ああ、翻訳。『What I did for love (愛した日々に悔いはない)』~ミュージカル『コーラスライン』より

Kiss Today good bye.

The sweetness and the sorrow

Wish me luck, the same to you

But I can't regret what I did for love, what I did for love.


Look my eyes are dry

The gift was ours to borrow

It's as if we always knew

and I won't forget what I did for love, what I did for love.


Gone, love is never gone.

As we travel on, love's what we'll remember.


Kiss Today good bye

And point me toward tomorrow

We did what we had to do

Won't forget, can't regret what I did for love


What I did for love, what I did for・・・


Love, love is never gone

As we trave on, love 's what we'll remember.


Kiss Today good bye

And point me toward tomorrow, point me toward tomorrow.

We did what we had to do.

Won't forget, can't regret

what I did for love, what I did for love.

what I did for love.


今日にさようなら。口づけを。

良い事にも悲しい事にも

幸運を祈って。あなたへも同じように幸運を

だけど、私は愛のためにした事を後悔はしない、愛のためにした事を。


見て、涙はでないわ

天からの贈り物を、私達は借りていたのね

まるでその事を、私達、常に知っていたようね

そして、私は愛のためにした事を忘れないわ、愛のためにした事を。


消えてしまうの?愛は決して消えないわ。

旅は続くけれど、愛は、覚えているものなのよ


今日にさようならをするための口づけを

そして、明日を指し示して

私達は、すべきことをしただけ

忘れないわ、後悔はしないわ、愛のためにした事を


愛のためにした事を、した事を・・・


愛のために。愛は消えないわ

旅は続くけれど、愛は、覚えているものなのよ


今日にさようなら。口づけを。

そして、明日を指し示して

私達は、すべきことをしただけ

忘れないわ、後悔はしないわ、愛のためにした事を。愛のためにした事を。

愛のためにした事を。


【日本語歌詞】

悔やまない

選んだ道が、どんなに辛く、この日々が報われず、過ぎ去ろうと。

泣かないわ

好きだからこそ、命燃やした、この日々に口づけして、別れよう。

ああ、この愛を胸に抱き、明日を生きよう。

ためらわず、思いのままに、全てを捨てて

生きた日々に悔いはない

この道を ひたすら

ああ、この思い 胸に抱き 別れ告げよう。


悔やまない、好きだからこそ 命燃やし

全てを捨てて

生きた日々に悔いはない。


ひたすらに、この道を


『コーラスライン』は、舞台のオーディションに勝ち残るため、情熱をかけるダンサー達と、彼らを審査する舞台監督との間で繰り広げられる、オーディション風景に絡めた個々人の人間模様を描いたミュージカルだ。『愛した日々に悔いはない』は、舞台監督から突然突き付けられた「もし、明日から突然踊れなくなったら、君たちはどうする?」という厳しい質問に対して答えるための歌だ。舞台版では、勝気な女性ダンサーが、舞台への愛として、又、映画版では、舞台監督の元恋人であり、今回、オーディションを受けに来た女性ダンサーが、舞台監督への愛として歌う。


 私は、現在、歌を習っているのだが、目下の練習曲がこちらだ。歌ってみて初めて気付くことがある。歌詞やメロディーに感情を載せて歌う事のなんと難しい事か!五線譜に正確に歌う事もままならないというのに!

 しかも、先生は、こう要望してきた。「この『ああ』は、何を意味しているのか?『ああ』になんの思いを込めるか?どういう時に出た『ああ』か?そして、『この愛』の『この』、『この思い』の『この』は、何をさしているのか?」・・・


 確かに。この『ああ』の出だしは、音符のラ、で、かなり中途半端な高音。いきなり「あ」で出すのは、私には本当に難しいのだ。なるほど原曲では、「gone」となっている。「ゴーン」。母音が「お」ならどうにかいけるかもしれない。母音「あ」では、大変すぎる。

 歌詞の翻訳なら、歌いやすく直して「おお」とか、「そう」あたりが、妥当ではないだろうか?なぜに「ああ」?そこまでして役者に、この難解フレーズを歌わせて、何を思わせる?


 という事で、先生からの宿題を考えてみた。例えば私が、もし、突然、今の生活を棄てざるを得なくなってしまったら・・・例えば、家庭を、例えばミュージカルを、例えば今まで積み上げてきた経歴を・・・。まずは、放心かな。何も考えられない。受け入れる事で精一杯。最初は、虚しさや虚脱感、恐怖、挫折、あきらめ。そういった「ああ」だが、愛してきた事へのプライド、誇りも身に染みてある。だから、対象への愛、そして、自分への愛。そういった「この愛」。そして、こみあげてくる達成感、明日を生きようとする、前向きな覚悟で、ふたつめの「ああ」。明日をいきてゆくために、心の中に包む今までの情熱への自信。そういった「この思い」・・・といった具合の感情が、私が考えた所だ。まあ、これが上手く歌になって伝わればよいけど。


 「おお」では、大げさすぎるかもしれない。「そう」では、なんだかわかり切った感が含まれるかもしれない。過去への決別、何が起こるかわからない未来への船出、を表すには、やはり日本人は「ああ」なのか。


 なんにしても、これが日本語の不思議。ああ、翻訳の奥深さよ。あとは、歌い手がスキルを磨いて歌い上げるだけである。

 それにしても、何度聞いても、美しい曲だ。このように潔く、洗い流されるような心境の歌詞はどうだ。これ程までに人は何かを愛せるだろうか。そのような対象に出会えた人は、本当に幸せだろう。そう感じさせてもらえるこの曲、私の憧れの一曲となるかもしれない・・・

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