RAC活動レポート【2018~2019年】
(1)最初の2年間を振り返って 代表千葉の想い
平素よりRACを応援いただきましてありがとうございます。代表の千葉彩です。皆さんに活動の意義を理解していただき、応援を頂きながら最初の2年間を歩んでいけたことに心から感謝しております。
私達RACは2017年夏に任意団体としてメンバーが集まり、2018年2月に一般社団法人を設立しました。
最初は週末里親の普及啓発のから構想を経て活動を始め、短期の里親、校区里親、そして一般の人にももっと関われる可能性の高いショートステイや“近所deすごし隊”という近所預かり事業に力を入れてきました。
どれも今までの長期のイメージを持つ「里親」とは少し異なるものです。
しかし私達が生きていくのには、もっと血の繋がりにこだわらない、少し距離をおき見守ってくれるだれかが必要だと思っています。
それは大人でも子どもでも関係ありません。理由をうまく話せなくても、ちょっと距離を置きたいときがあります。そんなときに理由を問わずに、離れられる場所やちょっと距離をおいて見守ってくれる人がいれば。
「家族と居るのがつらい。家を出たい。でも行く先はない。もっと安全な家出先が欲しかった。」
大人は家をでられるかもしれない。今はいろんな形のカゾクも認められつつある。でも子どもたちにはその行き先も、権利もまだない。そう思う瞬間があります。
子どもたちを見守ってくれる、「公的な家出場所」を増やしたいと思っています。
(2) RACのビジョン
RACは、家族を頼れない子どもを応援します。子どもたちが困った時に、身近にいる大人を安心して、頼り、つながれる社会を目指します。(2019年3月31日時点 Vision)
(3)2018年〜2019年の主な活動
2018年
6月 第1回トークセッション「親子支援の形って色々」
7月 第2回トークセッション「家族のかたち」縁組・里親という選択肢
9月 花王社会起業塾(ETIC.さんとの共同プログラム)採択
12月 第3回トークセッション「世田谷区の児童相談所独自設置と里親の理解」
2019年
1月 日経ソーシャルビジネスプランコンテスト 優秀賞
6月 プチ勉強会「気持ちが伝わる子育て」開催
その他、近所deすごし隊説明会を東京都で10回開催、オンラインにて1回開催
(3)具体的にRACが発信している制度について(2019年)
ここで現在発信しているショートステイ里親の制度と、近所deすごし隊という制度に関して説明したいと思います。
●ショートステイ里親
これは現在、福岡市や明石市など自治体で展開されている制度です。
「養育里親」の研修を受けた人が、主に短期で自宅に帰る事のできる子どもさんを預かる制度になります。
養育里親と制度を分けるメリットは主に2つあります。
① 養育里親は数が少ないため、長期の預かりを受け入れていると短期で家に帰れる子どもたちが里親家庭に行けるチャンスが少ない
② 長期間の預かりは難しいが、短期間の預かりだけであればできるという家庭も養育里親になってもらえるチャンスが増える
例えば、保護者の入院が決まっており、数ヶ月だけ子どもさんを見てほしい場合などがこの理由に当たります。
また、地域によっては、保育士や看護師など他の資格を持つことにより、ショートステイ受け入れ家庭になる資格として認められる地域もあります。
●近所deすごし隊
一方で、近所deすごし隊は「地域枠を超えた、民間のファミリーサポートの制度」を目指しています。
一般的な預かりの仕組みとの違いを説明しますと、
・地域にこだわらない
・少ないコミュニケーションで利用できること
が大きな違いです。
市区町村の預かりは、その地域に住民票がある必要性があります。
つまり、例えば体調を壊し、実家に身を寄せると「利用できない状況」に陥るわけです。しかし住民票を動かしてしまうと、もともと住んでいた地域の保育園から子どもが退園させられてしまいます。
昨年の相談ケースでは、上記のような場合(特に体調不良や未婚の出産で一時的に実家に帰る場合などは)住民票を動かさずにいる方が殆どでした。実家で手も足りない中サポートを続け、祖母のほうが疲労困憊し体調を崩してしまったケースが実際にありました。
また、少ないステップで預けられるのも近所deすごし隊の強みです。
一般的に、地域コミュニティに上手に溶け込むには、人間関係の距離感を感じ取り調整できる能力、加えて物理的にコンタクトを取り続ける能力が必要になります。
ヒアリングであったケースでは、未婚の母で実家に身を寄せている方で、産後数ヶ月ずっと外に出られなかったと話される方がいました。実家の家族も受け入れてはくれたものの、どこかで確執があり、実際には子どもを預けることができず、気軽に外出ができなかった。また、ここでも住民票がないことで地域のサポートは利用できない状況でした。
そんなときに、近所deすごし隊は関わりあえる可能性があります。
地域にこだわらず、紹介者がいる、もしくは直接RACと面談をし、条件が整えば利用が可能です。
●実際に近所deすごし隊に登録いただいている方
30〜60代の方が中心で、男女ともに在籍いただいています。
中でも多いのは
・未就学児のお子さんが家族におられる方
・自分に余裕がないときに、子どもに手を上げたくなる気持ちがよく分かると話す方
・里親などの制度も興味があったが、ハードルが高いと感じた経験あり
・自分の子どもと一緒に参加できる活動を探していた
という方です。
現実的には、自分の子どもさんを預けてボランティアに参加するのはハードルが高いことだとおもいます。
でも状況が整えば、自分の家で自分の子どもに加えて一人ぐらいなら見守ったり、受け入れられるかも、という方も多いのではないでしょうか。
また、近所deすごし隊に登録いただいている方の中には、ご自身がシングルマザーの方もおられます。「自分は色んな人に子育てをサポートしてもらいました。今、もし誰かの役に立てるのであれば是非登録したいです。」とお話しいただいたことが、とても心に残っています。
現在は東京都内23区近隣の13家庭の受け入れ家庭で事業をおこなっております。現状は小さなチャレンジですが、今後もブログなどで情報発信させていただきたいとおもいます。
●最後に(コロナの影響を受けて2020年5月追記)
最後までお読み頂きありがとうございました。またRACの活動を応援してくださり、共感頂き、シェアやご寄付での応援を頂きましてありがとうございます。
今後も、少しでも活動を知って貰える人が増え、子どもや家族につながる手が増えますように。普及啓発のイベントや子どもさんへの見守り事業を継続して参りますので、どうぞ応援のほどよろしくお願いいたします。
(以下、2020年5月に追記いたしました。)
現在コロナの影響を受け、リアルでご自宅近くで見守る”近所deすごし隊”はお休みさせていただいております。RACはメンバー全員がオンラインでの大学院経験者であることを強みに、オンラインでの近所deすごし隊の新しい形や、子育て中の保護者の皆さんへの心がほっとできるイベントなど新しい形を検討中です。どうぞ引き続き応援の程よろしくお願い申し上げます。
(写真は2018年6月のイベントのときのものです。)
いつも応援ありがとうございます。サポートいただけたお金は、当事者の子どもたちとのご飯代金か、直接子どもたちに手に渡る寄付に回したいと思います。