ゼロから始めるタロット学習 その3


さて、ゼロタロの3回目、多分最終回になります。

今回は、特別な前提がなくてもなんとなくわかるメジャーアルカナに対して、
面倒な前提が必要になってくるマイナーアルカナの勉強の仕方
……ってか考え方を説明します。

正直なところ、勉強の仕方自体は前回の記事で書いたので十分なんですよ。
ただ、カードの絵を見ても「棒が6本あるだけなんだが?」とかなると
頭が?でいっぱいになっちゃうわけですね。

なので、第2回で説明した勉強法を試みるための取っ掛かりをがっつり説明します。

マイナーアルカナのド基礎

マイナーアルカナを構成するのは、4枚のコートカードと10枚のスモールカード、合わせて14枚が4属性分。
つまるところ56枚。
メジャーアルカナがふわっとした概念や法則を表してたのに対して、
コートカードは人物を、スモールカードは状況や出来事を指すよ。

つまり、具体性が高いカード群だって理解で大丈夫だ。

メジャーアルカナの倍以上あって挫折しちゃいそうだけど、
実際に覚えておくべきことは、

・4種の属性の雰囲気
・4種の人物の年齢や性別等の設定
・1から10までの数字のイメージ

これだけ。

ちょっと困ったことといえば、
メジャーアルカナに比べてマイナーチェンジしてあるタロットも多くって、
ざっくりとした説明をしてもその枠からはみ出ちゃう可能性もあったりして。

まぁ、とりあえずメジャーな考え方を解説しますんで、
自分の持ってるタロットデッキだと、これはどこに相当するのかとか考えてみたり、
象徴の整理から始めてみるといいかなと思います。

4属性ってなんやねん

まずは4つの属性。スートなんて呼び方をしたりもするよ。
トランプでいうところのマークですね。

4つの属性は、ワンドカップソードペンタクル

ソードがナイフだったり、ペンタクルがディスクとかコインとか言われたりすることもあるけど、
そういうのはマイナーチェンジ版なんだなって思ってください。


さて、非常にわかりやすくて、広く知られている所だと、4つの属性は西洋の四大元素(火、水、風、土)に対応していることになってます。

ワンド=火
カップ=水
ソード=風
ペンタクル=土

って具合ですね。
火、水、風、土っていうと、RPGゲームでよくあるやつだ。
んだもんで、基本的には直感的に「ぽいもの」「ぽい性質」を投げ込んでいけば良いよ。

最初の指針としては、

火=熱いもの、情熱
水=冷たいもの、感情
風=見えないもの、思考
土=形のあるもの、肉体

これをもとに、4つの属性それぞれについて思いつくものを列挙してみると良いんじゃないかな。

も〜っと!4つの属性

先の考え方、小アルカナに関して解説してる参考書にはよく書いてあると思うんですよ。
実際わかりやすいんで良いかなって感じなんですが、

「火ってなんやねん、ワンドはワンドちゃうんか?」

とかなりがちなのが玉に瑕。

というわけで合わせて覚えておく方が良い考え方を説明しておきます。

ざっくり形状を確認してみよう:

4つの属性、実は細長いものと丸いものに分類できます。

細長い=ワンド、ソード
丸い=カップ、ペンタクル

カップが丸い?って思った人は、上から覗き込んでみましょう。

大体丸いんや!

細長いものは能動性丸いものは受動性のシンボルになります。

……前回の記事の中でいうと、

:循環、無限
:一連の流れ

こいつらが対応するわけですが、

循環と無限の性質は、
言い換えれば力が加わっても変化せず内に取り込める性質となります。

また、線が表す一連の流れというのは、始点と終点があり、それは原因と結果があるという事。
つまり、自ら働きかけ何かをやり遂げることのシンボルに他なりません。

超シンプルですね。

次に個別の要素も確認してみましょう。

ワンド:

すでに細長い……つまり能動性のシンボルだということは説明しました。
繰り返しになりますが、原因と結果を結ぶ一連の流れの象徴になります。
なんらかの力の法則(因果関係)だとか、とある作業の流れとかですね。

