マガジンのカバー画像

掌編小説または詩

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2016年6月の記事一覧

眼鏡

旅先のソウルで眼鏡を新調した。タダで検眼できるというので、軽い気持ちで見てもらったら乱視を指摘された。調整されたレンズで覗いた世界の鮮やかさに驚いて、思わず購入してしまったのだ。ずいぶんぼんやりと世の中を見ていたんだなと思った。休み明けに出社すると、斉藤さんが「珍しいね、さきちゃん」と新しい眼鏡を見て声をかけてくれた。あれ、この人、こんなやさしい表情するのだっけ、とびっくりした。

朝から目の前で

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