見出し画像

#1-7 プロジェクトの運営手法と「プロセス群」との関わり

古代のピラミッドの建設の頃から「プロジェクト」の概要はあり、長い歴史の中で様々な運営手法が培われてきました。
現在のようなプロジェクトマネジメントの概念が確立したのは、マンハッタン計画(1940年代)や冷戦期(1950年頃)のアメリカ(の国防総省)だと言われています。

企業におけるプロジェクト活動は「開発」がメインであることが多いので、運営手法とは、現場的には開発アプローチのことです。


現在使われている開発アプローチは、性質で分けると3つあります。
 ①予測型
 ②適応型
 ③ハイブリッド型

担当する開発プロジェクトで、どのタイプが適切かを判断することも、プロジェクトマネージャーの大事な仕事の一つです。

今回は、予測型・適応型・ハイブリッド型の個別の説明の前に、プロセス群と開発アプローチの関わりについての記事です。

というも。
私がプロジェクトマネジメントの勉強をしているとき、
 「プロセス群と開発手法って、なんか同じような内容と説明だけど同じではない?つまり……どういうこと?」
という感じになってしまったからです。
それぞれがどういう目的で定義されているかを一度触れておきたいと思います。

まず、プロセス群についてのおさらいです。
プロセス群は
 立上げ ⇒ 計画 ⇒ 実行 ⇒ 監視・コントロール ⇒ 終結
の5つです。

そして、開発手法について。
次回(明日)の記事で改めて説明しますが、ウォーターフォール型の開発手法というものがあります。
ウォーターフォール型は
 計画 ⇒ 要件定義 ⇒ 設計 ⇒ 開発 ⇒ テスト 
という順番で、上流工程から下流工程に進めていく開発手法です。

(デザインセンス……💦
このnoteでの発信を通じて修行中の身なので、あしからず…!💦)

( ˘•ω•˘ )?

「計画立てて、実行して、チェック(テスト)して……というウォーターフォールの内容は、プロセス群の説明と同じ内容な気がするけど、どう違うんだろう?」

ある時の私の心の中

こんな疑問を持つPM(プロジェクトマネージャー)はいないのか、プロジェクトマネジメントに関する体系書『PMBOK』や参考書では、プロセス群と開発手法の関わりをしている説明に出会ったことはないです(^-^;

なので、以下の説明は多くの方には需要があまりない話かもしれないです。が、せっかくの機会なのでまとめておきます。

φ(`д´)メモメモ…

「プロセス群(PDCA)」はプロジェクトマネジメントのベースの考え方で、いわば憲法みたいなモノです。
どんなジャンルの開発においてもベースになる考え方です。

このPDCAを憲法にして、システム開発やソフトウェア開発に合った開発手法として考えられたのが。ウォーターフォールなどの開発方法です。

ウォーターフォールなどの開発手法は、特にシステム開発やソフトウェア開発のジャンルで用いられる、いわば、民法みたいなモノです。

プロセス群はセオリー、開発手法は具体的な方法という差があります。
ただ、方法の元になっている考え方が同じなので、同じような説明を聞かされていた、というわけです。

また、私はずっとソフトウェア開発に従事していたので、初めて勉強した際は「プロジェクトマネジメント=ソフトウェア開発のためのノウハウ」という認識でいました。

そのため、プロジェクトマネジメントのセオリーの話が、自然にソフトウェア開発用の知識であると思い込んでしまい、ソフトウェア開発用に区分されているジャンルという発想がありませんでした。


プロジェクトマネジメントのプロセス(全49コ)

プロジェクトマネジメントでは、49コのプロセスが定義されていますが、個々のプロセスの達成のしやすさは、業界やジャンルによって異なります。
(勿論、同じ業界でも会社が違えば、プロセスの達成のしやすさは異なりますが、大枠でくくって考えています)


例えば、適応型は一つ一つを完成させて積み上げていく開発手法ではなく、一度大枠を作って、後から何度も修正を加える手法です。
(※超ザックリとした説明)
これは、ソフトウェア開発には向いてますが、これを建築プロジェクトには向いていません。計画段階で決めた間取りを建築中に変更する、みたいなことになるからです。
対応出来なくはないのかもしれませんが、水回りの配置や電気の配線などを間取りの変更に合わせて逐一変更していたら、莫大な開発費がかかります。

私は建築は、専門ではないのですが建築プロジェクトのプロセスは、
企画→設計→発注→施工 というのが基本のようです。
ソフトウェアやシステム開発とは、少し違うプロセスです。

また、「プロマネとは?」という話にもなるのですが、ここで定義されている49コプロセスがすべて万全に準備されてスタート出来るプロジェクトは、実際にはほとんどないと思います。
あくまで、考え方として提示されているだけで、その知識をどのように開発の現場で使うかは、プロジェクトマネージャー次第です。

大事なのは、自分が対応するプロジェクトにおいては何が重要なのかを判断して、必ず満たすべき必要なプロセスを特定して優先順位を決めることです。

「調達」という知識エリアがありますが、例えば、建築のプロジェクトでは樹齢50年の木材が必要になる一方、ソフトウェア開発では既製品のデスクトップPCで済む、ということもあり得ます。
自然や天気という不確実性から受ける影響が建築系のプロジェクトとソフトウェア開発では異なるように、プロセス達成の条件に業界やジャンル特有の個性があります。

プロセスの達成のしやすさは一例ですが、システム開発やソフトウェア開発には、それなりの”個性”があります。

そういった現場感覚を磨いていくことが大事です。
とはいえ、何も知識ないとところに経験をぶち込んでも、目の前のことにいっぱいいっぱいになってしまい、感覚が磨けないこともあります。
そのため、感覚を磨くために、知識を事前に取り入れてプロジェクトの全体的な枠組みを構築しておくことが有効、というのが私の持論です。


以上、私の疑問だった「プロセス群」と「開発アプローチ」の違いについてまとめました。

プロセス群は、どんなジャンルにも共通しているプロジェクトマネジメントの基本の考え方です。
そして、ソフトウェア開発の個性に特化して独立した具体的な方法が、予測型・適応型・ハイブリッド型といった開発アプローチです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?