【一泊二日金沢旅】2日目②石川県立美術館
広坂を上り、ひらけたところに出ました。
少し進むと、目的の石川県立美術館に辿り着きました。
石川県立美術館
常設展
常設展と企画展があり、まずは常設展のほうへ。
常設展のチケットは通常370円のところ、1日フリーパス乗車券を提示すると80円引きで290円。
この時は私はまだ美術館初心者だったので全然知らなかったのですが、基本的に美術館にはロッカーが常備されているのですね。
100円が返却されるタイプのロッカーがほとんどのようなので、100円玉を用意しておくのが美術館巡りにはベター_φ( ̄ー ̄ )メモ
常設展は、石川に縁のある方の展示が多かったです。
加賀藩(前田家)は、ほんとにお金持ち……!
あと、昔の芸術品なのに、くすんでなくて綺麗だし人の手で作ったとは思えない程精巧なのも、すごいなと思いました。凡感想。
(感想って難しい……。小学生の頃から「感想の表現」は進歩してない気がする)
続いて企画展の方に。
川瀬巴水 旅と郷愁の風景
通常1200円のところ、常設展のチケットを提示すると200円割引で1000円に。
恥ずかしながら、今まで川瀬巴水さんを知らなかったのですが、この旅行で1番ハマりました!すごく面白い展示でした!
そもそも「新版画」というものさえ知らずに展示を鑑賞していたのですが、
日本各地の名所が美しく描かれていて、いろんな風景を見るために日本各地へ旅行に行きたい〜!という気持ちになりました。(金沢旅行中なのに)
新版画
(版画? 版画って、木材を彫刻刀で削って黒いインクをローラーで付けて、紙を載せてインクを写して完成する、あの版画だよね?
普通に一枚一枚筆で描いた絵にしかみえないけど、どういうこと?)
と疑問を持ちながら鑑賞していました。
”版画”なので、もちろん量産可能な絵画です。
「多色摺木版画」は、以下のように分解すると作品のイメージがつきやすいかもしれません。
多色:カラフル
摺:こする、印刷する
木版画:木の版画
新版画登場以前は、絵を描く•木を掘る•紙に摺(す)るのは、全て一人の職人がしていたらしいのですが、新版画では、それぞれの工程を各エキスパートが担当して創りあげるようです。
新版画は、絵が鑑賞の対象となった近代において、コピーの技術が台頭するまで非常に短い間に、多くの方を魅了しました。しかし、印刷技術の隆盛のはじまりと共に衰退していきました。刹那的な芸術だったのですね。
展示の最後に、どのようにして新版画を作り上げるかの解説の動画がありました。
一応出来る限りメモしていたのですが、過不足情報もあると思います、あしからず……💦
①写生
下絵
・版画サイズに版下絵線描き
・筆で下絵のアウトラインを、下絵の上に置いた薄い紙に描く
※この時点で名画レベルってくらいすごいクオリティ
・彫師に引き継ぐ
↓
②彫刻
・主版(おもはん)彫り
・校合摺
↓
③色用の版を作る
・色さし作成
・色を指定する用に紙に摺って色の指示書を作る
・色板彫をまた彫師さんに依頼。
・色をつける用の色版を沢山作ります
↓
④摺る
・試しにすって、板があっているかの微修正
・変な個所があれば、版の板に手を加える
こんな感じで、1枚の作品が完成したら、
あとは注文に合わせて何枚も摺っていきます。
カメラも鉄道も整備されていなかった時代。
そんな時代に川瀬巴水さんは日本中のいろんな風景を写生して、たくさん日本各地の名所を郷愁も含めて一つの絵にしていました。
その地への旅行の魅力を1枚1枚の版画に収めているという感じです。
私のnoteに、「旅みやげ」という旅行記のマガジンを作ったのですが
最初は、シンプルに「旅行記」という名前にしていました。
しかし、川瀬巴水さんの『旅みやげ』というシリーズ作品にすっかり魅了されて、マガジンの名称を拝借しました。
渡邊庄三郎氏
展示では、川瀬巴水さんの一生涯も合わせて解説されていました。
ここで登場する渡邊庄三郎さんとの関係がまた面白い。
渡邊庄三郎さんは今で言う敏腕プロデューサーみたいな印象。
川瀬巴水さんや伊東深水さん(新版画の美人画担当の方/朝丘雪路さんの父)の才能を作品にして、世に出し続けた。
新版画は、日本より海外で人気があるそうなのですが
制作方法といい、渡邊さんは考え方が先進的な方だったのかもしれません。
新版画の熱狂的なファンで、現代において超有名な方がいます。
それは、スティーブ・ジョブズ。
川瀬巴水さんの作品をはじめ、多くの新版画をコレクションしていたそうです。
マッキントッシュの宣伝に、新版画の「髪梳ける女」を画面に映した広告ポスターを使用していたほどで
10代で新版画を知り、病床にも川瀬巴水さんの作品を飾るなど、生涯通じて新版画を愛していたそうです。
展示には、ジョブスのコーナーもありました。
想定以上に石川県立美術館で時間を使ってしまったので、この日は近くの美術館を鑑賞して観光を終えるプランに切り替えました。