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#1-5 プロジェクトマネジメント・プロセス

プロジェクトは、「ユニークな価値のある成果物(モノやサービス)を作るための有期的な活動」です。
有期的ということは、始まり終わりが必ずあります。

『PMBOK(ピンボック)』というプロジェクトマネジメントのナレッジが体系化された教科書では、どんな流れでプロジェクトの活動を進行すればよいかが定義されています。

流れは大きく5つのプロセスに分類されていて
「立上げ」「計画」「実行」「監視・コントロール」「終結」で構成されています。

中間にある「計画」「実行」「監視・コントロール」は、いわゆるPDCAサイクルです。

完璧な計画は存在せずと予定通りに実行が行われることはほとんどないので、「終結」するまで、何度も「計画」・「実行」・「監視・コントロール」のサイクルは回ります。

プロセス群


プロジェクトマネジメント・プロセスは、どの業界のどんなジャンルのプロジェクトでも適用可能な、言わば、プロジェクトマネジメントのグランドセオリーです。

ビジネスに限らず、独自の目的があって活動をする場合にも、このプロセスの考え方は有効だと思います。
もしかしたら、多くの方が何か新しい活動を始める際に無意識に取り入れている考え方かもしれません。

『PMBOK』は元々アメリカで発行されているものなので、参考書などだと結構堅い日本語で説明されていることが多いです。
そこで、各プロセスについて独断と、独断と偏見での私なりの説明をします。

プロジェクトマネジメント・プロセス群

いきなり「プロセス群」と呼び方が変わっているので、その説明から。

『PMBOK』では、プロセスマネジメントで行うべき49個のプロセスがまとめられています。
それぞれ「立上げ」「計画」「実行」「監視・コントロール」「終結」の、どの時期のタスクなのかで、分類されます。

プロジェクトマネジメント・プロセスマップ

いくつかのプロセスがまとまって「立上げプロセス」と括られるので、「立上げ」「計画」「実行」「監視・コントロール」「終結」のことをプロセス群というのです。

49の個のプロセスは、「タスク」として認識する方が、実際の作業のイメージに近いかもしれません。

立上げ

認可を得て、新たなプロジェクトや既存プロジェクトの新たなフェーズ(※)を開始するプロセス群。
リスク(不確実性)は、プロジェクトの開始時が最大。

※「フェーズ」とは?
規模の大きいプロジェクトの場合、独立した小さい成果物(モノやサービス)を組み合わせて一つの大きい成果物を創造することがあります。
この一つの独立した成果物を作成する関連するプロジェクトの活動をまとめて「フェーズ」と言います。
例えば、植物を育てるというプロジェクトがあったら、「土耕フェーズ」「種まきフェーズ」「水やりフェーズ」「雑草取りフェーズ」……のように段階的に分けられるのがフェーズです。
一つのフェーズの終わりには、一つの以上の成果物があって終了となります。
フェーズの終了時に成果物があるかどうかの確認をするレビューをフェーズ・ゲートと言います。ゲートは「出入口」という意味ですね。

※「フェーズ」とは?

「始めたらきちんと終わらせる」というのがプロジェクトマネジメントの世界では大事にされている考え方です。
なので、終わらせ方もきちんと定義されています。

余談ですが、仕事において、風呂敷を広げるだけ広げて、あとは何もしない人、いませんか?笑 

どんな仕事でも、”畳むこと”は非常に大切で大変な仕事だと思うのですが、プロジェクトマネージャー(PM)をしていると”畳む”仕事を任されることが多いですw
お金が動いていると畳むのも簡単ではないし、ほんとPMって問題解決屋さんだな、と思います。


計画

プロジェクトの目的達成に向けて、行わなければならないタスクを洗い出し、何を行い・何を行わないかを定義するプロセス群。

実行

計画のプロセスで決められたタスクを実施するプロセス群。
一番コスト(ヒト・カネ・時間・情報)がかかる。

監視・コントロール

実行のアウトプットをレビューして、必要な調整を行うプロセス群。計画との差異の確認を行って、必要なアクションを検討する。
テーラリング(※)も行う。

※「テーラリング(tailoring)」とは?
服の仕立て(tailor/テーラー)と同じ単語です。
スーツなどのフォーマルな洋服を購入する際に、”7号”といった大まかなサイズを選択したうえで、ズボンの裾の調整などをしてもらって”自分に合わせたサイズ”に仕立ててもらいますよね。
プロジェクトマネジメントにおけるテーラリングも、本質的には同じで、プロジェクトの特性に合わせた調整を行う、という意味です。
基本的に、最初にプロジェクトのベースを定める時は、一般的な概念やルール、会社の規格に沿って計画や設計を立てるコトが多いです。
ゼロから計画を立てるより、ある程度会社の知見の集合体に沿った方が、早く作成出来るし、大事なポイントも抑えていることが多いからです。

けど、それだと、7号とかSサイズとか、大まかな規格に合わせてだけなので、プロジェクトの特性に応じて調整することが必要になります。この調整のことを「テーラリング」と言います。

※「テーラリング(tailoring)」とは?

終結

プロジェクトやプロジェクトのフェーズを正式に完了するための作業を行うプロセス群です。

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