そして、その間を手で掴むということは、流れを自らの意志で制御・支配することのシンボルとなります。
原因から結果を生み出すので、なんらかの力を行使・発信していることのシンボルともなります。

もうちょいいえば、これは原因と結果が一つずつの棒なので、一つの力の法則、一つの作業の流れを制御していることになります。

複数の要素を複雑に制御してたりはしないんですね。
扱えるのは一つだけです。

その辺を加味すると、燃えて出して消える火は、ほかの四大元素と違って始点と終点が明確ですね。

この辺を突き詰めていって、支配と制御の性質が目立ってくるとワンドは杖や王笏みたいな権力のシンボルに、
単純な力の制御を、原始的・本能的な能動性と見做せば粗野な棒がカードに描かれることになりますね。

カップ:

上から見ると丸いカップは、受動性に関連するシンボルです。

カップはもちろん、その内側に水を溜め込むための容器ですから、水とセットでその役割を考えてみましょう。

無限の内側に溜め込むことができる性質……、
何かを受信し吸収する性質ってことになります。

また、水を張ったカップは水鏡のように用いることもできますから、光を反射したり拡散する性質も有することになります。
加えて、水面が揺らげば光は屈折し、歪みます。

まとめると、カップは受け入れることのシンボルであると同時に、受け入れたものをそのまま、あるいは劣化させて広げていくことのシンボルともなります。

明快な言葉でいえば、カップは受信、吸収、反射、拡散・歪曲のシンボルって事ですね。

このような象徴性から、カップは理解することの象徴として扱われます。
ほら、理解って、情報を受け取って始めて働く力でしょ。受動的な力なんですよ。

さらに、人が持つ外部からの情報を理解して受け入れるための器……心にも関連してきます。
そんなわけで、カップはざっくりと感情機能の象徴になるんですね。

従って、心静かに受け入れるなら良し、心乱せば景色も歪むという感じで扱われるわけです。

ソード:

再度細長い系シンボルですね。

こいつは露骨に武器なんで、ある事象に対して攻撃して支配することのシンボルとなります。
ワンドはある事象を直接支配下に置いてましたが、ソードは攻撃をワンステップ挟む点で異なってます。

ソードの基本的な役割は、対象をぶった切ること。
なので、ソードは分解することのシンボルともなります。

とはいえ、ソードで分解するにも限りというものがあるわけ。
粉々になるまで切ってしてしまえば、細かすぎて切れなくなりますよね。

そこから「複雑なものを単純な形へ分解する」のが本質とみなされています。

分解の性質をチラつかせて支配するってところから、人の持つ分析能力、思考の力、あるいは思想の力のシンボルとして扱われるわけです。

すると、例えば剣によるドラゴン退治のエピソードは、
ヤバイ現象を賢い方法で解決したことの寓話とみなせたりするわけですね。

さらに、ソードの形状は2つの棒が交差するシルエットですから、2つの力を結合させることも暗に示されています。

そういう事を踏まえて、ソードの象徴性を整理してやると、
分析による事象の制御のシンボルであり、単純な要素への分解とそこからの再構築のシンボル
という感じになります。

ついでに、地上の全ての物の間を、剣で貫くように吹き抜ける様から、風の属性に関連してることになってます。

ペンタクル:

わかりやすく丸いシンボルです。

これはもう本当に分かりやすくって、循環と無限を表す円形の物質に何かが刻み込まれてるわけですから、
何かを永遠に普遍化・物質化しますというシンボルです。
四大元素での対応はずばり固形の土ですね。

カップは何かを受け入れるために凹形をしてるのですが、
ペンタクルは積み重ねるために平らな形状をしています。

貯蓄と蓄積の違い、内側に貯めるか外側に貯めるか、それがカップとの違いですね。

また、普遍化する、物質化するということは、「普遍的・物質的な循環の中に取り込まれる」ことでもあります。
したがって、局所的に見ればあんまり動かないように見えても、大局的に見れば循環運動の中に取り込まれているという状態も表します。
ややこしいですね。
まぁ、抽象的な世界から物質的な世界にきたわけだし、郷に入っては郷に従えというわけです。

