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ハリウッドヒルズのパーティーに招かれて①

 私は29歳の時にロサンゼルスで弾けるほど楽しい思い出を作った。弾けるどころか楽しい思い出の裏には悲惨なこともかなり有り…
 私はサマージョブという、30歳以下の大学生だったら、アメリカで就業できるある制度のもとに、当時、慶應義塾大学の通信制の大学生だったので30歳以下をいいことに、サマージョブの参加を東京の池袋にある代理店を通して申請し、J1というビザを取得してアメリカに飛び立った。
 2002年6月だった。
 9.11という痛ましいひどいテロが起きた翌年で、飛行機のチケットも学生の身なので安いのがいいと思い、値が下がっていたアメリカンエアラインを使った。
 帰国の予定はビザがギリギリ切れる半年後の11月にしていた。なんて欲張りなんだろう。
 行きのチケットは成田空港から、サンフランシスコの空港へ。帰りはニューヨークの空港から成田空港だった。
 さて、タイトルの、ハリウッドヒルズのパーティーだが、色々な過程があってカリフォルニア州で働いていた私は仕事が終わり、ロサンゼルスに行き、滞在することとなった。
 ロサンゼルスの人脈を通した交流は大変素晴らしかった。私は治安が大変悪くて有名なリトルトーキョーの4thストリートにあるチェットウッドホテルに先ず1ヶ月分の部屋代を納めた。常駐しているマネージャーの浜さんは、大らかで面白く、優しい男性だった。60歳を超えたくらいであろうか。とにかくよくして頂いた。
 こんな治安の悪いところに住むことになった私だが、韓国系アメリカ人の友人が、どこかに出かけるのも私をピックアップと、また送り届けるために、ふたりともいつも普段乗っているベンツに乗せてくれた。
 ふたりとも、カリフォルニア州の仕事で出会ったが、ロサンゼルスに住んでいたのも偶然で何かの縁だと思いたい。

 「今度バーベキューパーティーをやるけど来る?」
と、親切にマイケルが尋ねてくれた。

 私はとっても楽しみでもあり、お誘いを受けたことで、皆と友達になれた感があり、嬉しかった。
 バーベキューパーティーの当日、約束どおり、マイケルがベンツを運転して、助手席にも男性を乗せてチェットウッドホテルに迎えに来てくれた。
 木目朝のビンテージ的なベンツに乗り、目的地に向かおうとしていたが、
「水着ある?」
とマイケルに聞かれた。
 部屋に置いてきたので、取りに戻った。
 マイケルの隣りの男性の自己紹介を聞いた。日本語だった。ちょっとだけつたない…。そう彼はマイクという、日系二世のアメリカ人アーティストだった。マイケルの仲のいい友達だ。
 車はハリウッドの観光地らしさから、坂をぐんぐん上がり、とんでもない森で囲まれた豪邸をひとつ、ふたつと過ぎ、かなりの高台の邸宅の敷地内に入った。
 ハリウッドヒルズは、ビバリーヒルズ並みの豪邸がたくさんあるようだ。全ては見えない。しかし、森のようにこんもりしたところからところどころ豪邸の一部が見えた。立派すぎる…
 窓がガラス張りの豪邸内の敷地から、マイケルの車を降りる。日常ではない経験なのに、知り合いがいるという安心感で、妙に普通に振る舞う私。無理しているのかな…。広いリビングルームを抜けると大きなプールが外にある!ハリウッドヒルズからの眺望は観光写真のようだ。いいのかな、いいのかな、と思いながら、バーベキューパーティーに参加して溶け込んでいる自分が程なくしていた。
 豪邸は、カシルジーンズのデザイナーのご両親の邸宅だった。

 わくわく!ところがこれがね…

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