時間を削られるよりは、多少就職時期が遅れても働きながら成長できる環境を選びたいですね…

結局は入ってみるまでわからないのでほぼ運ではあるのですが、おおきさんの言うように開発環境や働いてるメンバーの話を聞けば最低限のフィルタリングはできるかもしれません。

私が卒業した2017年はまだ良い求人が多かった印象ですが、最近はエンジニア転職ブームが過熱気味でこういう求人も増えてしまっているのかもしれません。

なんとか自衛したいところです。

どうかおおきさんが次こそは幸せな転職を遂げられますように。

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