さらにペンタクルは単純な円形ですから、ある意味で点でもあるといえます。
点……これも前回出てきていますね。

一点:独立した要素

繰り返しになりますが、この世の中で普遍的に扱われている一つの要素を表していますね。

点といえばワンドの話で出てきた始点と終点とも関係があります。
ペンタクルは物質化してその状態で固定されているわけですから、通常は終点に相当する要素になります。
一方で、普遍化されたものを再度活用しようと思い立ったのなら、ペンタクルは始点にもなるのです。

したがって、ペンタクルというのは意志を持って始めたことの成果物であり、目に見える形で蓄積されていくもののシンボルです。
そして、それは溜め込み死蔵される事を良しとせず、再び活用される可能性を秘めたものになります。

四大元素まとめ

まぁいろいろごちゃごちゃ言ってますが、
僕の紹介する4つのスートの意味を簡単にまとめるとこんな感じです。

ワンド(火):力を支配し制御する意志
カップ(水):全てを受け入れる感情
ソード(風):分析し再構築する思考
ペンタクル(土):普遍化し蓄積する成果物

何度も繰り返し言ってる、象徴の読み解き方と言うのの一例にもなりましたかね?

まぁこれも僕が捻り出したクソみたいな意味なので、参考に留める程度にしてください。

こんな子いるかな?コートカード編

これは特定の人物その人か、その人物っぽい行動・振る舞いを表すカードだって認識で大体OKです。

この読み解きで大事なのは「どのスートの要素が強い人物」で「どんな精神性の人物」なのか、をはっきり意識することですね。

それを踏まえておけば、毎度の如く象徴を読み解いていくだけでなんとでもなります。

これも、マイナーバリエーションがありまして……。
特にトートタロットは根本的に違うんで、分けてお話しします。

マルセイユ・ライダー:

コートカードは人の成長度合い性別を表すよ。
成長度合いは精神年齢みたいなもんだと思っておいて大丈夫です。
性別は、男が能動性と女が受動性と置き換えてもらっても大丈夫です。

ペイジ=少年(性別なし)
ナイト=青年(性別なし)
クイーン=結婚後の女
キング=結婚後の男

トートタロット:

コートカードは属性の力の扱い方を示すよ。

トートタロットでは、ナイトとクイーンが結婚して、プリンスとプリンセスが生まれたよって親子関係を表してるので、
マルセイユ・ライダーの人の成長度合いの指標とはまたちょっと違うのが厄介です。

親世代は力の扱い方が素朴で瞬間的、子供世代は熟達してて持続的に扱えるよという感じ。
マッチとライターの差みたいなもんだと思ってくれれば。

ナイト:能動的で素朴な扱い方をする人
クイーン:受動的で素朴な扱い方をする人
プリンス:能動的で熟達した扱い方をする人
プリンセス:受動的で熟達した扱い方をする人

というわけで、人物の象徴性と上述の属性の象徴性を前提に据えて、後はいつもと一緒。
カードに描かれた人物のシンボルを見ていけばなんとなくどんな人か連想できると思います。

数の暴力・スモールカード編

スモールカードは、4つの属性に1から10まで存在してるよ。
わかりやすい絵が描いてあるタロットと、なんかシンボルが数値分描いてあるだけのトランプかよっ!?てやつがあるよ。

多分、大抵の人にとってはスモールカードが難関だと思うんですよね。
でも、意外とそんなことはねぇんで、肩の力を抜いて挑んで欲しいです。

基本的にスモールカードは「属性」と「数字の象徴」の掛け合わせです。
1〜10までの数字とか、我々何年付き合ってきてるわけじゃないですか。
なんも難しいことはないんですよ。

スモールカードはざっくり分けてエース(1番)とそれ以外に分類できます。
イメージとしては、属性ごとに一冊の本になってて、
エースはその表紙、2〜10でお話が進行していくって認識しておいてください。
そんな1番のエースは、属性の力そのものを指します。
だって表紙だもの。
というわけで、上で連想した属性の意味の全てを内包してます。

じゃあ、2から10は?というと、
「2→10と進行するイベントタイムライン」になってるわけ。

そんなわけで2が始まりで10が終わりを表します。
間に入ってる3〜9で始まりと終わりをつなぐ出来事が順々に割り当てられていきます。

そんだけです。

数の暴力・スモールカード編(エクササイズ)

まぁ、これだけだとわかりにくすぎるのは自覚してますので、
ちょっとエクササイズをしてみましょう。

なんらかの作業をテーマに、その始まりと終わりはどんなことなのか考えてみましょう。
そして、その2つのちょうど真ん中にある作業は何なのかを考え当てみよう。

「始まり」と、「終わり」と、「真ん中」に関する概念がなんとなく分かったら、今度は更に3つに細分化してみましょう。

すると、

「始まり」の「始まり」、「始まり」の「真ん中」、「始まり」の「終わり」
「真ん中」の「始まり」、「真ん中」の「真ん中」、「真ん中」の「終わり」
「終わり」の「始まり」、「終わり」の「真ん中」、「終わり」の「終わり」

って具合に分解できるわけです。

これが、

2〜4は、「始まり」を更に三つに分けたもの。
5〜7は、「真ん中」を更に三つに分けたもの。
8〜10は、「終わり」を更に三つに分けたもの。

に対応するわけです。

つまるところ、例えば4は「始まりの終わり」に関することが割り当てられるってわけ。

ぶっちゃけ、数字に割り当てられた単純な概念なんてこれくらいです。
好きな人は数秘術なりカバラなりピタゴラス教団の思想なりをここに絡めていくことになります。

言葉だけで説明するのも難しいのでちょっとだけ例示もしようか。

料理をテーマに据えて考えてみます。

料理のステップをさくっと三つに分けると、
・始まりは調理、
・真ん中は食事、
・終わりは片付け

さらに、始まりの調理を三つに分けると
2=始まりは食材の準備
3=真ん中が食材の調理
4=終わりが料理の盛り付け
かな?

真ん中の食事を分けると、
5=始まりはいただきます
6=真ん中でモグモグ
7=終わりはご馳走さま

終わりの片付けを分けると
8=始まりは食べ残しの処理
9=真ん中は食器の洗浄
10=終わりは洗った食器の水切り?
とか。

こんな感じでざっくりと数字と出来事を関連づけていきます。
何個かのテーマについて考えてみると、だいたいその数字の意味する事がわかるようになっくるかなと思います。

せっかくなんで、各属性それぞれに関する作業のイベントタイムラインについて連想してみるといいかなと思います。
それぞれのイベントについて、一番楽しくなるのはどこかとか、一番気を使うところ、嫌いなところ、ミスするとヤバイところとか自分で考えてみましょう。

実際の占いではどんなふうに使われるかというと、例えば、
質問事項をある属性の視点から観測して、それがイベントタイムラインだとどの位置に当たるのかを踏まえて意味を捻り出すことになります。

……個人的な正直な所感を述べさせて貰えば、メジャーアルカナよりも具体的な連想につながるんでわかりやすいんですよ。
メジャーアルカナだけで占うよりもマイナーアルカナだけで占う方が気楽よ。

というわけで、スモールカードについてまとめると以下のようになります。

・属性が何を象徴しているのかを頭に入れよう!
・数字はイベントタイムラインの進行度の象徴!
・絵があればそれも参考にして、なければ属性と数字の象徴性から読み解こう

おわりに

さて、ごちゃごちゃと言ってきましたが、あとは自分でスキルを磨くだけです。

カードに描かれた象徴性からカードの受け持つ概念を探り、
その概念に無数の意味を割り当てて肉付けし、
スムーズにカードから適切な意味を引き出せるようになることを目指す。

こればっかりは練習と勉強あるのみで、僕からは何もサポートできません。

とはいえ、タロット占いの基本ルールは非常にシンプル。
シンボルを読み解くだけってことを忘れないでください。

それではまた!

アディオス・アミーゴ!

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